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Imitation Star  作者: 十七夜
5:逢坂vs赤間
24/50

男体のひみつ

「あの……誠さんにとって、赤間さんとつき合うことは恥ずかしいこと、なんですか?」

「──当然だろ?」

「でも、赤間さんはそこらの美人よりよっぽど希少価値ですよ。手に入れて、恥ずかしがる理由がわかりません。おおっぴらにすることではないでしょうし、誠さんがそうしないのはわかりますけど」


内心、誇るというのなら逢坂にもわかる。

きっと江野は、他の誰も知らないような赤間の顔をたくさんしっているはずだ。

それは、他人が心底うらやむもののはずなのに。


「…………褒めてくれたお礼に、正直に答えてあげる」


そう言った赤間の顔が、接近してくる。

耳元に、吐息が触れた。

ふたりきりでいるのに、こんなに顔を寄せて話をする必要があるのだろうか。


「あのさ。おまえは俺がマコに抱かれてるっておもってるんだろうけど。抱かれてるのは、マコなんだよ」


おもわず振り向けば、くちびるが赤間の頬に触れた。

いや、くちびるの端に、だったかもしれない。


「あ……すみません」

「意外だった?」

「そりゃ──だって……」

「いくら鋼鉄製の神経でも、自分が男に抱かれてるとしたら、他人に知られるのは恥ずかしい?」

「……俺もこの際、正直に答えますけど」

「ふうん?」

「相手に合わせてるだけなら、ぜんぜん恥ずかしくありません。体投げ出して人助け、みたいなものでしょう? でも、自分がやりたくてやってるんだとしたら、それを知られるっていうのは、恥ずかしいです。抱かれたい、っていうのはふつうに備わってる衝動じゃないとおもうので」

「──備わってるよ。自覚してないか、認めようとしないだけ」

「えっ…………」

「おまえ、知ってる? 男にどうして乳首があるか」

「ハ……イ?」

「必要ないだろ。必要ないものなんておよそ人間の体にはないんだけど、男の乳首はどう考えたって必要ない」

「……ですね」

「つまり、男の体は、女の体の変形ってこと。ベースは女体の方。女体にはぜったい欠かせないものが、男の体にも消えずに残ってるんだ。抱かれたい、も男の中に残ってる。射精の衝動は男にとって強烈なものだけど、それで覆い隠した奥には、消えない女体と共通のプログラムが入ってるんだよ。消せないから、かんたんに手に入る爆発的なものでめくらましをするしかない」


気づけば、逢坂はぽかんと口を開けていた。

赤間の表情は、そのことばを真剣に言っているのかどうか、つかませない。

逢坂にわかる真偽は、射精の快感についてと、それを得れば大抵の男は満足するということくらいだ。



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