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第二十六話 絶望の再戦

また間が空きました……。今年最初の投稿なのに絶望がつくサブタイトル……。

 夜風が吹く町。そこを照らすのは輝く月。今日はずいぶん明るい月だが、満月ではない。満月は明日らしい。今日でこんなのだから満月の明るさはすごいものだと思う。

「ライト、あの子武器を変えたらしいわ」

「ああ、そのようだな」

 ライトはセレンの言葉にそう返す。彼らが言っている「あの子」とは竜一の事だった。

「そんな事をやっても大して変わらないと思うがな」

「ねえ、あの魔力じゃねぇ?」

 そう言ってはいるが、彼らは竜一を監視しなくてはならなかった。それはあの男からの命令だった。

「だからこそ信じられないよねぇ、あいつの言う事」

 ライトはあの男に言われた事を思い出していた。


 風時竜一こそ、我々の最大の障害であり、倒さなくてはならない存在だ。


 あの男がなぜ竜一をそんな風に見ているかわからなかった。竜一は自分が見てきた中でも最低ランクの能力だ。

 あの男が買いぶりすぎているのか、それともとても大きな力を秘めているのか。

「まあいい。その前に倒せばいい話だ」

「そうね、今だったら楽勝よね。という事は……?」

「その通りだよセレン」

 ライトは口をゆがめる。

「明日だ。明日奴らの力を消す」


「おい竜一、大丈夫か?」

「うん……」

「それにしてはふらふらしてるぞ」

「うん……」

「1+1は?」

「うん……」

「だめだこりゃ!」

 昼休みの教室、竜一は今にも倒れそうなほど寝不足だった。そんな竜一にあきれる啓太だったが、その理由を啓太は知っていた。

「お前もうちょっと特訓の量減らしたらどうだ?」

「う~ん、でもなぁ……」

 特訓、それは竜一が毎晩やっている事だった。


 竜一はオールにある魔法を使いこなすよう言われた。その魔法はエナジーセイバー。簡単な剣を魔力で作り出す魔法だった。

 竜一が使っている武器は銃だが、これだけでは敵が近い時に戦いが不利になってしまう。しかし魔法戦士が使える武器は一つだけ。別に剣を持ったりすることはできない。そこでこのエナジーセイバーがあればある程度は戦えるのだ。


 オールは竜一にこの魔法を重点的に鍛えろと言われた。最初はこれで敵を倒すのかと思った。しかしそうではなかった。オールはこう言った。

「これで敵を倒すのは竜一には無理だ」

「どうして?」

「竜一は魔力が少ないから、この魔法で戦い続けると魔力がなくなって倒れてしまう。だからと言って力を抑えれば敵を倒しきれなくて結局無意味になる。普通に銃で戦った方がいい」

「じゃあなんでこの魔法を? 知ってもいみがないんじゃあ……」

「そうだ、普通に使うと無意味だ。だからこれは守るために使うんだ」

「守るため?」

「そうだ、こうやってな」

 オールは誰もいない方へエナジーレイを放った後、エナジーセイバーを構える。竜一が首をかしげていると、弾が曲がり、オールの元へ向かっていく。そしてそれをセイバーではじく。

「わあ!」

「どうだ竜一?」

「そ、それ難しくない?」

「だから練習するんだろ?」

「う、うん……」

「それにさすがにこういう魔法弾をはじくのは難しいから、最初はとにかく防ぐことを覚えろ」

「わかった……」

「それともう一つ。これをやっていると忘れそうだから言っとくが、あくまで竜一は回避を考えろ。回避じゃあどうしようもない時にこれで防ぐんだ」

「うん」

「じゃあ始めるか」

 オールはのっぺらぼうの人形を魔法で出した。すると人形は自分で動くようになる。

「よし、こいつの相手をして特訓するぞ!」


 その後、特訓を続けているのだが、やっていくうちに問題が発生した。

 特訓を始めてから数日後、戦獣がほぼ毎日発生するようになった。そのため特訓の時間がなかった。しかし竜一は欠かすわけにはいかないと思い、戦獣が出た日は夜にやることにしたのだ。

「しかしよ、特訓で倒れたらホンモツデントウじゃね?」

「本末転倒だよ啓太……。それに啓太、僕は自分のせいで皆の足を引っ張りたくないんだ」

「お前は足なんて引っ張ってねえって!」

「だけど……魔力が一番低いのは僕でしょ?」

「そりゃあまあ……」

「だから強くなりたいんだ。みんなの役に立ちたいんだ……」

「……わかったよ。お前の好きにしろ」

 啓太はあきらめるように言った。

「だけどこれだけは言っとく。体は壊すなよ?」

「うん……」

「じゃあ俺トイレ行ってくるわ」

 そう言って啓太は教室を出て行った。竜一はうとうとしていてそのまま机に伏した。


 体がふわふわしていた。景色はぼんやりとしていてはっきりしない。今どこにいるのかと周りを見るとなんとなく教室のような気がした。しかし竜一達の教室ではない。ぼんやりとしていてもそれはわかった。

