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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
3章 VSグレムリン
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第8話

サタンと話をしているにつれて傷が治ってきた私は、すぐにさっき襲われた小屋へと移動した。


今どこに潜んでいるかもわからない相手を手掛かりもなしに見つけだすのは、気配を感じ取れる能力を持っていないと難しいのは分かり切っている。


だけど、向こうが攻撃してくる前にこちらから行動を起こせばどうなるだろうか?


グレムリンのようなタイプはこっちが攻撃をしてこない時を見計らって私に攻撃をしてきているはず。


だからこっちが先手を取ると、うかつには動けないはず。


そう思った私はまず小屋をズタズタに破壊してやった。


敵のテリトリーをまず壊して、相手を動揺を誘う。


そうして私が小屋を破壊し尽した後、こう言い放つ。


「おい卑怯な悪魔め!聞いてるのか!姿を現さずに物を使って攻撃しかできないとかほんと情けないって。サタンには攻撃しないのはあんたがサタンを恐れてるからだろ?弱い自分が勝てるわけないと、そう思ってるんだろ!だからこの名もしれない弱そうな私を攻撃するのか!七大魔王だっけ?あんたみたいなのがいるんだから全員大したことなかったりしてね~。なんであんたなんかが七大魔王に選ばれたのか理解に苦しむよ。悪魔になりたての私を殺せないなんてね~」と嘲笑いながら見えない相手に向かって私は挑発した。


とりあえず第一の作戦はオッケー。


これだけ馬鹿にされたままグレムリンが何もしてこないわけがない。


見ず知らずの無名の悪魔に馬鹿にされるのは屈辱的だろう。





そして、小屋の近くに生えている木に歩いていく。


見たこともない果実が実っているので、興味が湧いて見に行くフリをして、私はゆっくりと腕に力を込めて、私を虐めていたあいつらを殺したときの事をイメージしながら木に近づいていく。


腕を刃物のように扱えたあの時のように。


信じろ。私なら出来るはずだ。





あと五メートル。


四、三、二、一・・・・・・。


そして私は腕が木に触れる所まで来た。


よし、後はもう一芝居打つだけだ。





「うわ~!なにこの果物??見た事ないな~!試しに食べてみよっと」


と自分でも笑ってしまうような下手な演技だったけど、多分大丈夫。





私がその謎の果物をもぎとろうとした瞬間、木の枝が急に伸びてきた!


予想通り!!グレムリンは今この木に入り込んで私を攻撃してくるに違いないと思っていた。ここまで予想が当たると嬉しくなってきてだんだんと気持ちも高ぶってきた。


よっしゃ来たぁ!!と心の中で叫びながら、私は力を込めていた腕をその伸びてきた木の枝に向かって思いっきり当てた。


すると、その枝はスパッと綺麗に切れて宙を舞うと同時に、本来木の枝から出るはずがない真っ赤な血がドバっと出て、「ぎやぁぁぁ!」という叫び声がこの空間に響いた。


すると、目の前にあった木の幹からポロっとそいつは出てきた。


全身が薄い紫色をしていて、手は私が攻撃された時と同じく赤色だった。


私が切り落としたため、左腕はなかった。翼は生えていないみたいだ。


「やぁ。あなたがグレムリンだね?予想通り小さくて弱そう。早速だけど、鍵を渡してくれないかな?持ってるんでしょ?」


「な、なんだお前!どうして僕が木にいる事がわかった!?」とグレムリンはえらく動揺しながら私に聞いてきたので私は「あなたが馬鹿だから」と伝えた。


「まさかこんな見え透いた罠に乗ってくれるなんてね。やっぱりサタンが言っていた通り、あなたが七大魔王に選ばれたのは謎だよ。愚かすぎる。こんな悪魔になりたての私でさえ倒せそうと思えるんだし。ねぇ、せっかくだし教えてよ。どうして七大魔王になれたのか」


「お前・・・・・・あの大魔神だったサタンと一緒にいるかと思ったら、今度はアスモデウス様の部屋の鍵を渡せだって?一体何を企んでいるんだ?」


「『アスモデウス』。それが今の大魔神の名前だね。この名前も聞き覚えはあるなぁ。まぁ今はそんな事はそうでもいいんだよ。私の話聞いてた?どうしてあなたが七大魔王になれたかって聞いているんだよ。教えてね?」


グレムリンは私を睨みながらはっきりと答えた。


「それは、僕がアスモデウス様の恋人だからだ!」


「・・・・・・恋人?この世界でも恋愛とかするんだね」


「そ、そうだ!何が悪いんだ!あまり悪魔の中でも強くなかった僕に、あの人は優しくしてくれた。だから好きになっていったんだ。告白したら向こうもオッケーしてくれたし。それにこんな立派な空間と七大魔王の称号もプレゼントしてくれたんだ。だから、僕は今七大魔王になれている」とグレムリンは答えた。


