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Imitation Star  作者: 十七夜
6:四角関係…五角関係?
29/50

交際申し込み

「……優児?」


居酒屋の個室の戸を開けるなり、そこにあった顔を見て江野がけげんな顔をする。

赤間と江野に逢坂が同行した時点でいぶかしげだったが、その先に礼がいて、ますますわからなくなったらしい。

礼も、逢坂が来るのは想定外だったのだろう。

意外そうな目で、こちらを見ている。


「こんにちは、古賀さん。おひさしぶりです」

「逢坂くんも、いっしょだったの。……三人で歩いてきたら、さぞ目を引いたでしょう?」

「──そうですね。でも、八割くらい赤間さんが視線を持って行ってくれるので、あんまり気になりません。ね、誠さん?」


席につきながら問えば、江野が嫌そうな顔をした。


「おまえと優児に挟まれて外出な時点で、どんな嫌がらせかとおもったけど。礼もいっしょって……いったい何をたくらんでるんだ、優児?」

「俺が赤間さんにお願いしたんです」

「おまえがか?」


逢坂は、江野ではなく隣の席の礼に向かってうなずく。


「赤間さんに、古賀さんは誠さんの恋人ってわけじゃないと聞いて。それなら、交際を申し込もうとおもって」

「は? 交際?」

「ゆ、優児……っ!」


礼が、あきらかに狼狽した顔で、向かいの席に座る赤間を見つめる。


「優児、おまえ、どういうつもりだ?」

「つもりって訊かれても。こいつにも恋人いないんだろ? マコ、心当たりでもあるの?」

「いや…………それはないけど。たまの休みも羽角と出かけてるっていうくらいだし。──でもな」

「俺は、そういう対象になりませんか?」


問えば、ちら、と逢坂を見た礼の顔がみるみる赤くなる。


「わ、わたしは……っ」

「気になっているのは、あなたが女性ではないってことですか? それとも、赤間さんのことが好きなこと?」

「そっ……!」

「おまえが言ったのか、優児?」

「後者はね」


けろりと言った赤間を見て、逢坂は立ったままの江野にうなずいた。


「きれいなひとですけど、体型を見れば性別はだいたいわかりますよ」

「そ、そうか……おまえなら、そうかもな」


言いながら、江野も椅子を引いて腰を下ろす。


「というか。すみません、黙ってましたけど……俺、古賀さんもクラブの先輩だって、誠さんに紹介されたときから気づいてました」

「えっ……」

「誠さんの恋人だとおもっていたので、言わない方がいいのかな、とおもって。それで、黙っていたんです。どっちにしろ、初対面でしたし」

「──そうか。三つちがいって、そうかもな」


江野は納得したようにうなずいたが、礼は肩をすぼめてうつむいている。


「俺、性別はまったく気になりません。男だから好きってこともないですし。同性だと知られたら困るってこともありません」

「…………でも」


蚊の鳴くような声で、礼が洩らす。


「何ですか? 何でも訊いてください。答えますから」


声に、やや顔が持ち上がった。

が、またすぐにうつむいてしまう。



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