 ガタンと音がした。音がした方を向くと一人の女の子がいた。女の子は床に座っていて。顔を伏せていた。

 理由はわからない。なぜだか知らないが悲しくなってくる。とてもつらい気持ちになる。

 目の前にいる女の子を助けたかった。しかし手を伸ばした瞬間、景色が崩れた。


 頭に衝撃が来た。何が起こったかわからずに竜一は体を起こした。あたりを見回すと起こした本人がいた。

「授業が始まる。早く準備しろ」

「えっ……」

 起こしたのは隣の席にいた如月だった。なぜか不機嫌な顔で、手には本を持っていた。

(もしかしてあの本でたたいて起こしたのかな?)

 だとすればかなり乱暴な起こし方だった。

「どうした、早くしないと始まるぞ」

「えっ! あ、うん!」

 竜一は急いで準備をするのと共にとあることを思っていた。

(どうして起こしてくれたんだろう……?)

 今まではそんなことはなかった。だから疑問に思ったのだ。

 如月の方を見る。もうこっちを見てなかったが、その顔はまだ不機嫌な顔だった。

(僕何かやったかなあ? でも寝てただけだしな……?)

 いろいろと考えていたが先生が来たため、とりあえず竜一は授業に集中することにした。


「ただいま……」

「おう、おかえ……うお!」

 竜一は帰ってくるなりベッドに倒れこんだ。

「ね、眠い……」

「いきなり倒れこむな! 危ないだろ!」

 オールはそう言ったものの、竜一の耳には入らなかったらしい。オールは寝息が聞こえてきたとき、もう何も言わなかった。

「しょうがない、今回は休ませるか」

 ぐっすりと眠る竜一を見てそう言った。


「……はっ!!!」

 竜一は勢いよく起き上がる。外はもう真っ暗だったが、竜一はそれを気にしている場合ではなかった。

 体が重い。何かが絡みついているような感じがした。

「これは……魔力……?」

「竜一!」

 オールもこの強力な魔力に気づいたらしい。魔法戦士や精霊には、この大きな魔力を気づかない方が難しかった。

「今すぐいけるか!?」

「何とか……!」

 さっきと比べて魔力は薄くなってきた。それでもかなりの強さだった。

「よし行くぞ!」

「うん!」

 二人は外へと向かった。


 二人は魔力の元へと向かっていた。向かいながら嫌な予感をしていた。

「この大きさはたぶんあいつだな」

「あいつ、て……ライトだよね」

「ああ……こんな時に現れやがって」

「でもこの前戦ったときはこんな魔力じゃなかったよね」

「そうだな。ライトはどれほどの魔力を持っているんだ……?」

 二人がそう話しているうちに、目的の場所にたどり着く。

「ここは……学校!?」

 魔力はこのあたりから感じられた。おそらくここにいるのだろう。

「建物の中じゃないな。多分外だ」

「じゃあ校庭!?」

 二人は校門をこえて校庭へ向かう。


 もう夜なのにいつもより明るい。空を見ると満月だった。満月は校庭を照らした。校庭には竜一とオール、さらに二つの存在がいた。

「ようこそ。風時竜一。そしてオール」

「ふふ、さすがにわかるよね。この場所」

 竜一達の目の前にいる存在。ライトとセレンがそこにいた。

「ライトとセレン!」

「やっぱりお前らか!」

 ライトは口元をゆがめながら言った。

「なかなか早かったな。お前たちにしては」

「まああの魔力でわからなかったら正真正銘の馬鹿よねぇ」

「なんだと!!」

「さて、役者がそろったところで始めようか」

 ライトが前にも使った黒い剣をを引き抜く。竜一は思わず後ずさりする。

「竜一! とにかくソウルインを!」

「う、うん! ソウルイン!」

 竜一がソウルインを行い、ライトと対峙する。

(とにかく啓太達が来るまで時間稼ぎだ!)

「うん、啓太やかすみさんが来れば……」

「それは無理だ」

 いきなりライトが言い放つ。

「ど、どうして!?」

「気づかなかったか? あれで誘き寄せられたのを」

 ライトが上をさしたので竜一はその方向を見る。するとそこに鳥らしき戦獣がいた。

「これを三匹ずつよういさせ、お前だけをここに呼んだんだ」

「そ、それって……」

「そう、他の奴らは別の場所に向かっているだろう」

「でも、それで騙せるの……?」

(……おそらく、最初の強力な魔力で狂わせたんだ。それで正確に魔力を感じることができなくなったんだ)

「そんな……」

 ライトは笑う。絶望的な竜一を見て。

「さて、今日こそお前たちを……消す!!!」

「うわあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ライトが竜一に襲い掛かった……。

次も投稿が遅くなるかもしれません。

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