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第122話・質疑応答


なんか記者会見ぽくなった質疑応答。

未だ混乱の中にあるが、無視して始めよう。


「では、ラムちゃんにご質問のある方は挙手してください」


そう俺の司会で始めると、最初におずおずと挙手したのはクララ様だった。

さすがはお貴族様だ。真偽のほどは未知数でも、ラムちゃんの持ってる情報は今後の『実験都市構想』に役立つ事を理解していらっしゃる。


「では、基本的な事からご質問させて頂きます。ラムちゃんさんはダンジョンのアバターということですが、アバターとはどういったモノなのでしょうか?」


うむ、マジに基本的な質問だね。俺の説明が適当すぎちゃったからかな。


「アバターは簡単に言うと魔力の素になるマナを半物質化して成型したダンジョンの精みたいなモノ。アタシの本体であるコアとは魔力の導線で繋がっている。このアバターの物質化を更に進めるとダンジョンにいる魔獣になる。そうなるとコアとの繋がりが希薄になるから、魔獣と同じ様に単なる殺戮の道具に成り下がる」


おお〜。アバターって中途半端な魔獣みたいなモノだったんだねぇ。

勉強になるなぁ〜。


そして次に挙手したのは混乱状態から復活したユーノさんだ。

ユーノさん、ご質問をどうぞ。


「これも基本的な質問だと思うんだけど…。どうしてユウキくんに接触したの?それと、他のダンジョンでは似たような接触はあるのかしら?」


「ユウキに接触した理由は簡単、アタシを救ってくれたお礼が言いたかったから、他のダンジョンが似たような事をするかは、わからない。でも、アタシと繋がった場合はアバターを造ると思う」


そうなったら、面白いかもぉ〜。ダンジョン同士の交流でダンジョンの内部構造が変化したりとか?新しいタイプのアトラクションみたいで楽しそうだ。


「では、もう一つ」


ユーノさんが更に質問を重ねてくる。


「あなたの今現在の健康状態を教えてもらえる?」


「今はユウキが始めてくれたスライム牧場のおかげで、飢餓状態からは復活した。それに、撒き餌の量が増えてきたから、遅くとも冬には次の階層を造れそう」


おお!!良いね!第8階層が出来れば冒険者も増えるから、街の発展にもなるね。


「でも、次の階層はアタシも個人的に使いたいから、ちょっと工夫するつもり」


「工夫?それって難易度が上がるって事?」


そう言ったのはルキアさんだ。ダンジョンの整備もしてたから、難易度の情報は重要らしい。


「うん。階層の中心部はアタシが使うから入れない様にする。だから、次の階層はリング状の立体迷宮にするつもり。ユウキの知識も使って罠も仕掛ける」


う〜む。俺の知識にある罠か…。それってかなりヤバくないかな?


「あの…。ユウキさんの知識を使った罠というのは、かなり高度な罠だと思うのですけど……」


クララ様が何やら不安な表情をして疑問を呈した。


「そこら辺はちゃんと調整する。ただ、アタシの本体の安全度を上げる為に少し意地悪くするだけ。本格的な罠を仕掛たら、攻略が不可能になってアタシが討伐対象にされ兼ねない」


そうだろうねぇ〜。俺の知識の中には現代兵器やマンガやアニメの未来兵器の知識もあるからね。そんなモノを再現したら、高ランクの冒険者だって攻略できないだろう。


「でも、コアの周辺にはユウキが魔導具を設置してくれたから、ドラゴンでも連れて来ない限り、アタシにはかすり傷一つ付く事はないから安心」


うんうん。かなりガンバっちゃったからね。超小型で高出力の物理&魔法結界発生魔導具だもん。それに、仕掛けた罠も自信作揃い。そこらのAランク冒険者程度なら近づけもしないよ。


「あの…。ユウキさん?どういう事でしょうか?」


なんかクララ様が怖い笑顔で俺に言ってきた。


えっとぉ……なんの事でせうか?


「以前、私とダンジョンの事でシュミレーションした時の事はお忘れですか?」


あぁ……前にそんな話しましたねぇ。


「その時に私はあなたに、ダンジョンには情報管理を徹底すべきと言いませんでしたっけ?」


……あっ!!!そう言えば……。


「ダンジョンに情報を与えるという危険性を一番理解していらっしゃるはずのアナタが、なぜ一番危険な情報をダンジョンに与えたのですか!?」


ぎゃあぁぁぁぁぁ!!ヤバい!!やっちまった!!!どうしよう!?

これでラムちゃんが本気を出して俺の知識を使ったら、このダンジョンは低階層で超高難度のダンジョンの出来上がりだ。そんなダンジョンじゃ、冒険者はヤドラムの街に来なくなってしまう。

そんな事になったら、ヤドラムの発展どころか『実験都市構想』も終わりだ。


「ど…どうしましょう?」


「どうしましょう?って、そんな事わかりませんよ!!ユウキさんのせいで、始まったばかりの計画が頓挫(とんざ)するのが決定的になってるじゃありませんか!!」


まさか、こんな事になるなんてぇーー!!

クララ様が激怒するのも仕方ない事だ。これは完全に俺のミス。計画の失敗の責任をとって、奴隷落ちも覚悟せねばなるまい。

ああ〜…、短い冒険者生活だったなぁ〜。これからは奴隷として罪を償っていくのかぁ〜。


そんな混乱状態の中、ラムちゃんがのんびりした声で質問してきた。


「ナニをそんなにパニくっているんだ?」


「ナニって?これが落ち着いていられる状況じゃないんですよ!!」


そう言って俺は今の状況をラムちゃんに説明した。


「はぁ?ユウキは知識は豊富でも案外お馬鹿さんなんだな」


ラムちゃんは俺達の混乱を余所に落ち着きはらっている。

一体、どういう事なんだろう?


「いくらアタシのコアが安全になったと言っても、それは限定的な事だ。アタシを殺すだけならいくらでも方法はある。例えば、餓死させるとかな。それにアタシの安全を確保したのはユウキの魔導具だ。ユウキならそれを無効化するのは簡単だろ?そう考えるならアタシの生殺与奪は、ユウキが握っている事になるのではないか?」


……。あ!そうか…。あの魔導具は俺あ作ったモノだ。魔導具を機能停止するくらい簡単にできる。それにDELSONならそんな事しなくでもコアの破壊くらいは楽に出来る。


「もう餓死の恐怖に怯えるのは、懲り懲りだからな。難易度の設定はちゃんと相談して決定するし、アタシは人類との共生を望んでいるんだ」


そうだった。ラムちゃんは俺と出会った時から共生を望んでいた。

ダンジョンとは一方的に獲物を捕食する生き物ではなく、自分の生存の為には他の生物を利用し共生する事も出来る柔軟な生き物なんだな。


「そか…。なら安心だ。これからはラムちゃんと協力してヤドラムを発展させていこう」


「うむ。アタシもこれからのご飯の為にも尽力する」


こうして、ダンジョンの協力を確実なモノとして、質疑応答は終了した。


………が。


「ユウキく〜ん。ちょ〜っと、アナタの製作した魔導具について聞きたい事があるんだけど〜」


なんか、ユーノさんがイラついていらっしゃるご様子。


「ドラゴンでもかすり傷もつけられない?って、どういう事なのかしら?そんな高出力の魔導具なんてあったら戦争の素になるって考えなかったのかなぁ?」


………考えてなかったです…。


イタ!!痛いって!!ユーノさん!!俺の頭を鷲掴みしないで!!

指がーー!頭蓋骨に食い込んでますってぇーーー!!


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