小説未満「トラジック・ライト」
正直、あんまり後味がよくないので、それがあんまり…な方はブラウザバックをオススメします。
加えて、遠回しだったりするので、それも…な方はやはり、ブラウザバックを。
巫山戯ている。少女はそう吐き捨てて空を見上げた。
濁り切った曇天だった。
落ちぶれた世界だ。少女はそう周りを見下す。
自分の目の前を自分より大きなモノたちが通り抜けていく。
彼らを彼女は見下した。
自分はこんなにも主張を繰り返しているのに。
少女は訴える様に手を挙げた。何も起こらない。
そうしている間にも時間は過ぎていく。制限時間が近い。時は無情だ。
近くに居た誰かに訴えかけてみる。
ボーっとしたように誰かは動かない。少女は失望した。
ヒラヒラフラフラとスカートを揺らし自己主張をしてみる。
何も起こらない。
少女は手を挙げるのに疲れた。最早お手上げだ。
どうしようもない状態を前に少女はフラフラと揺れるしかない。
他の選択肢を探してみる。見つからない。少女はこの道を行くしかない。誰かに気づいてもらうために、一心不乱に自己主張を繰り返すしかなかった。
ヒラヒラフラフラとスカートを揺らし自己主張を繰り返す。
最早、考えるのも止めていた。
すると、揺れる布に誘われたかのように、赤い牛がやってきた。少女は安堵する。あれなら自分に気づいてくれるだろう。
しかしそれは、目の前を通り過ぎていった。赤い牛は、少女の目の前を通り過ぎていった。まるで進行禁止の赤い色だった。
少女は憤った。何故、アレは私に反応しない。
イラつき、地団太を踏み始めたころ、少女の視界に白黒のパンダが写った。
今度こそ。少女は期待した。
しかし期待とは裏切られるためにあるようなものだ。
パンダも少女の前を通り過ぎていった。
少女は絶望した。パンダは少女の味方ではなかった。
そうこうしている間に制限時間が訪れようとしていた。
少女は意を決した。人が気付いてくれないなら、最早構わない。兎に角制限時間が訪れてしまいそうなのだ。
少女は流れをみた。タイミングを見計らう。そして走った。
最期まで少女に気付くものは居なかったが、全てが終わってから、呼ばれ飛んできた白い鳥だけは彼女に気づいた。
少女を見て知って聞いて彼らは言うのだ。落ちぶれた世界だと。何故気付いてあげない、と。
全くもって巫山戯ている。
道の角の花を、そして、新設された信号機を見てそう思うのだった。
よく、朝などに見る光景。
誰も手を差し伸べない訳で。
仕方無く自分が代わりに手を上げるのですが…
周りの大人やそれを説く立場の人達は何をしてるんでしょうか…




