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グレイブクリエイトオンライン~VRMMO嫌いがてけり・り~  作者: 蒼井茜


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ご褒美

 作成には時間がかかるという事で一度ログアウトする。

 フレンド登録は済ませたし、金だけ持ち逃げするタイプじゃないから大丈夫だ。

 そういうやつは徹底的に情報引っこ抜いて公安経由で運営が対処している。

 実は公安はVRにかなり力を入れている。

 元々終末医療、つまるところ治る見込みのない患者を看取るための治療に使われていた器具なだけあってかなり繊細になっていた。

 それを一般公開して、ゲームという形に落とし込んでからは社会のインフラを一転させるほどのものになったわけだ。


 具体的な例を出せばチェリーの奴みたいに外出が極端に減った。

 まず大抵のオンラインショップで試着ができるから実店舗を持つ必要性が無くなった。

 もちろん現存しているが、その数は徐々に減ってきている。

 ようはネット通販でもサイズ間違えるようなことが起こらないので、衣類を含めた大抵の代物はVOTを通して購入する方が楽なのだ。

 とはいえ地震大国日本において常に電力とネット回線が生きているとは限らないので、今後も実店舗と現金が無くなる機会はないだろう。

 次に出勤通学などだが、正直に言ってしまえば日本のド田舎にいようとハーバード大学やミスカトニック大学といった海外の大学の授業を聴講することだって可能だ。

 いくつかの学校ではすでにVR授業が導入されており、トランスジェンダーや障害などの理由から世間に馴染めないといった子供のための教育の場も作られている。

 会社も同様、現場作業でない限り会社そのものの経費を抑えるためテレワークが普及した。


 こうしてネット世界と現実世界はそれぞれの道を歩むことになったため、VR空間そのものを公安が見張り、そこから得られた情報の一部を企業へ送り付ける事もままある。

 昨今のゲームじゃGCOみたいに現金化できるのをうたい文句にしているものもあるので、今後その手の商売も増えてくるだろう。

 もちろん悪用する人間もだ。

 それを防ぐのが私達の仕事でもあるのだが……如何せんVOT対応のハッカーやクラッカーの数が足りていない。

 いくら巧妙にやったところで足跡はどうやったって残るので、それを追跡して捕まえて、そんで公安で仕事を割り振る代わりに身の回りを固められるというのは裏では有名だ。


 有名になってしまったからこそ、その技術を隠し通そうとする者も増えた。

 言うなれば三佐みたいなのはATMから勝手に金を引き出せるカードを持っているのと同義、そんな連中に隠れられると困るというのが本音。

 そして増えられても困るので、対処のために数を揃えたいと公安でもハッキングとクラッキングの技術は日々磨かれている。

 なお、その最中にやらかして正式に豚箱送りになる奴もいるが割愛。


「一佐、データ集計ですが確認しますか」


「真新しい情報は?」


「今の所イエティの方が一佐より女子力高いという事以外はありません」


「そうか、張ったおしていいか?」


「右の頬を差し出しましょう」


 パンパンと往復ビンタをくれてやる。

 蚊も潰せない程度に加減しているのでちょっと痛い程度だろう。


「ありがとうございます! 他はまだ特に目ぼしい情報はありませんね」


「そうか。なら続けて収集を頼む。それと三佐の方はどうだ」


「先ほど甘いものが食べたくなったと言って御帰宅されました」


「あっちはなんか面白そうなのあったか?」


「いえ、一般ユーザーや外部協力者のデータと大差ありません」


「わかった、明日三佐が出勤したら投資コースへの変更を打診しておいてくれ。私もそろそろ上がるとするよ」


「お疲れさまです。我々はもう少しデータを解析してみます」


「ほどほどにな。先週も家に帰らなかったせいで奥さんに叱られたんだろ、たまには家でゆっくり休め」


 ……というか、奥さんは職場で私にビンタされて礼を言う夫を見たらなんていうのだろう。

 人によるけど私を敵視するんじゃないか?

 ……今後はご褒美も控えよう。

 刺されたくないしな。


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