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とんでもなく蛇足的設定集(久萪 立花)

 久萪ひさか 立花たちばな


 6月14日生まれの28歳。ただし、正確な日付ではなく拾われた日であり、生後数か月は経過しているようだったので、もしかしたら4月より前に生まれていた可能性もある。つまり、真久貝たちより一学年上だったかもしれないという裏話があったり。


 セミロングで柔らかい髪質の黒髪。仕事中は常にまとめている。目鼻立ちは猫系。よくよく見れば鋭いけど、見ていて冷たさを感じるものではない。

 愛想笑いを会得マスターするまでは無表情が標準装備デフォルトだったので、そのころは絶対零度の雰囲気をかもし出していた。


 性格も思考も愚直だが素直ではなく、付け加えて普通の人間より深い思考力と早い割り切りがあった。でもそのせいで、他人ひとと考え方を共有しようとする努力を幼少期に放棄しており、現実社会に溶け込みながら実際は自分の感性によって行動する。

 まともに見えて数年に一度くらい突拍子もない行動(留学(しか)り、逃亡退職(しか)り)をとるので、真久貝たちを自覚なく(・・・・)振り回している。これからも、彼らが油断したころにやらかすと思われる。


 家族構成は不明。とりあえず生まれたからには生物学上の父親と母親はいるだろう。生死までは知らないが、というレベル。養護施設育ちだが、別に施設の人たちが家族や仲間だという意識もない。

 離れて何年も経つ、馴染めなかった学校のクラスメイトや先生のような感想でしかない。でも、別に差別されていたとか嫌われていたってこともなく、幼少期の世界すべてを拒否したころならいざ知らず、小学校高学年になるころには落ち着いていたので頭が良かったこともあり、下の子にも上の子にも勉強を教えていた。その経験が教育学部を選ばせた。

 でも、逆に施設内である意味孤立していた理由の一端に頭が良かったこともあるかもしれない。何でもそつなくこなし、物事を教える立場なので基本的に同等の存在がいなかった。常に先生の立ち位置だったので生徒の立ち位置にいる子たちと対等に交われなかった。

 実はこの養護施設から立花が自立したあと、人外の才能を持つ男の子と、彼が溺愛する幼い妹がやってきたりしている。(詳しくは、『バカじゃないのか、とずっと思って来た。正直、今も思ってる。』と、『世界で一番可愛いと思っている。だから愛は、世界を越える。』にて)


 小学生のころは、軽いいじめにもあっていたが、施設の子供が全員通う学校だったこともあり教員側の対応も慣れたもので、すぐに鎮静化。また、いじめといってもクラス内で何人かの生徒に対して持ち回りで行われるもので、絶対の理由と目的を持って個人(立花)をというものでもなかった。

 愛想笑いが不完全だったうえに、割り切っていても心に巣食すくう不快感を表面化させないように無口無表情であり、対応が誰に対しても冷たいものだったので当然のごとく孤立。ツンデレとかクーデレとかそういう要素一切なしのただただ冷たい人間。


 中学生、高校生の頃は国公立大学付属の中高一貫校に施設からは唯一通う。小学校が同じ生徒が数人いたので施設出身であることはすぐにばれるが、特に気にしていなかったし、いじめも起こらなかった。個人的に話しかけられることがないのは、人によっては無視シカトととるかもしれないが立花にとっては気楽なことだった。

 小学校高学年のころには会得マスターしていた愛想笑いによって、若さゆえの未熟によりまだ冷たい雰囲気を残しつつも、恐れられることはなくなった。小学校時代に愛想笑いができるようになっても見せていなかったのは、今更かなという惰性。ただ、小学校時代を知る一部の生徒にしばらくの間、こいつ誰だよ、という目でこっそり見られていた。


 高校生時代、立花とトップ争いをしていた2人は外部進学組。薄紫色の髪の女生徒と朱色の髪の男子生徒。遠縁の幼馴染なのだと立花は彼ら自身の口から聞いている。1年生の時は成績順でクラス分けをされるので彼らと同じクラスだったが、2年からは文理選択によってクラス編成がされため同じクラスになることはなく、同時に彼らとの付き合いもなくなった。

 文系と理系はクラスによって教室棟も異なるので、ごくごくたまに彼らとすれ違う時に彼らのほうから二言三言話しかけてくれることがあるくらいの交流になり、卒業してからは没交渉。(もしかしたら、薄紫色と朱色を持つ彼らにも、物語があったりなかったり)


