第一話 始まりと出会い
本編が始まります。
注)大幅に書き換えを行いました。9月27日時点で、ストーリーに大きな影響はありません。勝手な修正で申し訳ございません。
桜が咲いている。新しい生活が始まることを告げているようだ。
「今日から五年生か……」
学校に向かう少年はつぶやく。
癖がほとんどない髪に眼鏡をかけている少年、風時 竜一は今日から小学五年生になる。
「どんな一年になるんだろう」
竜一はこれから始まる生活に少しの期待と不安を持ちながら明日川小学校に向かう。
小学校にたどり着いた竜一。昇降口にクラス表の紙が貼られ、人がたくさん集まっていた。竜一はなんとか前に出てクラス表を見る。
「え~と、僕の名前は……あった」
竜一は五年二組だった。ついでに他の人の名前を見ていると、ある名前が書いてあった。
「あ……」
その人物は竜一にとって特別な人だった。
「階段きついなぁ……」
竜一のクラスは四階にあるため、竜一にとって少し大変だった。
四階にたどり着き、五年二組の教室に入る。その時、誰かに背中を叩かれる。
「痛い!?」
「あ、悪い竜一」
竜一は後ろを振り向く。そこには親友の火口 啓太がいた。
「同じクラスだな! 一年間よろしく!」
「うん、よろしくね」
その時、ちょうどチャイムが鳴り始めた。
「やば! 席に着こうぜ!」
「うん、じゃあまた後で」
竜一は自分が座る席に座る。そして椅子に手をかけた瞬間、隣の席の子が誰かという事に気付く。
(あ……)
竜一の隣の席に座って本を読んでいる少女。腰まである長い髪は綺麗なつやのある黒。そして整った顔立ちに竜一は思わず見とれてしまう。
(如月さん……)
彼女の名は如月 光。竜一が小学四年生の頃に転校してきた。他の人とはあまり関わらず、一人でいることが多い。
そんな彼女だが竜一は如月の事が好きだった。
如月が視線に気付いたのか竜一のほうに振り向く。竜一は見つめていたことを自覚し、慌ててそらす。
(やばい! 絶対今の変に思われたよ……)
その時、教室に先生が入ってきた。竜一は心の中でグッドタイミングと思った。
「はい! 今年一年間、五年二組の担任の遠藤 久美子よ! みんなよろしくね!」
髪を短く切っており、性格も活発な先生だった。
「じゃあこれから始業式だから、みんな廊下に並んでね!」
生徒のみんな返事をし、席を立つ。竜一も立つがその時ふと横を見てしまい、如月と目が合ってしまう。案の定、如月は竜一をにらむ。
(ガーン!!!)
「どうした? 竜一」
竜一の様子がおかしかったので啓太は竜一に話しかける。
「な、なんでもないよ」
「そうか。まぁいいけど。早く並ぼうぜ」
「う、うん」
竜一達は廊下に向かう。
(この一年どうなっちゃうんだろう……)
ブルーな気分になってしまった竜一だった。