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第110話・例の三人組も到着


アドルさんが赴任してきて十日が経ちました。

アサイ村にも春の兆しが訪れて暖かい日が多くなってきた。


そんなある日、彼女たちが馬車に乗ってやってきた。


「お待ちしておりました」


俺は彼女たち、ユーノさん、ルキアさん、マリアさんを村の広場で出迎えた。


「うむ。出迎えご苦労!」


そう言って、サッサと逃げを打つルキアさん。


「ちょっと、待てぇ~い!!アナタ達三人には聞きたい事があるのだ!」


「そう言われてもねぇ~。あたし達は今、着いたばかりだし疲れてるからなぁ」


そう言ってルキアさんは、立ち去ろうとする。


「そうそう、三日とは言え馬車に揺られて疲れるのよ。そう言えばユウキくんの家にはお風呂があるのよね?貸してもらえると嬉しいんだけどなぁ~」


ユーノさんはそう言ってごまかしてくる。


「ほ~。あの家はパーティーハウスになったんじゃなかったんだぁ~」


と、嫌味たらしく言ってみた。その声に固まる三人…。


「ほらぁ~。もうバレちゃってるじゃないですかぁ~。だから勝手に手続きするのはやめましょうって言ったのにぃ~」


マリアさんが小声でユーノさんとルキアさんに抗議し始めた。


「だってさぁ~。ユウキばっかり羨ましかったんだもん…」


「それにクララ様もノリノリだったし…」


ひそひそとルキアさんとユーノさんがいいわけし始める。


「私にいいわけしてどうするんですか。ユウキくんにちゃんと言わないと…」


その通りですよ~。そこでヒソヒソやってても丸聞こえなんですからねぇ~。


「えっとぉ~~。ゴメン」


ルキアさんが先に諦めたのか謝ってきた。


「もう、なんで相談してくれなかったんですか?言ってくれればちゃんと許可しましたよ。それに勝手にパーティーの申請まで出しちゃって…」


「それがさぁ……」


と、ルキアさんが経緯を説明し始めた。

ルキアさんによれば、その日クララ様にルキアさんとマリアさんがお茶に誘われたんだそうだ。

クララ様の相手とは言え、さすがに粗相があってはならないと場慣れしているユーノさんも一緒に着いて来てもらったんだと…。


んで、その時にギルドの雇われの期間が終了した後はどうするの?って話になったらしい。クララ様は丁度、アサイ村での学園都市構想の人員を探していたので、件の三人を引き抜いたんだそうだ。


そして、話はトントン拍子に進んで三人の住む場所についてとなった訳だ。


「それで、俺の家ですか…」


「そういう事なのよぉ~」


ルキアさんが手をヒラヒラさせて言う。

まさに渡りに船って感じでシェアハウスにする事が決定され、ついでにクララ様も泊まれるように設計変更の依頼書をその場で書いたんだそうだ。


「じゃ、何でパーティーを組む必要があるんですか?」


「それは私から説明させて」


小さく挙手してユーノさんが説明を始めた。


「やっぱり、何だかんだ言ってもクララ様って貴族じゃない。そう言う人って気軽に平民の家に寝泊まりするって出来ないのよ。ユウキくんっていう男性もいるし」


そこでユーノさんは一計を案じた。

平民の家に泊まれないなら、平民の家じゃなくすれば良い。


「ああ、それでパーティーハウスですか…」


貴族が優秀な冒険者に拠点として屋敷を宛がうなんて事はよくある事だから、この家をそうしちゃおうという事らしい。

それで、ユーノさんをリーダーとしてパーティーが発足したというわけだ。


「私はその時にユウキくんに相談しようって言ったんだけどね…」


と、マリアさんが済まなそうに言う。

でも、そう言うマリアさんも周りに流されちゃったですよね~。


「ホント。せめて一言でも言って欲しかったですよ…」


「だからぁ、ゴメンてぇ~」


ルキアさんが甘えた声で言ってくる。

そんな声で謝るなんて卑怯だぞぉ。つい許したくなっちゃうじゃないか。


「これからは、ちゃんと相談してくださいね」


そう言って俺はこの話をチャラにした。

なんだかんだ言いつつ俺はこの三人には甘いんだよなぁ。


「ありがとう。ユウキ」


「許してくれて、ありがとね」


「二人を止められなくて、ごめんなさい」


ルキアさん、ユーノさん、マリアさんがそれぞれに謝ってこの話を終わりにした。


「じゃ早速、家に案内してくれる?もうアタシ疲れちゃった」


ルキアさんが素早く切り替えてきた。


「あの家、まだ出来てないですよ。どっかの誰かさんのお蔭で工事が遅れちゃいましたから…」


「ウソ!?マジで?」


「マジですよ。だから皆さんはしばらくの間は学校の寮の方で生活してください」


「ええ~。寮じゃなんか落ち着かないよぉ~」


ルキアさんはそう嘆くけど、出来てないモノは仕方ないのよ。


「自業自得ですよ。諦めてください」


どうせ、講師として来たんだから先に学校生活に慣れてくださいね~。


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