表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Imitation Star  作者: 十七夜
2:ロッカールームで神前ばなし
7/50

同期加入の三人(レンタル復帰含む・年齢差あり)

江野誠:FFのキャプテン。ユース出身で、逢坂の三つ上の先輩。赤間の同期で、現在は恋人。

紀藤悠一:FF所属。大卒入団。神前と同い年で、親友。既婚。

一八一センチ、七八キロ、体脂肪率は六から七パーセント。

チーム一を誇るトレーニング量で培われた、彫刻のような肉体──

江野えのまことはそれを、シャワー後もすぐに白いインナーシャツの下に隠してしまう。


「おい」


いずこからか、声がした。

紀藤のものだ、と気づいて振り返れば、メガネの向こうからあきれた目が自分を見ている。


「逢坂。ひとの性癖に口出す気はねーけど、せめて本人が気づかないていどに、遠慮して見てやれ」

「性欲込みで見てるなら、こんなふうにガン見したりしませんよ」

「……まあそうだろうけど。どっちにしろ、じろじろ見るなって言えないやつをじろじろ見るのは感心しない」


当の江野誠は、素知らぬふりで下着を穿いている。


「すみません、誠さん。相変わらず、芸術的なまでにいい体をしているのに、ちらとも見せびらかさないひとだなーとおもって見てました」

「見……せびらかすって、誰にだ?」

「ファンのひととか?」

「江野のヌードを見たいファンなんているか? いたら、ただのマニアだぞ」


紀藤のことばに、江野が物言いたげな顔をする。

逢坂はほほえんだ。


「俺のヌードなんかより、はるかに見る価値があるとおもいますけど?」

「却下。江野のお色気を期待するようなファンはいらねーの。というか、こいつにお色気担なんかさせたら殺される……」

「直さんにですか?」

「ん? あー、そう。あいつは、江野には、こいつの献身的なプレーを評価するファンに愛されて欲しいんだと」

「直さんらしいですね」


そう応じたものの、だからといって神前が親友である紀藤を殺す──それほど怒るところは想像ができない。

逢坂は、ちら、と江野の顔を見た。

怒るとしたら江野自身だろう。

他に紀藤が恐れるとしたら、密かに江野を買っているという、美しい奥さんだろうか、とおもう。


「ところでおまえ、神前を待ってるのか? あいつ、取材だから当分戻って来ないぞ?」

「紀藤さんは、直さんを待ってるんですか?」

「前に先帰ってたら、二週間もぶちぶち文句言われたからな。うるせーから待ってる」

「だから、そんなふうに甘やかすなって言ってんでしょうが。女子高生じゃあるまいし、いちいち待っててやる方が異常だ」


怒ったような口調で江野が言った。

紀藤は手にした雑誌で、パタ、と自分を扇ぐ。


「まあ、そうなんだけどな。女子高生ならともかく、誰があんなのの甘えたにつき合ってやるんだよ」

「……そんな物好き、あんた以外にいるはずがない」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