第101話・実演して売り込もう
打ち合わせから二日後、アサイ村に向かうゲンさん一行の見送りをした。
「それでは、村の方はヨロシクお願いします」
「はい、お任せ下さい。ユウキ様がお戻りになられる頃には目鼻が付いていると思いますので」
そう挨拶を交わして大工さん達はアサイ村に旅立っていった。
そして、お次はというとダンジョンである。
「では、こちらも行きましょうか」
「はい。こちらも準備万端です」
そう返事を返してくれたのは、今回ダンジョンの牧場建設の責任者のハンナさん。
この妙齢な女性はゲンさんの娘さん、力仕事は苦手だけど手先の器用さと設計のセンスがあるそうで、赤ん坊の時から現場に出ているという根っからの大工さんだという事だ。
ハンナさんとダンジョン管理棟の大型搬入口に向かうと、そこには大量に積まれた建築資材と台車5台分の魔導ボイラーの部品が置いてあった。
そしてそれを30人ほどの人たちが取り囲んでいた。
この人たちはハンナさんの部下10人と仕事を手伝ってくれる冒険者達だ。
冒険者達の中には顔見知りのアサイ村の出稼ぎさん達も数人いた。
「よ〜ユウキ、久しぶりだなぁ〜」
そう声を掛けてきたのは、ガンツさんだった。第一陣で一緒にヤドラムに来てからだから3ヶ月ぶりの再会かな?
「お久しぶりです。ガンツさん」
「この仕事の責任者だって?ちょっと見ない内にオマエさんも出世したなぁ」
「いやぁ〜、スライムで楽して稼ごうって動いたら領主様に目を付けられちゃって、この有り様ですよ〜」
「スライムはオマエさんの専売特許だものな、そいつを牧畜しようなんて、よく思いついたもんだよ」
「ホントは適当に大きくして、ゼリーとスライムコアの回収を簡単にするだけの事だったんですけど、気が付くとこんな大事になっちゃいました」
そんな愚痴を言い合いながら、ダンジョン第一階層の建設予定地に向かった。
予定地に到着すると、ハンナさんの指示であれよあれよという間に指示拠点の大型テントが建ち、大工さんと冒険者達が整地班と資材切り出し班の二班に別れ建設作業が開始された。
そして俺はというと責任者の立場を利用してサボるわけにもいかず、資材切り出し班に混ざってお手伝いをする事になった。
しかし、今回の手伝いはいつものような荷物運びではなく、伐採の方を手伝う事にした。まあ、その為にわざわざ新アイテムを製作してきたんだからね。
さて、その新アイテムと言うのは『タービンモーター』だ。
これはDELSONの吸引力を利用した小型のタービンでそれから得た回転力をドライブシャフトで取り出し、繋がっている丸ノコを動かそうって考えて製作した。
ちなみに、『タービンモーター』は直径3cmから10cmまでのモノを複数製作しておいた。今回、丸ノコに使うのは直径5cmのモノだ。
ホントはチェーンソーにしたかったんだけど、パーツ数が少ないのと構造の簡単さから丸ノコを採用してみた。
ノコギリの直径は20cm、ちょっと大きめで扱い辛いがタービンモーターをDELSONに繋げると『重量軽減機能』が働いて軽くなり取り回しがよくなった。
「では、サクサク切っていきましょうかね」
俺は現場監督の指示を受けながら伐採作業に入った。
DELSONのスイッチを入れるとギューーンとタービンが唸りを上げる。
その回転力が余すところなく丸ノコに伝わり大木に切り目を入れていく。
斧を力強く振り回す冒険者より、こっちの方がスピードは上だ。
大木の前後に切り目を入れたら、次は倒す方向とは逆の位置に楔を打ち込む。
これもDELSONで簡単にできる。バスッ!と楔を打ち込むと大木がメキメキと音をたてて倒れ始めた。
「倒れるゾ〜〜〜」
木が倒れる時は掛け声をってのはアサイ村の樵さん達から習い済み。
ちゃんと安全確認もしている。
木が倒れたら次は枝打ちだ。丸ノコで不要な枝を切っていく。
後は指示された長さに切り揃えて完了〜。
「仕事が早いですねぇ〜」
そう現場監督さんに褒められた。
「いやぁ、このアイテムが思った以上に役に立ってますから」
そう言って監督さんに丸ノコを見せた。
「ほ〜。これはスゴイ魔導具ですねぇ。どちらで購入されたんですか?」
「いえ、自作です。簡単な構造なんで試作してみました」
「試作品ですか。じゃコレ一台きりなんですね」
「ええ、まだ動力源に問題があってそれを解決しないといけないので…」
「そうですかぁ。それは残念ですねぇ。これがあれば作業期間の短縮に繋がると思ったんですが…」
「動力の問題が解決して、販売の目処が付きましたらお知らせしますよ」
「その時はヨロシクお願いします。私も棟梁に言って購入を検討しますので」
ふふふ、やはり現場でお披露目したのは大正解だったな。
この手の特殊アイテムは購入しそう人に見せてから販売ルートを確保した方が確実に金になる。
あとは動力源の問題を解決してからヤーヴェさんに売り込みをしよう。
新年早々から商売しまっせぇ〜〜〜。




