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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
4章 幻影との遭遇
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第17話

「どうしよう!ねぇサタンどうしよう!!」


「慌てんな。こうなったら全部の攻撃を止めるしかない」


「止めるってどうやって。こんな数の刀無理だよ!」


「無理ちゃう!!!どんな時でも希望の光は照らされている!諦めなければなんとでもなるんや。寝てたとこすまんけど一緒に頼むでリリス。あんたも死にたくはないやろ」


そう言ってサタンは髪をくるくると指で巻き始めると、見る見るうちに髪は人の形になり始めた。

しかし形が形成されたのは腰から上の上半身のみで不完全な状態。

これが完全な状態だと言われては元も子もないが、とにかく悪魔であるのは確かだ。


「新入りさん・・・こんにちは」


ぼそっとつぶやくように女性のか細い声が聞こえたが、声が小さすぎてよく聞こえず聞き逃してしまった。恐らくこの髪に擬態しているリリスって名前の悪魔しかいないので、わたしが何を言ったのかをもう一度聞き返そうとすると「おまっ、こんな時に呑気に挨拶してんなや!はよ攻撃止めるで」

とサタンが言葉を遮った。よく考えればこの状況で挨拶するなんて、どういう気の持ちようをしているんだ。恐怖や焦りなど微塵も感じさせないこの悪魔に沸々と興味がわいてくる。


「挨拶ぐらいしてもいいんじゃないでしょうか。基本中の基本だとは思いますが」


「やかましいっ!もぅあんたのそのよくわからん性格苦手やーーー!」


「とりあえず挨拶も済んだのでやりましょうか」


「最初からその一言を聞かせてくれ・・・」


二人のやりとりが終わったと同時に、空気が一瞬でさっきまでのものとはまるで違うものに変わったのを感じる。戦いの合図。この空気はわたしをグレムリン戦で味わった。


「なぁリリス。どっちが多く刀止めれるか勝負しようや」


「そんなことをして何の意味があるのでしょうか」


「意味なんかないけど、勝ち負けがついた方がおもろいやろ」


「全く面白さが理解できません。しかし、この意味のない勝負でもせっかくのサタン様からの提案、このリリス、受けさせてもらいます」


リリスがそう言った瞬間、急に突風が吹き荒れ、サタンにつかまっていたわたしは吹き飛ばされそうになり必死に耐えた。目が開けられないほどの風のせいで、何が起こってるのか状況が全く把握できていなかったけど、その瞬間にもう勝負の決着はついていた。

風がやんだと同時に目を開けると、そこには等間隔に並んでいる無数の刀の暖簾が完成していた。

なぜ宙に浮いているのかを考えるためによーく目を凝らすと、そこにあったのは一直線に伸びているサタンの髪の毛が一本だけあり、刀の柄の部分を髪の毛の束で起用に結んで吊し上げている。

ほんの数秒の間に何が起こったは全然わからなかったが、とりあえず窮地は脱したようだ。


「リリスの勝ちですサタン様。見事全ての攻撃を止めて見せました」


「さ、さすがやな~リリス。まぁ別に?ここまであんたがマジにやらんくてもうちだけでも攻撃は止めれるけどな。まぁ一応な。念のためな。あんたを本気にさせるためにあの勝負を持ちかけたってわけよ。その方が安心やしな」


「安心?ですか。おっしゃってる意味がよくわからないのですが。何故サタン様はご自身で攻撃を防げる自信がありながら安心するのでしょうか。それなら最初からあんな勝負持ち込まなければいいと思いますが。まぁとりあえず何事もなくて良かったです。ですがサタン様、少し気になる点が一つ。これだけ大掛かりな罠を仕掛ける理由があるのでしょうか。ここは今や完全にオロチ様の住処。わたしたちと敵対している悪魔たちはこの場所にオロチ様がいることは誰も知らないはずではないのですか」


「せやねんなぁ。向こうの世界ならまだわかるんやけど、こっちでこんだけ警戒しとるっちゅう事はきっとよっぽどの事情があるんやろうなぁ」


「事情。心当たりはおありですか」


「全くわからん。そもそもここに来たのは、篝ちゃんが出会ったルナっちゅう悪魔がオロチの名前を出したって聞いたから来ただけで現状は謎だらけやわ」


「ルナ、という悪魔は聞いた事がないですね。ファントムですか。しかしファントムということは、あの限られた悪魔しか持つことが出来ない焼き鏝を持つものが必ず行動しているはず。確かあの焼き鏝を持っているのは、サタン様、アスモデウス様、ルシファー様、ベルゼブブ様、そしてリヴァイアサン様の五人しか持っておられなかったですよね。まぁ今はそのルナという悪魔については一旦話を置いておいて、とりあえずオロチ様を捜しにいきましょう」


「そうやな。地道に探していくか~。あとこの刀どうしよか」


「ここに置いていきましょう。今この刀を再び手にしようとするものがいれば、刀に触れた瞬間わたしの髪がその者を自動的に捕獲します」


「あんたの髪じゃないうちの髪な」


「失礼しました。では行きましょうか」


オロチの再捜索がスタートしようとした矢先、わたしはあの夜と同じ視線を感じた。

まさかと思ったが、首をむけるとそこにルナがいた。
















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