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Imitation Star  作者: 十七夜
1:羽角蓮が語る赤間優児
5/50

グラニ時代の証言

桜井陽斗:元横浜グラニ所属、現在イタリアに移籍。アイドル的人気を誇る王様。代表選手。

曽根大樹:元FF所属。ユース出身で、赤間や神前の先輩。グラニからイングランドに移籍。代表選手。

「あのな。洗濯に耐える、そうと気づかれない超小型発信機なんて、一般人がおいそれと入手できてたまるか。相手は特殊工作員じゃなく、ただのサッカー選手だぞ?」

「赤間優児はただのサッカー選手やないき!」


そこは、頑として譲る気はないようだ。


「…………天才って、言われてるよな。頭がいいわけ?」

「ただ頭がいいひとと、天才のちがいなんか、わかるわけないき」

「そりゃそうだけど。おまえ、桜井陽斗はるとや曽根大樹さんともチームメイトだったんだろ。あのひとたちより、すごかったわけ?」

「すご……い、っていうか────おっかない!!!」

「おっかないのはわかったけど。それは天才かどうかとは無関係だろ」

「……そうだ。すごいより、すごみ──」

「凄味?」

「そう。凄味があるんだ……だからおっかない! わかるがやろ?」

「ふうん? 天才の凄味、ねえ。わかるような、わからないような……」

「わ、か、れ!」


ぼこ、と逢坂の腕を殴って怒る。


「直さんいわく、誠さんの同期はえらく仲がいいらしいけど。その、凄味のある天才が、どんなふうに誠さんと仲良くするんだ?」

「あ……」

「ん?」

「曽根さんの前では、なんか、子どもみたいだった」

「はあ? 子ども? ますますどんなひとだかわからないぞ」

「だって、子どもみたいににこにこ笑顔で甘えてて──よけいこわかった!」

「何でだよ」

「曽根さんがオレらにもやさしいからに決まっちゅうが! おまえらアニキに迷惑かけたら殺すよって、目で脅しゆうがよ。超こえー!」

「……アニキ?」

「わかんない。けど、曽根さんのこと、アニキって。や、ヤクザ的な、なんか? ここの土地柄とか?」

「アニキって呼び方とヤクザを結びつけて、勝手におまえがビビッてるだけなんじゃないのか?」

「いいや、もっと恐いものがあるがやき!」

「もっと?」


とたんに、羽角が視線を逸らす。


「さ、桜井さんと、赤間さんの会話……」

「──美形ふたりだな」

「顔やないき! いや、顔がいいだけに、よけいおっかないがよ、あのふたり!」

「仲が悪いってこと?」

「……桜井さんは、赤間さんのこと名前で呼ぶわけ。そしたら、赤間さんはジロ、ってにらんで無視!」

「ち──チームメイトだろ?」


というか、会話がこわい以前に、それでは会話が成立しないではないか。

逢坂の突っ込みが聞こえたように、羽角が身を乗りだす。


「名字で呼べば、なに、って返事するんだよ。こえーだろ?」

「気安く名前で呼ぶなって言いたいわけか」

「赤間さんって、口調がやさしげなぶん、内容とえらい落差があってさ。そこがまたこえーの! 笑顔で、心が折れそうなこと、平気で言いゆう」

「……例えば?」


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