第38話
「ちょっ、ちょっと待てやオオカミ。八俣遠呂智『軍』ってどういうことや・・・!それに秘密集団ってなんやねんそれ。つーかなんであんたが知ってるんや?!」
「まぁまぁまぁちょっと落ち着きなさいって。やっぱり気にしてたのね、オロチさんのこと。いや、そりゃしょうか、あの時の大事な数少ないサタンを慕っていた一人だし」
その名前がここで出てくるとはわたしも思ってもいなかったのでかなり驚いたが、少しずつだけど点と点が繋がりかけていた。姿を現さない行方不明のオロチ、それに謎のファントムのルナ。それに秘密集団というのも納得がいく。富士の樹海に仕掛けれられていた罠は拠点を知っているものを消すため。そして転々と居場所を変えて誰にも知られないようにして、バレた時のために罠を張っておくという算段なのだろう。少なからずこの話と関係があるのは間違いない。
「これはアスモデウスも知らない極秘情報なの。あれはいつだったかしら・・・うーんだいぶ前の話だったから忘れたけど、とある悪魔の暗殺をアスモデウスに頼まれたの。そいつは悪魔界でも問題になっていた同族殺しの問題児、イグ。蛇を召喚し自由自在に操る悪魔だったわ。他にもいるんだけどそいつは特に酷くて、アスモデウスの手下を狙って次々と殺していった。手強い相手だったけどなんとか仕留めて、殺す直前であいつはこう言ったわ。『俺を殺したからっていい気になるなよ・・・我ら蛇神が集いし八俣遠呂智軍は必ずお前たちを滅ぼす。すでに計画は始まっているのだからな』と。なんで私がその事をアスモデウスに言わなかったのか疑問に思ってるだろうけど、忠誠心がそんなにないだけよ」
「嘘や・・・嘘や嘘や嘘や・・・・・・あいつに限ってそんなことするはずない。あんだけ情に厚かったあいつが悪魔殺しを指揮してるなんて信じられへん」
オオカミさんに食って掛かっていたさっきまでの勢いとは真逆のハイパーしょんぼりモードに突入してしまったのか、もう話すらまともに聞ける状態ではなくなっていた。なんかぶつぶつ小声でつぶやきだした姿を見て本格的にヤベーやつやんと察するがちょっと心配にもなる。
それほどまでにオロチはサタンにとって大きい存在だったのかと思うと、そのオロチが今どうしているのかわたしも気になり始めてきた。だが今の話を聞く限り過去のオロチと今のオロチは変わりすぎているっぽいから、会いたくて会いたくて震えるほど会いたくもなかった。
落ち込んでいてくれるおかげで会話に首を突っ込まれなくなって楽に話ができるわと笑いながら話すオオカミさんに少し引いた。
「話が進みそうにないから一旦この話とサタンは置いといて、メサイアに先に言っておくわ。次に狙う悪魔は剛強無双の大男、平将門よ」




