地球にとっての太陽のように
──神前のきもちが、わかる気がした。
そんな存在を目の当たりにしていれば、うらやましくてならないに決まっている。
赤間の信頼が欲しくて、でも、江野のようにはなれなくて──
だから、心が縛られ続けるのに、ちがいない。
何が江野を特別たらしめているのか、わからないけれど。
赤間にとって、江野は『とくべつ』なのだ。
江野にあるとくべつさならば手に入りそうな気がするから、きっとあきらめることができないのだろう。
けれど、逢坂にはわかってしまう。
江野は、赤間にある恐ろしさをものともしない、信念の持ち主なのだ、きっと。
仲間、と決めた以上は、牙があろうが爪を隠していようが毒があろうが、恐れずに手を触れる。
その手の貴さは、赤間にとっての江野を見ていれば疑いようもない。
けれど、江野は、みほんがあってそうしたわけではないのだ。
いっしょのチームにいる同期は自分の仲間だという信念ひとつで、彼は赤間にも寄って行ったのだろう。
江野にとっては、そんなものは勇気でも何でもないのかもしれない。
ただ、そうしなければ気が済まないだけ、という気もする。
でも、たしかに江野の持っている、清廉さのひとつの形にはちがいなかった。
もちろん逢坂も、それが彼の美徳なことはわかっている。
それでも、夜空にいくつもある星のように、とくべつな何かだとおもったこともなければ、とくに必要としたこともない。
けれど、地球にとっての太陽のように、とくべつなことだってあるのだ。
それが無くては、すべてが闇に包まれるくらいに──
赤間優児が、なぜ、ここに帰って来たのか。
理由は、江野誠だ。
それ以外には、考えられないとおもう。
故郷であることも、ファンがいることも、そんなことはきっと赤間にとって理由になど、なりえない。
彼流に言えば、他のことなど、どうでもいい──のだろう。
神前がよろこぶかどうかさえ、どうでもいい、のだ。
「どうしたんだ、逢坂?」
「返り討ちを脳内シミュレーションでもしてんじゃねーの?」
笑い混じりに言った紀藤が、目の前でひらひらと手を振る。
「してませんよ。──それより、ちょっと誠さんに訊きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「な、何だ?」
「もしも、の話なんですけど」
と言えば、江野がわずかに表情を固くしたのが見て取れた。
「もし、誠さんが女性だったとしたら、赤間さんと俺、どっちを選びますか?」
「────は?」
「おまえアホか! 赤間優児とは争っちゃダメって、オレ、言うたがやろっ」
羽角が小声で叱ってくる。
「おまえがそんなアホなこと訊きたがるとは、俺も意外。でも、江野の答えは聞いてみてーな、たしかに」
「あんたまで……」
江野が渋い顔で紀藤を見た。




