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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
7章 VS剛強無双の大男 平将門
53/80

第53話

少し更新が遅くなってしまい申し訳ないです。

「ほないくでー。うらぁっ!」


サタンの右腕が将門に向けて一直線に伸びる。

と同時にリリスの左腕(正式には髪の毛だが)も将門に向かっていった。

だが、いとも容易く受け止められたその攻撃に深い溜息を吐きながら呆れた顔をまたも将門は見せる。脚にダイレクトに当たっているはずなのに何も感じていない様子を見ると、全くその攻撃に意味はないのだとすぐにわかった。

「はぁぁぁぁ・・・散々期待させておいてこの攻撃とは。もう少し芸があるのかと思っていましたが、今のあなたはそちらのメサイアさんにすら遠く及ばないですね」


「殴ることが芸がないやと?基礎を馬鹿にするやつにロクな奴はおらへんな。変わった戦いをすることだけが良いっちゅうんか?生憎やがそういう小細工は今は出来へんのや。でも、お前みたいな筋肉しか取り柄のないゴリゴリマッチョ野郎には殴るだけで充分すぎるで」


「ペラペラうるさいですねぇ!!」


攻撃された脚をブンっ!と動かし、サタン達に命中し、またも物凄い勢いで吹き飛んだ。受け身をとったようだが威力が高すぎてそれも意味をなしていない。ガードしたとしても吹き飛ばされてしまうのがオチだ。

だが将門を倒すにはひたすら攻撃するしかない。効かなくても馬鹿みたいに殴り続けるしかない。それはサタンだけではなくわたしも同様。なぜならわたしの考えてる攻撃は殴ることだからだ。ただサタンとは違う。わたしはさっきの将門のジャンプを見て考えついたのだけど、いや、考えついたと言うと大層な考えだと思われてもあれなので期待はしないでと先に予防線を張らせてもらいたい。芸がないのはわたしが一番わかっている。そりゃ透明になれるとかなんか珍しい能力は持ってるけど、この戦いに勝つためには守りじゃない、攻めが大事なのだ。いずれ扱えるようになってきたら攻撃にも活用できるんだろうけど、今のわたしは攻撃を免れるぐらいしか扱えない。

そんな悠長に技の練習を試している時間などないのだ。

だから、殴る。

力を、溜めて。

実に、単純に。

将門が飛ぶときに脚に力を入れているのを見て気付いたのだけど、わたしは普通に殴ることしかしていなかった。ちょっとは力を込めるけど、むしろそれくらいでも普通の相手には通用すると思っていたからだ。手と腕が痛くなるほど力を込めるというのはしていなかったが、ガーディアンの共闘モードが使えるようになった今、わたしに身体能力は異常に上がっている(と思う・・・)から、力を殴る腕に真剣に込めればかなりのパワーを生み出せるだろうと推測した。

普通に殴ってもあの屈強で頑丈な体には効かないだろうし、むしろこっちにダメージがある恐れもなきにしもあらずだろう。体を鍛えているであろうサタンは大丈夫だろうが、悪魔になりたてほやほやのわたしがあの体を殴れば確実に力負けする。頑張ってトレーニングしないとな。


「こんなことになるなんて・・・ごめんなさい」


後ろを振り向くとめちゃくちゃしょんぼりしたオオカミさんがいた。

あんなにアスモデウスに忠誠を誓っていたとは思っていなかったわ、と計算が外れて余程ショックだったのかずっと下を向いている。別にオオカミさんが悪いわけじゃないのに、ここまで落ち込まれると逆にこっちがすごい悪いことしたようで気が引けるのですぐさまフォローを入れる。


「いやいや、オオカミさんが謝ることじゃないですって」


「あの声に笑わない悪魔に対してはすごく優しくなるの、彼。忠告はしたといえど、あの声に笑わなかったあなたたちなら大丈夫だろうって思ったの。でも危惧するべき問題はもっと別のものだったのね。交渉がダメだったとしても、せめてこうなる展開だけにはしたくなかったのに」


「ほんとっオオカミさんのせいじゃないので!あんまり落ち込まないでください」


実は笑っちゃいそうだったんですよ~なんてこの状況で言ったらどうなるだろう。

・・・やめとこ。


「こうなった以上やるしかないです。あいつを、殺るんです」


「けど、私の今の銃じゃ将門相手には通じないわ」


「もともと今の状況はわたしたちが作ってしまったので、オオカミさんは戦わなくて大丈夫です。もしわたしたちが負けたとしても、将門はオオカミさんには手は出さないと思うので、もしもの時はすぐに逃げてください」


「そんなのダメよ!私はあなたと共に歩んでいくと決めたんだから」


なかなか引き下がってくれないな。

本当にあなたのせいじゃないんですって伝えているはずなんだけど、相手の気持ちを理解するのは人間の時と同じで難しい。

あんまり言うとそれこそオオカミさんに申し訳ないっていう気持ちもあるし。なら、極力その気持ちを受け取る答えを出そう。


「そこまで言ってくださるのなら、一つだけお願いをさせてもらいます。銃は効かなかったとしても気を引くことはできますよね。わたしたちが危ない状況になった場合、将門目がけて発砲してください。それだけで大丈夫です」


「危ない状況って、死ぬってこと?」


「そうです。正直勝てる自信はまだわかりません。今わたしが試しているのもやったこともないので、勝てるとは言いにくいです。もしこの一撃がダメならわたしも終わりです。それにサタンも何か考えがあっての行動だと思いますが、捨て身にしか思えないあの行動も危険でしかない。将門がすぐにでも本気を出せば殺されるかもしれない。だからお願いします、気を引くだけでいいんです」


「・・・・・・わかったわ。でも、あなただけは絶対にしなせたりしない」


複雑そうな表情を浮かべながらも渋々わたしの考えを聞いてくれるっぽくて安心した。あなただけって言うあたり、サタンは死んでも構わないわ!とか思ってないか心配だけど、わたしがサタンも守ってとお願いしたから多分大丈夫だとは思う。

それと、わたしもすぐには将門の標的にはならないと思っている。サタンが上手いこと挑発してくれてるおかげでわたしには気が向いていないみたいだし。

って思ってたら急に「あなたを先に始末します」とか言ってわたしに来たら最悪だけど。まぁそこは祈っておくしかない。

なんにせよ、今のうちに力を溜めないと。

ぐっっと右腕と拳だけに意識を集中させる。


『篝様。まさかこんなしょうもない作戦だったとは思いませんでした』


「うるっさい!これぐらいしか思いつかなかったのよ」


『けど案外悪くないはずっす。身体能力の実験的な意味合いもありますし、とりあえずそれをやるしかないっすね!まっ、後はあのコンビに頑張ってもらうしかないっすけど』


そう。わたしよりもこの勝負に勝つためのポイントはサタン達にかかっている。

あえて作戦は伝えないって、勝算がないとそんな事言えないはずだけど。









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