「ずっとお似合い」
「あ。紹介したい相手、その二が来たよ。おまけつきだけど」
赤間の声に視線をやれば、神前がおまけこと紀藤とともに歩いてくる。
逢坂の腕から、礼の手がぱっと離れた。
「何、そんなところで固まってんの?」
「直くんに報告があるんだってよ」
「へ? あっ、礼? 礼だよね。ひさしぶり。俺のこと、おぼえてる?」
突進してきた神前に、礼はぺこりと頭を下げた。
「前にここで会ったとき、挨拶しなくて、すみませんでした」
「は? そんなのいいよ。紀藤がナンパと間違えて逃げたんだとか言うから焦ったけど。それより、今、どうしてんの? マコとはもういっしょに住んでないんだよな?」
「直さん。これから、俺といっしょに暮らすんですよ」
神前の視線が、逢坂を仰ぐ。
「へ?」
「礼さんは、今は俺の恋人です。と言っても、まだ、交際をオーケーしてもらったばかりですけど」
みるみる、神前の口が開いていく。
「うーわー、すごい、アホづら」
「ショックを受けるな、神前! 逢坂がその気になれば、すぐにでも恋人くらいできちまうってわかりきってることだろ」
「う、う、うん……も、もちろん。わかってるよ。わかっては、いたけど──」
「……反対ですか?」
「エっ! い、いやっ、ちがうよ、礼! 反対とかしないし、そんな権利ないし。ぜんっぜん! そんなんじゃないん、だけど……」
「江野とより、逢坂との方がずっとお似合いじゃないか。つーかな、逢坂が美人を連れてると完全に嫌味だけど、ふしぎと彼女が相手だと、納得するしかない。おまえ、案外、趣味がいいじゃないか」
「紀藤さんに褒められるとは、おもってませんでした」
「今度、彩音にも紹介させてくれ。うちの嫁は奇特な女だから、逢坂の相手があなただと知ったら、小踊りして祝福するとおもう」
「あ、彩ちゃんはな……小踊りするよな、ぜったい。逢坂を絶賛するところまで、目に浮かぶ──」
「あなた、もしかして、礼のこと狙ってたんですか?」
「ちがうよ! そっ、そんなことないから! ただ……」
「ただ、何です?」
「ただ、いいなー、俺も恋人欲しいなー、っておもっちゃってるだけだよね? でもさ、直くん、恋人作って、ちゃんと大切にできるの?」
「………………自分のことで、精いっぱいです」
「それでも、自分のさみしさを紛らわしたいがために、誰かを引っかけるってこともできるけどね。それをやると、直くんじゃなくなっちゃうよ」
「だけど、さみしいんだよ! 差し迫ってんの。どーすりゃいいわけ?」
むんず、と服をつかまれた赤間が、嫌そうな顔をする。
「そんなの──紀藤さんのところに早く子どもでも作ってもらうか。自分で、ペットでも飼えばいいんじゃない?」
「ペット! そうか、ペット!! さすが優児、頭いいっ」