「なるほどね。ま、どうでもいいんだけどねそんな事情。とにかく早く鍵を渡してもらおうかな。どこにあるの?」


「お前なんかに教えるものか!何をしようとしてるかしらないけど、絶対に僕は鍵を渡さない!」


「へぇ。少し見直したよ。なら、力ずくで聞くまでだね」


ゆっくりとグレムリンに近づいていく。


負傷しているおかげで相手はすぐに動けないみたいだし、このまま攻撃するか。


「次は右腕を切断してあげようか?それとも、右脚?左脚?」


私はグレムリンに問うた。


しかし、一向に何も言う気配はない。


「どうしよっかな~?うーん、やっぱり右腕にしとこう!」


そう決めた私は再び腕に力を込めて、グレムリンの腕に振りかざした。


その時、私の心臓にグサッと何かが刺さった。


「なっ、お前・・・・・・」


胸を見てみると、そこにはさっき私の頭を貫こうとした包丁が刺さっている。


「なんでっ、能力は物体に入り込んで操るんじゃなかったのか?」


「僕は物体の中に入りこむだけじゃなくて、物体を遠隔で操る事だって出来るんだよ。残念ながら、力はあまり入らないからお前の心臓を突き抜ける事は出来ないだろうけど、それでも十分な傷は負わせる事ができる。油断したね。さっき散々僕の事を馬鹿にしてくれたけど、もうその生意気な言葉を言えなくしてあげるよ」





刺さっていた包丁を急いで抜こうとしたら、グレムリンが私を蹴飛ばした。


そのまま十メートルほど飛ばされて、刺さっていた包丁がさらに心臓に突き刺さるり、強烈な痛みが私を襲った。


「ぐぅあ!っ・・・・・・」


やばい。物体を遠隔で操れるとは予想はしていたけれど、まさかだった。


グレムリンの言う通り完全に油断していた。


このままじゃやられる!!


いや、落ち着け。まだ大丈夫だ。ここはあえて虚勢を張って・・・・・・。


「ねぇ、忘れてない?私にはサタンがいるんだよ?私を殺す前に、サタンがお前を殺すんだよ?」


「はぁー。なぁ、本当にサタンが助けてくれると思ってるの?」


グレムリンはそう淡々と言った。


「当たり前でしょ!私はサタンを信じてるから!」


「そう。ならそう思っておけばいいと思うよ。だけどその予想は絶対に外れるけどね。僕にはわかる。あいつはお前を助けない。そういうやつさあいつは」


何を言ってるんだこいつは・・・・・・そう言ってるんだからそうなんだろうさ。


いまいちよくわからない事を言うやつだな。


「散々僕をコケにしやがってた仕返しだ。今すぐ殺してやる!」


グレムリンはそう言うと蹴り飛ばした私のとこまで凄い速さで走ってきた。


くそっ。動きたいけど、心臓のダメージが大きくて動けない。


どんどん近づいてくる。


その時、走りながらグレムリンは私にこう言い放った。


「どうせ人間のままじゃロクな人生も歩めてなかっただろうなぁ!悪魔になりたいとかいうやつにまともな人間はいない!悪魔になれたからって調子に乗りやがって!お前なんかどの世界にも必要ないんだよっ!!」


「黙れっ!!」


私は思わず叫んだ。


この世界でも私の居場所はないのか?


なんのために悪魔になったんだ。


世界を壊すためじゃないか。


こういう腐った考えを持つやつを消し去りたいんじゃなかったのか。


まだスタート地点に立ったばかりなのに、こんなところで負けれない!


だけど、今はサタンが助けてくれるのを待つしかない。


回復が追いつかない以上ここから私は動く事が出来ないし。


よし、後は任せたよサタン。許してね。


こんなところでつまずいちゃちゃって。





グレムリンはもうすぐ私の前に来る。


右腕の鋭い爪で私を切り裂くつもりだろうか。


怖いけど、どうせグレムリンが攻撃する前にサタンが来るのはわかってるし、目を閉じて休んでおこうか。


やっぱり目を開いておこう。


サタンがどんな風に戦うか見てみたいし。


大きく尖った爪が私を今にも襲おうとしている。


「死ねー!僕の命に代えてもアスモデウス様には近づかせない!」


そう叫びながら、グレムリンは私に向かって爪で引き裂こうとしていた。


おぉ。ギリギリで助けるつもりだなサタンは。


シチュエーションにこだわるやるだったとは驚きだよ。


ま、何でもいいけど。ほーら、もうすぐ私が攻撃されるよ。


この瞬間に助けるんだね!


と思った瞬間、私とグレムリンは思わず同時に言葉を漏らした。


「あれっ?な、なんだこれは!」


「えっ?ど、どういうことなの?」





私とグレムリンが驚いている理由は少し違っていた。


今の状態を説明すると、グレムリンの腕が私の心臓部分を貫通しているということだ。


そのはずなのに、私は生きている。


痛みもなく、何かが触れている感触がない。


血もナイフで刺さっている部分しか出ていない。


しかし、見た目では完全に私の心臓を貫いている。


どういう事なのか全然理解が出来なかった。


しかし、私は自分の状態より気にすることがある。





「サタンが・・・・・・助けに来ない?」








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