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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
5章 VS銃使いのオオカミ
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第19話

「銃使い?オオカミってあの獣の狼のこと?」


「そうや。今度の相手はグレムリンとは比べられないほど強敵や。言うても倒せへん相手ではないはず」


グレムリンでさえあれだけ手こずったのに、わたしがその強敵に勝てるのだろうか。

溢れ出てくる不安と恐怖を抑え込み、サタンの話を聞く。今は相手の事を知らなければ。


「その相手ってわたしと同じファントムなんだよね。七大魔王に選ばれるのはファントム以外の悪魔だと思ってたけど何で選ばれたの?」


「七大魔王に選ばれるのは大魔神の独断と偏見やからな。だからグレムリンみたいな弱っちいやつがいるのだって間違いやない。なんでファントムが選ばれるかってことやけど、それはうちら普通の悪魔と違って物凄い能力を持って生まれることがあるからや。それはうちなんかはるかに上回るほどや。確率的には宝くじで三億円が当たるのと同じくらいかな?いや、それよりは当たりやすいかもしれんけど。まぁそのくらい貴重なファントムもいる。そもそもファントムになれただけでもすごいんやけどな」


だからあんたには期待してるんや。

希望の炎を眼に灯し、じっとわたしを見つめてそう言った。

どうしよう、そんな期待されてるなんて思わなかった。

というか、期待してるならあの時見殺しにしないで来てくれたらよかったのに。


「もうその話は掘り返さんといて~な~篝ちゃん。ごめんやって」


「あっうん。わかった。てかわたしの心の声を感じ取るのやめてよ。何かプライバシーがないみたいで落ち着かないんだけど」


「うーーーん。まぁ篝ちゃんがそこまで言うなら今はそうしとくわ」


そうしとくわって。そんな簡単にできるものなのかよ。Wi-Fiの電波をキャッチするしないぐらい簡単なものなのかよ。別にいいけど。


「とりあえずや、オオカミのことについてわかってることは銃使いってことだけや」


「マジですかぁ。強敵とか言っといて相手のこと知らないとか非常識すぎるでしょ」


「そんなん言うても知らんもんは知らんのや。というか、ほとんどの悪魔がどんな能力を持ってるのかもうちは知らんから、後の七大魔王のやつらのことも当然わからん。ただ強いってことだけは知ってる」


特にオオカミのエピソードは悪魔界でも有名やでと前置きしてサタンは話し出した。


「もともとは日本に住んでた狼やったけど、ある日群れで行動している時に猟師に撃たれてな、共に行動していた仲間は即死状態。急所を運よく逃れて一頭だけはまだギリギリ生き延びてた、それがオオカミや。でも撃たれて出血多量の状態ではもう自然界では生き延びていくことなど不可能やった。だから鼬の最後っ屁で遠吠えをして他の狼に危険を知らせた後に息絶えた。人間への怨念を残してな。しかしその凄まじいほどの怨念を感じたアスモデウスは日本に瞬間移動してその昇天していく魂を掴み宿主に戻し、すぐに悪魔の烙印を押した。心臓は止まっていたが、魂さえあれば悪魔になれる可能性があるからな。そして運よくその一頭の狼は悪魔になれたわけや。悪魔になったことを良いことに、オオカミは人間界にいる猟師を殺しまくった。自分を殺した猟師だけやない、同じ動物達を殺している猟師達や、ペットを虐待してる愚かな飼い主、そしてアスモデウスが指示した悪魔までも。まぁこれは助けてもらったお礼にってことやろうけど。当然ながらそれは今も続いとる。自分が殺された満月の夜に殺すのが決まりらしくてな、相当人間のことを恨んどって、自分が銃で殺されたのと同じく銃で人間を殺してる。その銃もまた特殊でな~、自分で色んな銃を作れる器用なやつやねん。もともと悪魔界には銃なんてもんは無かったし、対悪魔用の銃を作れるのはオオカミだけや。もっとも、その銃を他のやつらにあげる気はさらさらないらしいが」


「その銃はどんなものがあるのかサタンは知ってるの」


「銃の性能については知らんなぁ。まぁうちが知ってる限りでは様々な属性を付け加えた弾とかか。炎、雷、氷、毒など他にもまだあるはずうや。うちが知ってるのはこれぐらいやな」


「全然知らないじゃん・・・」


「当然のことながら能力も知らん。だが銃だけでこの地位にいるわけではないはずや。手練れの悪魔を銃だけで始末できるとは考えられんし、恐らく能力にその秘密が隠されてるやろう」


「もう考えるだけ無駄だしさっさと行こっか」


「へいへいちょい待ちちょい待ち~」


落胆するわたしを無視してハイテンションにサタンは言う。


「朗報もあるんや。うちがあんたの能力をオーディンの爺さんに聞きに言ったことは覚えてるやろ。それでわかったんやが、あんたは透明になれる能力”ステルス”も持ってる。まぁあの状況を見る限り全然使いこなせてないみたいやけど。この能力を持つやつは珍しいらしくてな、爺さんが知る限りでは二人だけやそうや。しかし使いこなせば確実に強くなれる。やけどこればっかりは実践で試していくしかないからな、次も頑張ろうな篝ちゃん!」


「ステルス。ステルス、ねぇ」


確かにわたしが今死なないでいるのはこの能力のおかげなんだけど、実践で試していくしかないのは怖いなぁ。もし上手く能力が発動しなかった時はどうなるんだろう。そんなのは教えてもらわなくてもわかる、死ぬだけ。だけど今は進むしかない、サタンの言う通りにするしかない。

それにリリスさんもいるしなんとかなるはず。


「ふーーーっ。それじゃ行こっか」


空を仰ぎ、静かに燃え滾る闘志を身に纏い、わたしたちはオオカミのいる場所に向かった。






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