一生かけて
「こんなもんで褒められても、うれしかないよ。……ていうか、ペットで慰められる程度のさみしさで恋人にされる方のきもちも考えろって言うの。直くんの身勝手な愛情くらい、傍迷惑なものはないね」
おもわず、逢坂は赤間の顔を見た。
紀藤も、おなじように赤間を見ている。
「身勝手ー? そこまで言うことないだろっ」
「しかも、無自覚。つき合ってらんないよ。な、逢坂?」
赤間の視線に次いで、神前の視線も流れてくる。
逢坂はほほえんだ。
「いえ。一生、つき合ったっていいんですけど。でも、一生かけて誰かを不幸にするより、一生かけて誰かをしあわせにできる人生の方が、きっと楽しいですしね?」
「?? う、うん」
首をかしげながら、神前がうなずく。
「で。参考までに。直さんって、どういうタイプの恋人が欲しいんですか? いざとなったら、紹介しますけど」
「えっ! ええっと……」
「いや、考えてもムダだろ。おまえ、アイドルとか見ても、個体差どころか、グループさえ見分けがつかないって言ってるし」
「つ、つかないだろ、あれは。ふつうはつくの?」
「つくから、推しメンってのがいるんだろ。逢坂、訊いても、ほんとムダ! 強いて言うなら、こいつでいいって言うコ、じゃねーの?」
「あ……うん。それだけ。贅沢は言いません」
「直くんだったら、しっかりしてる年上よりか、年下が似合うかな、とおもうんだけど……どう?」
おず、と声を上げた礼が、赤間と江野と逢坂の顔を順に見る。
「まあね、本人が幼いからね」
「優児、コノヤロウ」
「あ……年下と言えば、ひとり心当たりがあります」
「えっ、ほんとう?」
「赤間さんの、弱点──」
言ったら、ぎろり、と弱点の主ににらまれた。
ぷっ、と紀藤が吹き出す。
「いいかも。神前のファンなんだろ? まんざら可能性なくもないかも」
「それって、もしかして、優児の妹のことか?」
「桜ちゃん、今、いくつ?」
「まだ十七!」
「ほら、淫行罪だぞ、って言わないですし。直さんならいいんだ」
「直くんに、女子高生に手を出す度胸なんかないって知ってるからだよ!」
「でも、いずれ、誰かとつき合うし、結婚相手だって紹介されるんですよ?」
逢坂のことばに、赤間が腕を組む。
「二九のとき、ハタチか…………誰かの嫁にやるのなら、まあ、直くんだったら考えてもいいかなー」
「い、いやっ、だって、相手、高校生だろ? まだ、いくらでも可能性があるのに、俺で手を打てなんて、ちょっと安易すぎというか」
「女の子は男とちがって、あれこれ可能性を試せばいいってものでもないからねー」
「神前。俺と出会ったとき、彩音だって一八か一九だったぞ。これとおもった相手は、さっさと予約しとくに限る」
「これって──高校生だよ? 一回会っただけの! 優児の妹だってことしか知らないのに。俺ってそんなに、自力じゃ相手を見つけられそうもないわけ?」
神前のことばに、真っ先に赤間と紀藤が、つづいて逢坂と礼が、遅れて江野もうなずいた。
ひどいっ、と神前が悲鳴を上げる。




