第27話
「早速やが、うちらは別々に移動するで」
「えっ?じゃあなんでわたしと同じ場所からスタートしたの」
「同じ場所にいると思わせといた方が好都合やろ。あいつは多分すぐにここにやってくるはずや。勝負を長引かせるような感じがないし、一瞬でケリをつけるつもりやろ。だからここにはうちが残る。メサイアは他の場所にいとけ。何よりアイツの能力がわからん以上ここに二人でいるのはリスクが高いし、お前を死なすわけにはいかん。もしこの場所で銃声が聞こえたら、お前はここにひっそり来てチャンスを伺いつつオオカミを仕留めろ」
「けどサタンは・・・サタンは大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。お前は自分の身を心配してればええんや。なんてったってうちは大魔神やったんやからな」
「わかった。死なないでね。あと、わたしの心の中を読むのはもうやめてよね。あんなんされたら落ち着けないから」
「この戦いに勝ったらそうしたるわ。ほなグッドラック~メサイア」
また生きて会えたらと戦地へ赴く兵士達のように、わたしたちは別々に別れた。どこへ行こうか迷っている暇もなかったので、なんとなく南へ向かうことにする。お互い東西スタートなので、わざわざ遠回りしてまで南を通過してくることはないだろうから、オオカミと出会う可能性も低いはず。
急いで移動してきたこともあって、南のスタート地点にすぐたどり着いた。
そこには確かに綺麗な川が流れ、人間界にいるような魚も泳いでいた。透明度が高く自分の姿が映ったので、ふと自分の姿をぼーっと見ていた。あぁ、こんな見た目なんだ。
ちゃんと見た事なかったけど、ようやく自分が人間ではないのだと改めて気付かされた。
まぁ、今の見た目も漫画のキャラクターみたいで案外気に入ってはいるのだけども。
力も手に入ったし。
なんとなくだけど、人間のころは出来なかった魚の手掴みをしたくなり、目の前で泳いでいる魚をターゲットに今の力を試したくなった。しょうもないとか言わないで。魚の手掴みってそんな施設でやるような簡単なやつじゃないから。普通の川で泳いでるようなやつだから。そりゃ人間でもすごい人は手掴みで泳いでる魚を捕まえれる人もいるんだろうけど、普通の人は無理だからね。
気持ちよく泳いでるお魚さんを殺すのは申し訳ないけど、わたしは勢いよく魚めがけて手を伸ばした。
捕まえれたのは捕まえれたのだが、手掴みではなく爪でぶすっと刺している状態での捕獲となってしまった。うーん微妙。まだまだ悪魔の力の微調整が出来てないな。まっいっか。
捕ったお魚さんは食べようかと思ったが、名前も知らない悪魔界の魚を食べる勇気なんてヘタレのわたしにはないので、地面を掘って埋めた。南無阿弥陀仏・・・
「そろそろオオカミさんがサタンのとこに行ってるのか」
銃声が聞こえたらってのは、オオカミさんの銃声ってことなのかな。
サタンもショットガンは持ってるのは持ってるけど、プライドがどうのこうのって言ってたし・・・でもあのサタンのことだし、普通に撃ちそうな気もしないでもないけど。
うーん、でもなんか引っかかるんだよなーオオカミさん。
考えてもわからないし、とりあえず木にもたれて待っておくことにしよう。
心地いい天候でつい寝そうになったが、なんとか耐えるように頑張ったが無理だった。
ちょっとくらい寝てもいいよね。
そう思い目を瞑る。あぁぁ気持ちいい。
ハンモックで本を読みながらダラダラしたい。
寝ちゃおっ!
「うふふっ♪」
ん?誰かの声が聞こえた。
意識が遠のいていくのを阻止して目を開けるとオオカミさんが目の前にいた。
「うわぁっ!!!」
血の気が一気に引いていき、眠りかけていた脳は一気に覚醒した。
急いでハンドガンを手に持ち、間合いを取る。
「もうっメサイアったら、戦いの途中で寝るなんてほんと面白い子ね」
「でっですよね!あははっほんとわたしったら何を考えてるんだか・・・」
マジで何考えてるんだか。殺し合うって言ってるのに寝ようって考えがでてくる自分が恐ろしいわ。
そんなことより、何でオオカミさんがここに来たんだ。わたしのいる居場所がわかるわけが・・・
「なんで私がここに来たんだろうって考えてるでしょ」
「なっなんでそれを」
「顔に出てるわよ」
「左様でございますか」
「まぁその理由も後で教えてあげるわ。それよりメサイア、私と仲間になる気はない?」
「え」