 大学時代、凪子との出会いは女子の数が少ない数学科で凪子のほうが積極的に打ち解けようとしてくれた。なんでも、放っておけない雰囲気だったとか。そっけない立花だったけど、かなり世間知らずだってことがちょっと付き合えば丸わかり。なんというか、生々しい生活感がない。飲食をする姿を見せないし、遊びに行くということもしない。凪子は立花に対して裏表がないと評価を下すが、中身も見えないと同時に思っていた。

 摂食障害寸前になった最初の原因は新生活のストレス。けれど、生活に慣れたころになっても教科書代が響いたりして倹約に倹約を重ねるうちにそのまま食費を削るようになり、食事量を増やさなかったので胃が縮んだ。のちに真久貝と凪子に真相がばれて膝づめで説教される。

ちなみに、真久貝たちと出会ってから彼らと外食をするときは、ほとんど真久貝が立花の費用を持った。凪子は牧崎が持とうとしたが、凪子のほうできっぱり拒否していた。真久貝に最初は一緒に出掛けることを拒否する意味も込めて辞退しようとしたが、真久貝が(立花にとって)わけのわからん使命感に駆られていたことと、自分から個人的に誘った同伴の女性に食事代を出させないように、という真久貝の躾環境がすべてを押し通した。しかし、就職して稼ぐようになってからは立花もきっぱりと拒否しやすくなり、その頻度も減る。


 就職に関しては、応募に真久貝の押しとコネがあったけど、大学時代の成績や海外留学中の提携大学からの評価はきちんとチェックされていた。よって学園に正式に雇用されたのは本人の実力。確かに出自を気にする人はいたけど、それを補って余りある評価を勝ち得ていた。


 教師としては、親身フレンドリーなタイプではなかったが、教え方やちょっとした雑談の時の話題選択の秀逸さ(例えば、マイナーな偉人の名言や、数学科時代に遭遇した数学変人たちの奇行。また、生徒が何か起こした時の遠回しなのにわかりやすい皮肉)が、結構うけていた。

 教師らしい先生として、目上の人としてのかたい言動を生徒に反発なく受け入れてもらえていた。


 ピンク色の髪をした女生徒には多分嫉妬していたが、それを自覚してはいなかった。気に食わないのは女生徒の持つ色と真久貝を厄介事に巻き込んだからだと思っている。



 これからリミッターを外した真久貝にガンガン攻められて、流されるままに真久貝が望むとおりの未来が待っていると思われる。しっかり自分を持ちつつも、それ以外は周囲に流されるタイプだと真久貝に完全に把握される。

 現在引っ越したアパートを引き払うまではあと少し。具体的にはお腹に子供ができちゃって真久貝が奇貨を得たとばかりに立花が延ばし延ばしにしていた真久貝のプロポーズの返事を問答無用の強制執行にして籍を入れ、安定期に入ったところで親しい間柄だけでの披露宴。披露宴に際して立花に特に希望がなかったので、立花の体にさわらないように準備から内容まで真久貝がすべて手配した。

 立花は勤めている塾を辞めて、また学園に再就職ということはしなかった。立花自身は最初、塾を辞職しようと思っていたが塾長が産休扱いにするので辞職はしないでほしいと言ってきたので、その言葉に甘える。

 産まれたのは青色の髪と緑色の目を持つ男の子。ベースは父親似だが細部が母親に似て猫系。誰に似たのか甘えたがりだが、身内限定。凪子と牧崎との間に生まれるこの息子より2つ年下の女の子を無言、無表情で甘やかし可愛がるようになることから、内面はおそらく母親成分が多いだろうと立花を除く親たちが結論を出す。父親似ならもうちょっと感情豊かに接するはずだ、と。


(おまけ小話)


 正直、息子が自分に似ているとはあまり思えない。

 けれど、軽口と分かっていても気にしてしまう。

 そうして立花は、お腹を痛めて産んだ息子に対して申し訳なさを覚えたので、反応リアクションが少なくても気づいている息子の好きな食べ物で無言の謝罪をしようとした。

 しかし、これがダメなのか、と料理中にハッとして夫にも滅多に見せない、自分に対して呆れて困っているのに楽しげで心から幸せそうな微笑みと、

「ごめん、本当にお母さん似だわ。苦労させてしまうかも」

 笑いを含めた声で、不思議そうな顔をしながらもつられて笑った息子を愛しいと傍目はためにもわかる手つきで抱き上げた。

 別室で持ち帰った仕事を終わらせて、料理を手伝うか息子の相手をしようとやってきた夫兼父親がその場面に遭遇し、自分には滅多に見せない妻の姿を息子はいつも見ているのか、という大人げないやきもちを焼いて、その晩、妻にどうやって誤解を解かせ、やきもちからちょっとした悪戯心に変わった想いを昇華させたかは、ここで記すことはできない。

 ただ最終的に、二人の子供は息子一人ではないことを追記しておく。

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