第二十五話 銃での戦い方
やっと投稿できました! 遅くなってすみません!
「竜一!」
学校の授業が終わって、竜一が帰る仕度をしているところに、啓太とかすみに声をかけられた。
「あれどうなった!?」
「あれ?」
「武器を変えるとかなんとか!」
「ああ、そのことね。無事に成功したよ!」
「マジか! やったな竜一!」
「うん!」
しかしかすみが言った言葉で素直に喜べなくなる。
「でも、それだけじゃあ今までと変わらないんじゃあ……」
「うっ……確かに……」
かすみの言葉に竜一は現実に戻された感じだった。確かに武器を変えたからと言ってライトに勝てるという話しでは無いのだ。
「まあなんとかなるって!」
「う、うん……。」
返事をする竜一だったが、不安な気持ちだった。
放課後、竜一は宿題をやりながらさっきの事を考えていた。
(武器を銃に変えたって大きく変わったわけじゃない。元々の僕の能力は変わってないんだ。戦い方をどうにかしないとライトには勝てない)
そんな事を頭の中で考えていると、そばで漫画を読んでいたオールが何かを感じたのか突然立ち上がって、竜一に向かって話す。
「竜一! 戦獣が現れた!」
「なんだって!? すぐに行こう!」
竜一とオールは目的地へと向かった。
「こっちだ! この方向から敵の気配が感じる!」
「ここは……」
竜一達が今いるところ。そこはあまり人気のない山の入り口がある道。そしてオールはその入り口である長い階段へ指をさしていた。
「こ、この上!?」
「ああ、行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待って! 先にソウルインしていい!?」
「へっ? 別にいいけど」
この階段は実はかなり長い。このままでは早く上ることができず、さらに疲れた状態で戦うことになる。それは何とか避けたい。
一方でソウルインをすれば身体能力も上がり、階段を楽に上ることができる。
「誰もいないね……それじゃあ、ソウルイン!!!」
竜一の姿が変わり、手には銃を手にしている。
「行こう!」
猛スピードで階段を駆け上がっていく。
「な、なんだこれ……!」
この階段を上がったところには小さな神社がある。小さいとはいうものの、近くには公園もあり、敷地自体は広めである。かなり由緒ある神社らしく、正月などにはかなりの人がお参りに来る。
そんな場所に啓太とかすみが戦獣と戦っていた。
戦獣は二足歩行で竜一たちよりも背は低い。手には雑に作られた剣などを持っていた。そこまで強そうには見えないが、何より数が多かった。大まかに見て三十、いや五十。とにかくたくさんの敵がいた。
「啓太! かすみさん!」
「竜一! 遅いぞ!」
「新しい武器見たいけど、そんな暇ないみたい!」
「ごめん! オール、この戦獣は何?」
(ゴルーパという戦獣だ。一体一体は弱いけど、知能が高くて集団で行動する。囲まれたらやばいぞ!)
そうオールが言った矢先に、一つのゴルーパのグループが竜一に向かってくる。
「やばい!」
急いで銃を構えて銃を撃つ。一体はそれに当って倒れるが、残りが左右に分かれて向かってくる。
「えっ!? ど、どうすればいいの!!?」
(止まるな! 距離をとれ!)
オールに言われるが、とっさに体が動かなかった。
その隙を一体のゴルーパが逃さずに攻撃してきた。
「危ねぇ!!」
啓太が竜一を突き飛ばして竜一とゴルーパの間に入る。
「ゴラァ!!」
振るってきた剣を啓太は防ごうとする。しかし別のゴルーパも剣を振るってくる。
「やべえ……!」
無理やり後ろへ飛び、体勢を変えて避けようとするが、避けきれずに剣があたる。
「かは……!!」
「啓太!」
「このぉ!」
かすみが駆けつけて薙ぎ払う。三体ほど倒したが、状況はあまり変わらない。
かすみは啓太を抱えて距離をとる。竜一もそうした。
「啓太! 大丈夫なの!?」
「ああ……何とか……」
「ごめん啓太……」
「謝るのは後だ……今はこれを何とかしないと……」
ゴルーパがまたグループを作って竜一達に少しずつ近づいてくる。
「アクアヒール!」
かすみは啓太に回復の魔法を使う。青い光が啓太を包み、傷が徐々に回復する。
「よし、これなら何とかいけるぜ」
「いくよ!」
啓太とかすみがゴルーパへ向かっていく。
「僕も……」
(待て竜一!)
前に出ようとする竜一をオールが呼び止める。
「どうしたの!? 早く行かないと……」
(いや、ここでいいんだ)
「なんで!? ここでただ見ていろ、て言うの!?」
(その通りだ)
「えっ……?」
(ここで敵の観察をするんだ)
「観察?」
(遠くから見て、敵がどう動くかを知るんだ。近くで見るより遠くの方がよくわかりやすい。そうすればこんな大人数でも戦うことができる)
「でも……!」
(竜一、お前の持っているのはなんだ?)
