第十三話 予兆
昼を過ぎた学校。昼休みでよりにぎやかになっている。そんな雰囲気の中、とある教室で机に伏している少年が一人。そこに別の少年が近づく。
「おーい竜一、生きてるかー?」
「何とかね……」
竜一は啓太に声をかけられ、体を起こす。竜一は昨日の戦いで体に疲れが出ていた。そのため今日の授業はかなりきつかった。
「あの後一体何やってたんだ?」
「ちょっと厄介ごとに巻き込まれた」
「?」
「風時君」
竜一は自分が呼ばれたことに気付き、呼ばれたほうに向く。そこには一人の女子がいた。髪を短めにし、動きやすい服装をしている。
「氷室さん、どうしたの」
彼女の名は氷室 かすみ。クラスの中でかなり活発で、また性格上から差別はせず、誰とでも仲良くなりやすい。そのため女子のグループのリーダーに近かった。
「風時君、図書委員の仕事忘れてるでしょ。平田君困ってたわよ」
「あっ! そうだった! ありがとう教えてくれて!」
竜一は慌てて教室を出て行き、図書室に向かった。
「大丈夫かあいつ……」
啓太は思わずつぶやいてしまう。
今日の帰りの会が終わり、子供達は帰り始める。竜一と啓太も帰り始める。
「お、終わった……」
「お前本っ当に疲れてるな」
竜一はあの後、図書委員の仕事に間に合ったものの、かなり眠たく、仕事に集中できなかった。
「今日はゆっくり休みな」
「そうさせてもらうよ……」
帰り道の途中で別れ、それぞれの家に向かう。
「疲れた……」
竜一はベットに体を投げ出していた。
「やっぱり昨日の戦いか?」
「うん……」
竜一はあの状態になった時のことを覚えていなかった。
「あれは何なんだろう……」
「さぁな。まぁそれも大事だけど……」
オールは話を変える。
「そろそろ仲間が欲しいよな。戦獣を出されるなら一人じゃきつい」
「そうだね。それに仲間がいれば心強いよ。でも見つかるかなぁ」
「そこが問題だよな……」
オールは腕を組みながら考える。
「でも案外近くにいたりしてな」
「そうだね」
竜一のまぶたが重くなる。
「ごめん、僕寝るね……」
「おう」
竜一の意識は深く落ちる。
一方、啓太は家に到着していた。
「たっだいまー!」
啓太の家は小さな中華料理店をやっていた。今は昼のピークは過ぎているのでお客はいなかった。
「お帰りー」
新聞を読みながら答えたのは啓太の父だった。彼の腕はかなりの評判で、特に彼が作るチャーハンは絶品と言われるほどだった。
啓太は階段を上がり、自分の部屋に向かう。そしてドアを開けて部屋に入った時だった。
「えっ……?」
啓太は思わず自分の目を疑う。なぜなら常識ではあり得ないものだったから。
「なんだ、お前……!?」