仲間意識は低い
そしていざプレイヤーダンジョンへと! と思ったところでアラート。
これは……尿意と空腹、あと集中力の低下だな。
VOTはこの辺をしっかり知らせてくれるからありがたい。
たまーにホラゲーをVRでやって粗相をしてVOTの内部洗浄を業者に依頼する事になる人もいるらしいけど……まぁ普通は起こらん現象だな。
特にMMOなんかじゃプレイヤー同士のやり取りが多いから、それにビビってなんて事態が起こるはずもないし。
「ログアウトは……これか」
わかりやすいUIだな、おかげでログアウトも楽々だが終末医療コースの場合どうなるんだろう。
(外部協力者の終末医療患者ですが、ケースによってログアウトの仕組みが違うようです。末期癌などで苦痛を伴う場合神経系の伝達係数を低くした状態で専用のセーフハウスでの休息、老衰の方は自由にログアウト可能とのことで)
(認知症はどうなんだ)
(アルツハイマー型は基本的にこのゲームはプレイしないようにして、本人の記憶から昔の住居や家族、本人像を映した空間で生活してもらっているそうです。レビー小体型認知症の場合はこのゲームにログインできますが、そちらは家族との時間を過ごしたいという事でVRサーバー内の家族グループでのんびりとした時間を過ごす事が多いとか)
なるほど、まぁ確かにあんなファンタジー世界にアルツハイマー型認知症患者送り込んだら心臓とびだすな。
うちの曽婆様がそうだったけど、徘徊とか暴力とか結構頻繁に発生するし。
一方のレビー小体型認知症ってのは脳のレビー小体という部位の変形から来る物忘れやパーキンソン症状だから末期になるまではそこまで問題ないが……病気知らずの人だと病は気からというのを地で行ってゆっくり弱っていく事もある。
そう考えるとあんがい家族とある程度自由に動ける状態で接するというのはいいのかもしれんな。
「飯、今日の日替わりなんだっけ」
プシュッという音と共にVOTが開いて開口一番、今日のお勧め定職を確認。
日替わりマジで美味いんだよな。
「えーと、衝動飢餓でも大満足ハンバーガーデラックスカロリー致死量モードスタンバイです」
「じゃあそれの常人サイズをもらえばいいか」
肥満男性の胴体くらいあるでかいハンバーガーなわけだが、日替わり常人用といえば大体普通のサイズが出てくる。
それでも女児の顔面くらいのサイズあるけど、公安は頭脳労働も肉体労働も激しいから結構ぺろりと食べ終えるんだよな。
……まぁ常人用と人外用で分けられてる意味が分からんし、人外用がスタンダードなのも謎だけど。
それよりもだ。
「便所行ってくる。その間にデータある程度纏めておいてくれ」
「うぃっす」
「ショゴスのデータは無理だとしてもイエティと九頭竜のデータ解析できてたら昼飯と今夜の飲み代出してやるよ」
公安の接待費で。
「よっしゃやるぞお前ら!」
「「「おぉ!」」」
「間に合わなかったら私をゴリラ扱いしたやつを差し出せば奢ってやる」
「「「こいつです!」」」
びしっとモニタリング担当を指さす一同。
良いコンビネーションだ、素晴らしいな、だが無慈悲だ。
後でぶん殴る。
「よろしい、まぁ仕事はちゃんとしろよ?」
「「「はっ!」」」
こいつら案外いいチームなんだよな。
私もこういう仲間が欲しいものだが……一瞬頭に浮かんだ三佐の緩んだ表情を見て無いと速攻で切り捨てた。
うん、あの性格は私には合わん。
どうせならこう……白馬の王子様みたいな方が好みだ。
金髪碧眼で、普段は目元を隠していて、赤が似合う感じの美青年。
腹に一物抱えてたりするとなお好みだな。
復讐心とか持ってると最高だし、依存させたくなる。
まぁそんなのはゲームや漫画の世界にしかいないだろうけど。




