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Imitation Star  作者: 十七夜
エピローグ―礼視点―:交際開始
41/50

「烏骨鶏?」

そして、その翌日──つまり今日には、いっしょに暮らすことを決めた。

そのためにも、逢坂は友人や先輩に、礼を恋人として紹介したい、と言った。

何と言われるのか、と恐怖に背筋が震えた。

逢坂に自分のような人間が相応しくないことなど、誰に言われるまでもなくわかっている。

なのに、逢坂はあっけらかん、と笑っていた。


『礼さんのこと、蓮は誠さんの恋人だとおもってるから、おどろくだろうなー』


ね、と笑顔で問われたら、震えなどどこかに消えてしまった。

おもわず逢坂に抱きついたら、肩を押し返された。

ダメです、と強張った顔をして。


『もうそろそろ、出かけないと練習に間に合わないので。つづきはまた、今夜、ここで。今夜も、ここに泊まっていいですか?』

『こんなに狭いベッドで、もう一晩いっしょに寝て、大丈夫?』

『くっついていれば、べつに。でも、窮屈なら、床にでも寝ますか? 俺は、礼さんといっしょなら、床だろうが何だろうが……あ。そうか、世の中には、ホテルってものもあるのか。そういうところに誘った方がいいのかなぁ』


礼は、ぶんぶんと首を振った。

どんな種類のホテルだろうが、市内に住む逢坂が行けば、一発で目的を見抜かれる。

純然たる女性ならべつに構わないだろうが、礼はそんな場所に逢坂と出入りする勇気はなかった。

それで、結局今日も、礼の暮らすワンルームへとふたりで帰ってきたのだった。

逢坂はベッドに座り、横に座る礼の体を抱き寄せ、さっきから髪を撫でている。

ぞくり、とするような愛撫の手つきだ。


「逢坂くん、あのね」

「名前で呼んでくれないと、返事しません」

「…………」

「大和って名前、嫌いですか? 呼びにくいのかな。ユージ、マコ、レイ、ナオ、レン、だもんな。紀藤さんの奥さんも、ユウって呼んでたし。何か、ちがう名前でもつけましょうか?」

「ちがう名前って……!」


おもわず、礼は吹き出した。

ネジが五、六本外れてる、とまではおもわないが、たしかに逢坂はときどき変なことを言う。


「大和って名前、かっこいいわ」

「そうでしょうか」

「かっこよくて、何だか恥ずかしいの。ごめんなさい……」

「まあいいか。理性がなくなると、呼んでくれるみたいだし。逢坂クン、よりはとっさに呼びやすいんですよね、きっと?」


にっこりと、目眩がするほど端正な顔で、笑ってみせる。

これほどにすてきな男性が、自分を抱きしめ、いとしげに髪を撫でているなど、ぜったいにおかしい。

おかしい、とおもうのに。

逢坂は、ほほえんだまま、ちゅっ、と頬にキスをくれる。


「それで、何ですか?」

「すごく、うれしかったの……」

「はい?」

「服を着てても、脱いでも、きれいだって言ってくれたでしょう?」

「ああ。はい。また見れるとおもうとどきどきするし、これからずっと見れるかとおもうと、ワクワクします」


頬が燃えるようなことを、平然と逢坂は言う。

礼は、逢坂の口を両手でふさいだ。


「だから──その間のわたしは、見ないで欲しいの」


おとなしく口をふさがれたまま、逢坂が首をかしげる。


「女物の服を脱がしていくと、男の体が出てくるのは、滑稽でしょう?」

「……うこっけい?」


わざわざ礼の手をぎゅう、とにぎって口から外しておいて、そんなことをつぶやく。



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