「えっ……?」
竜一は手に持っている物を見る。そこにあったのは一丁の銃。
「なにって、銃だけど……」
(そう、銃だ。銃は近づく必要はないんだぞ)
「……っ!!」
オールが言いたいことが分かった。さっき竜一が危なかったのは必要以上に近づいてしまったからだ。
今まで竜一は剣を使っていた。その時の癖で前に出ようとしてしまうのだ。
(それに銃を持っているならやってもらいたいこともあるんだ)
「やってもらいたいこと?」
(敵を観察するんだ。離れた場所でな)
「えっ……?」
(まあやってみればわかる。ほら、加勢するぞ)
「う、うん!」
竜一は銃を構えて啓太たちの援護をする。
(近づかないように……)
「そこ!」
銃から魔法弾が撃ちだされる。それは一体のゴルーパにあたり、そして消滅する。
次に狙う敵を探すために見渡す。すると一つのグループがかすみの背後に回っていた。
「かすみさん! 危ない!!」
「えっ!?」
かすみは振り向きざまに敵を切る。それでグループが崩れる。
「ありがとう竜一君!」
「うん、何とか無事で……啓太!」
「んっ? うお!!」
今度は啓太が横から攻撃されようとしていた。視界の外を狙った攻撃だったが、竜一の声でいち早く気づき、体勢を直して切りにかかる。
「おとなしくしてろ! フレイムスラッシュ!!」
啓太の刀が炎に包まれ、敵を切る。敵は切られた場所から燃え上がり、消滅する。さらに炎が広がり、何体かを巻き込む。
「サンキュー! 気を付けねえとな……」
竜一は二人が何とか無事だったことに安堵する。それと同時に気づいたことがあった。
(遠くから見るだけだけど、近くだとわからない事が、こんなにもわかるんだ……!)
遠くから冷静に。それで仲間がいかに効率よく戦えるのか、竜一はそのことを理解した。
今度は前で戦っている二人の負担を減らすために、主に後ろから近付いているゴルーパを狙って撃つ。
「そこ! いけぇ!」
敵も一方的にやられる訳にはいかない。竜一の方に攻撃を仕掛ける。
「グオオオ!」
「やられるか!」
しかし竜一はそのスピードで攻撃を避ける。さっきとは違って観察をしていたので、敵がどう動くかが予測できた。そのため、避ける事が出来たのだ。
(うまいぞ竜一!)
「うん! そこだ!」
竜一は避けたついでに反撃の一発を与える。こうして敵にダメージが溜まっていく。
前で戦っている二人もさっきまでとの違いを感じ始めていた。
(さっきは結構周りに気を使っていたからきつかったけど、いまは全然きつくねぇ!)
(後ろからとかの攻撃が減ったから、精神的にも楽だわ)
二人の勢いが増してきて、敵がどんどん減っていく。しかしそれでも敵の動きは崩れない。
(変だ……ここまでやってもゴルーパの動きにまとまりがある……何で……)
その時、敵を見ていた竜一はある事を見つける。それは敵を統率しているリーダーだった。
(あれだ! あれを倒せば……!)
しかし、他の敵が邪魔をして弾が通りそうにない。啓太やかすみは目の前の敵で苦労している。そのため竜一がやるしかなかった。
(でもどうすれば……。敵がいても通るような攻撃……)
その瞬間、竜一の頭の中で何かがひらめいた。
(え……なんだこれ……イメージが……頭の中で技のイメージがある……!)
竜一は啓太達に当たらないように場所を移動し、銃を両手で持って敵のリーダーへと狙いをつける。
(竜一!? 何か思いついたのか!?)
(うん、これならいける……!)
頭の中にあるイメージ。敵を貫く一つの閃光。
竜一は銃をしっかりと握りしめ、その名を叫んだ。
「マグナムバスター!!!」
トリガーを引いた瞬間、銃口から魔法の閃光が敵へと放たれる。
「グオオオオ!?」
敵も攻撃に気づいて防ごうとするが、何体ものゴルーパを貫いてゴルーパのリーダーへと進んでいった。
次の瞬間、リーダーに一線が走る。
「グ、グギャアアアアア!!!!!」
叫びを上げながら倒れ、そして消滅する。その時、他のゴルーパの動きが止まる。
「啓太! かすみさん!」
「おう!」
「ええ!」
二人の刃が敵を薙ぎ払った。
最後の敵が消滅し、啓太は刀をしまう。
「よし、これで全部だな」
(ああ、周りに敵の気配はない)
三人ともソウルアウトし、一息をつく。
その直後、啓太はものすごい勢いで竜一に迫る。
「すごいな竜一! あの技で敵を一掃して、しかもリーダーを倒すなんて!」
「それだけじゃないわ、あなたの指示と援護ですごく戦いやすかったわ。本当、素晴らしいわ!」
「い、いやいや……」
「しかし、武器を変えた甲斐があったな!」
「うん、そうだね」
そのことには素直に喜ぶ竜一だった。二人の役に立てた。それだけでうれしかったのだ。
オールからもその事を言われる。
「よくやったな竜一」
「うん!」
「しかし……」
オールが難しい顔をする。何か問題だったのだろうか。
「どうしたのオール?」
「いや、竜一の戦いを見ててな。竜一はもしかしたら今までにない戦い方ができるかもしれない」
「えっ!? それって一体……!?」
「それはな、遠くと近く、両方での戦い方だ」
「両方?」
「ああ。しかも俺たち、魔法戦士の常識を覆せるかもしれないぞ」
オールはそう言ってにやりと笑った。
そろそろあいつが再び出てくる……と思います。