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Imitation Star  作者: 十七夜
7:交際宣言
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抜けてる男

「ちょっと、自分たちが恋人作って、しあわせいっぱいだからってー。──あ」


顔を上げた神前が、礼に向き直った。


「直くん?」

「ごめん、礼。俺、おめでとうって言った? 逢坂はさ、やさしいし、しっかりしてるから、頼りにして大丈夫。ほんとはね、この辺まで、マコだけじゃなくて、逢坂も結婚できない相手を選んじゃうのかー、って出かかってたんだけど」

「……って、この辺までどころか、口に出してるっつーんだ」


神前の背後で、ぼそりと紀藤が独り言ちる。

神前は、聞こえないふりで礼に笑いかけた。


「でも、何がしあわせかは、自分で決めるものだし。逢坂は、腐るほどある選択肢の中から、礼を選んだわけだから。逢坂がしあわせにしたいとおもって選んでるなら、恐いものなんてないよ。信じて、そばにいれば大丈夫だから。逢坂を、よろしくね。やさしくしてやって」


言いながら、神前は礼のブラウスのそでを引く。


「こいつ、ちょっと、抜けてるところがあって。ひとのことにはものすごく気が回るのに、自分が欲しいものとか、やりたいことには、てんで無頓着なんだ。チームのためにも、クラブのためにもいっぱい働いてくれて、働きすぎるくらいだから。まだ若いけど、それじゃたぶん疲れるし。俺たちには弱音なんて吐かないからさ。礼が、大事にしてやって。ほんと、お願いします」


礼が、逢坂を振り返った。

その顔には、困ったような微笑が浮かんでいる。

逢坂は、ほんとうに自分でいいのか、と問われている気がした。

こくりと、うなずき返す。


「ありがとう、直さん。しかし、蓮といい、直さんといい。俺って、そんなに何かが抜けてるんですか? そういえば、紀藤さんにも、何か抜けてるって言われたような……」

「俺が抜けてるって言ったのは知識だよ。でも、常識、と言い換えたっていいかもしれない」

「俺、常識が抜けてるんですか? それ、やばくないですか? 礼さんがすぐに交際をオーケーしてくれなかったのも、そこが心配で?」

「大丈夫だよ。たしかに常識は抜けてるっぽいけど、それで損するようなタイプじゃないから。何にも考えずに、幸運だけを引き当てていくという、マコとは正反対のタイプの男──だから、礼にすすめたんだ。悩むのが好きな男となんか、礼はぜったい合わないから。こいつの底が抜けたバカっぷりも、礼には救いになる……っテ!」


ヒタ、と礼の手のひらが、赤間の頬を打った。

叩いた、というほどの音はしなかったが、赤間は目を丸くしている。


「優児。あなたに悪気がなくても、ひとの彼をバカ呼ばわりしないで」

「礼さん、いいんですよ。底も抜けてるのかもしれないし」

「優児だって、たとえ事実でも、マコをバカって言われたら、頭にくるでしょう?」

「マコはバカじゃないよ。バカなことは山ほどするけど」



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