第十七話 自身の武器
真夜中の町に一人の少年が駆けている。ある獣を追って。
「そっちに行ったぞ!」
「うん!」
少年、竜一は啓太の言われた方に向かう。そこには袋小路に追い込まれた戦獣がいた。
オールによるとフォクシーという名前らしい。狐のような顔に細い手足をしており、手には鋭い爪がある。更にとても動きがすばやい。
竜一と啓太は武器を構えなおし、一気に攻撃する。
「やあぁぁぁ!!!」
竜一は剣を振るう。しかしフォクシーのすばやい攻撃に弾かれ、隙ができてしまう。
「竜一! ファイアボール!」
啓太は火の玉を放ち、フォクシーに当てる。竜一は体勢を立て直し、啓太と攻撃する。
「これで!」
「終わりだぁ!!!」
二人の剣の攻撃が叩きつけられる。フォクシーは耐え切れずに倒れる。倒れたフォクシーに光がつつみ、そして散る。残ったのはさっきとは違う、本来の姿の動物だった。
戦獣は元々動物に魔法をかけて戦闘用にしたもの。戦獣がやられると魔法が消えて、元の姿に戻るのだ。
(よし、倒したな)
竜一の頭の中でオールが喋る。竜一は手を戦獣に向けて唱える。
「我が目前にいるモノを転送せよ。キャリーポート!」
フォクシーはまた光に包まれる。すると今度は小さく集まり、勢いよく天へ飛んでいった。これで向こうの世界に帰したのだ。
「「ソウルアウト!」」
二人は元に戻る。それと同時にオールとブレイズが現れる。
「ご苦労さん竜一」
「よくやった啓太」
「今回も無事でよかった」
「やっぱ二人だと楽だな!」
そう話していたところで、啓太が竜一に言う。
「そういや竜一、さっき弾かれたけど大丈夫か?」
「うん、啓太が助けてくれたから平気だよ。でも何だろう、前から使いづらいと思うんだよね。僕の剣」
「さっき見てたけど、剣に振り回されてるように見えるんだよな」
「うーん、これじゃあやばいかな……」
そう話しているとオールが話しに入ってくる。
「武器がお前と合ってないのかもな」
「合ってない?」
「まだお前は戦士になったばかりだ。しかも始めてなった時は急いでたからな。だから合っていない可能性がある」
「そうなんだ……じゃあどうすれば良いかな?」
竜一が悩むとブレイズが話す。
「武器のイメージを変えるしかないな」
「武器のイメージ?」
「ああ。武器はイメージをする事で出す事ができる。一度イメージすると後は勝手に出てくるんだ。だけど直すとなると少し手間がかかる」
「そうなの?」
「既に頭の中に焼き付けてる様なものだからな。それを直すには時間がかかるんだ」
「ふーん……」
「まあ今急いで変える必要はないと思うぞ。今の武器に慣れるまで使うという道もある。しっかりと考えると良い」
「わかった」
竜一とオールは啓太たちと別れる。竜一はどうしようか考えていた。
(今のまま進むか、思い切って変えてみるか……どっちが良いかな?)
しかし家についた後も答えを出す事はなかった。