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小説家になろうラジオ大賞7

時を止めるオルゴールが壊れる時

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞7 参加作品。

テーマは「オルゴール」

 ここはどこだ?

 俺は一体?


 目を開けると両親の姿が?


「よかった目を覚ました!」

「先生を早く!」


 ここはベッドの上?

 病院の中?


 そうか俺は確か……



 祖父の遺品のオルゴール。

 小さな箱型のそれは、時を止める不思議な力を持っていた。

 ゼンマイを巻き、メロディーが流れる約1分の間、ときが止まるのだ。


 子どもの頃からこれを使ってよく悪戯をした。

 一通りの悪さをし尽くし飽きた結果、大学生になる頃にはただ持ち歩いているだけになった。


 ある朝の通学時。

 混み合う朝ラッシュの駅のホーム。

 そこで1人の女子学生が人混みに押され、ホームから落ちたのだ。


 電車はすでに入線し、迫ってる。

 停止ボタンも間に合わない。


 俺は咄嗟にオルゴールを取り出し、時を止めた。

 そして彼女を拾い上げたところで……



 それで入院していたのか。


 まもなく医師がやってきた。


「意識が戻ったようだね」


 昏睡状態が続いていたようだ。

 事故から半年後の今日、ようやく目を開けたという。


 そういえばあのオルゴールは何処へ?



 夕方近く、1人の制服姿の女の子が尋ねてきた。


「君は?」

「あの時、助けてくれた者です。本当にありがとうございました」


 この子は毎日面会に来てくれていたようだ。


 可愛らしい顔が酷くやつれていた。

 しかし目を覚ました俺を見て、瞳を潤ませて笑顔を見せる。


「良かったよ、君が無事で」


 彼女は今一度深々と頭を下げた。


 その瞬間、彼女の姿が視界から消えた。

 その代わりに、枕元にあのオルゴールが置かれていた。


 錆つき、歯も欠け、ボロボロになったオルゴール。


 それを見た瞬間、悟った。


 彼女はこのオルゴールの秘密を知っている。

 今これを使い、時を止めて俺に返した。

 そしてそのまま去っていった。


 帰らせてはいけない。

 まだ聞かないといけないことが。


 まだ慣れない体で飛び起きて、這いながら廊下へ出る。

 彼女の姿はない。

 でもこれを使えば。


 満身創痍のオルゴールを回し、時を止める。


 必死に追った先には彼女の姿が。

 逃さないように後ろから抱きつき、時は動き出す。


「!?」

「君はこの使い方を知っている。どれくらい回したんだ」


「分からないです。ただ毎日、ひたすら……」


 彼女は俺のために、

 俺の意識が回復するまで、

 オルゴールで時を止め続けてくれたのだ。


 半年で目覚めたわけではない。

 もっと長い年月が費やされたのだ。


「俺なんかのために」

「それは私のセリフです」


 この時、役目を終えたオルゴールは静かに壊れた。


 そして俺達二人の時は、動き始めた。



 この作品をお読みいただき、ありがとうございます。

 今話にて「なろうラジオ大賞7」テーマ全種類を投稿し終えました。他の作品も読んていただけますと嬉しいです。

 それではまた、どこかの作品でお会いできる事を楽しみにしております。


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― 新着の感想 ―
回復した時に時代に取り残されないように手を取って二人で回していたと言う感じでしょうか? 読ませて頂きありがとうございました
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