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第109話・皆さん、集まってきましたよ


知らない内に無料支給された自宅が乗っ取りにあっていたが、そんな事は気にせず村の仕事に邁進していこう。

まあ、住めなくなる訳じゃないんだし、俺専用の離れもゲンダリウスさんに言って俺好みに変更させてもらえる事になった。

これで、同居人に内緒でいろいろと出来そうだ。


さて、それから十日ほどの間は畑仕事の手伝いやら学校の視察やらと忙しく村の仕事に励んでいた。

そんな時、ヤドラムから最後の出稼ぎ組が戻ってきた。この組でどうやらアドルさんがこちらに赴任してくるという事なので村長さん一家はお出迎えにいった。

んで、俺はというとそのお出迎えに参加できず、アッチの畑で雪溶かし、コッチの畑で土起こしとバタバタと動き回っていた。


その日の夜は村長さん宅でアドルさん夫婦の帰郷とアサイ村ギルド出張所長就任を祝って豪勢な夕食となった。

俺もそのご相伴に(あずか)り、しこたま飲ませて頂いた。


そうそう、アドルさんの奥さんのジェシカさんは、青い髪、青い瞳のスレンダーな美人さんだ。元ギルド受付嬢だったんだってさ。

一目惚れしたアドルさんが口説いたんだろうなぁ〜なんて思ってたけど、実はその逆でジェシカさんがアドルさんに一目惚れして押しかけ女房って感じで口説き落としたらしい。いやぁ〜案外モテますなぁ〜。

で、そのアドルさん夫妻の新居は村と学校のちょうど中間辺りに出来ているんだとか、通勤もし易いし、村長さん宅からもスープの冷めない距離で良いんじゃないかなぁ。



翌日の午後の事、俺は畑の手伝いを済ませてから学校の内装工事の見学ついでにアドルさんに調べものの依頼に行った。


そこで、意外な人物と再会した。


「「カチョーーー!!」」


俺の事を「課長」と呼ぶ奴らはあの二人しかいない。


「あれーー!?どうしてこんな所にいるの?」


そこにはノーベルくんとサリナさんがいた。


「僕ら、アサイ村出張所の職員になったんですよ」


「華の受付嬢へ返り咲きしましたぁ〜〜〜」


それはそれはおめでとう!!君たちは俺の思い付きの被害者だものね。

真っ当な道に復帰できて良かったよ。


「これからもいろいろと世話になるからヨロシクな」


「はい。こちらこそヨロシクお願いします」


「ヨロシクなのですぅ〜」


彼らは学校内にあるギルド出張所の整理をやっている。アドルさんの居所を聞くと奥さんのジェシカさんと一緒に校内の図書室の整理をやっているとの事だった。


図書室に向かいアドルさんを探す。

すると、図書室から何やら楽し気な話声が聞こえてきた。

いやぁ〜、昼間からイチャイチャしてますなぁ〜。


「アドルさ〜ん!いますかぁ〜!」


嫌がらせに大きな声で呼んでみた。


「!?…あ!はい!!ここに居ますよ!!」


何かバタついてますな…。ホントにイチャイチャしてたみたいだ。後でサリナさんに呪ってもらおう。

図書室に入ってみると、アドルさんとジェシカさんがササっと服を直していた。

まったく、昼間から仲良きことで宜しいですな…。

ジェシカさんは「事務所の方を手伝ってきま~す」とか言ってそそくさと図書室を出て行きましたよ。


「お忙しいところ恐縮ですが、ちょっと調べて欲しい事がありまして…」


「いえいえ、大して忙しくありませんから大丈夫ですよ。で、何を調べるんでしょうか?」


アドルさんがヒクついた笑みを浮かべて請け負ってくれる。

イチャつくくらい暇なんだからやってもらおう。


「あのですね。最近『紅の風』ってパーティーが新設されたと思うのですが、そのパーティーについて調べて欲しいんですが…」


「『紅の風』……?。ああ、ユーノさんがリーダーになってるパーティーですね」


「ご存知なんですか?」


「ええ、私が申請書を受け付けましたからね。事務所に書類があるはずですよ。アサイ村、第一号のパーティーですから」


「そうですか。じゃ、事務所で申請書を見せて貰っても構わないですか?」


「ユウキくんは確か、パーティーメンバーでしたよね?申請書を見せるのは構わないんですが、何か不備でもありましたか?」


ああ〜……。やっぱり、俺もパーティーメンバーだったんだ。


とりあえず確認したいという事で、まだ整理もそこそこな事務所に行って申請を探してもらった。書類がまだ少ない事もあって目的の申請書はすぐに見つかった。


「これですね。ここにユウキくんのサインがありますよ」


それは確かに俺の直筆のサインだった。いったい、いつサインしたのかなぁ。


「確かこの申請書は、ユウキくんの契約終了の書類と一緒に受けたと思いましたけど…」


ああ〜、あの時か……。何かいろいろとサインしたなぁ〜。

たくさんあったから、一々確かめずにサインしたな。その中に紛れてたか。


「ああ〜そうか…。他のパーティーメンバーがこれじゃ、何か納得だわ…」


その申請書には他にルキアさんとマリアさんのサインがあった。

この人たち、何考えてパーティー結成したんだろうか?

ハーレムパーティー?それは無いな。

たぶん、あれだ。俺が何かやらかす前に止めるか揉み消す為のパーティーだな。

所謂、『お目付け役』ってヤツだ。

俺って信用ないんだなぁ〜。


………?って事はルキアさんとマリアさんもここに来るの?


「ええ。ルキアさんとマリアさんは講師としてこちらに来ますよ。ユーノさんは新しく出来る『魔導具開発研究所』の職員としてこちらに来る予定になってます」


アドルさんが事も無げに告げる。

そかぁ〜。これからは自由に無茶出来ると思ってたのは幻想だったか。

俺はあの三人の監視を潜り抜けて仕掛けを造っていかないといかんのかぁ〜。

厳しい戦いになりそうな予感〜。


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