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アルトの決闘

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<レイン視点>

「お願いです。だ、誰にもいいませんから」

 キンッ、キィンッ!

 ……固いな。

 上級くらいか?

 よくあんな状況で上級魔法が使えたもんだ。

 キンッ!!キィンッ!!!

「……くそ、が」

 流石に片腕で切れるもんじゃない。

 名前や顔、手札が知られるのは、流石にまずいな。

「お、ぃ……ク……ソガキ……!」

「は、はい!!」

「お、れのこと……を、はな……したら、殺す」

「わかりました!ぜ、絶対に話しません!」

 可愛くないガキだが、話が早くて助かる、助かる。

 さてと、いたいた。

「ひっ」

 さっさと亜人のガキ連れてって、報酬貰うとするか。

 本来なら美味しい話だったのに、随分と手こずっちまったな。

「や、やめて!」

「……わ、すれ……たか?」

「あ……ご、ごめんなさい」

 一睨みでなんでもいうことを聞くのが普通のガキなはずなんだがなぁ。

 っ……!

 痛ってー。今になって傷が疼いてきやがった。

 頭に血が引いて行くのを感じる。

 さっきまではまったく痛くなかったんだがな。

 えーっと、治療魔法は……

 ってより、やっすいポーション飲んで口だけは治すか。

 ごく、ごく……

 ふぅ、これでよし。

 ガキとの戦闘中、飲む暇が微塵もなかったな。

「――流れよ、澄みわたる命の水。痛みを沈め、熱を鎮め、裂けた理を静かに満たせ。我が身を巡り、傷を包め。《アクア・ヒール》」

 全身は無理だから、片足だけっと。

「よし、行くぞガキ」

 これで俺の魔力はカラか。

 魔術師と比べることじゃねーが、流石にこの年齢差だとガキとの魔力量の差に凹むな。

「……はい」

「安心しろって、お前は高値で買われてんだ。即使い物にされることはねーからよ」

「はい……」

「あぁ、それでいい。素直なガキは好きだ。悪いようにはしねーよ」

 全く、ガキに振り回されっぱなしの依頼だったな。


――――――――――――――――――――――――

 <???>

 ……よくやった。

 生き延びたんだ。あんな状況でだぞ?

 戦闘経験も桁違いの相手に、仲間を倒し、重症を負わせたんだ。十分だ。

 さっき回復魔法の詠唱をしていた。

 もしかしたら、あいつはもう全快かも……しれない。

 そう、全快かもしれないだろ?

 なら、両腕が折れてるし、魔力も残り4%くらいだ。

 管の状態も不安定だし、ここは引こう。

 

 [俺は、このまま、1人の女の子を見殺しにするのか?]

 

 (いや、いいじゃないか、見殺しと言っても、十分頑張ったさ。)

 (てか、なんで死ぬって決めつけてんだよ。

 もしかしたら、案外幸せな日常おくるかもしれないぜ?)


 

 [俺は、このまま一生ビビり続けながら、後悔して生きていくのか?]


 (それの何が悪い、死ぬよりも、生きることだろ?)

 (もし俺が死んだら、エリナさんや、エリシア、カシウスがとにかく悲しむぞ?)

 (あまり話したことはないが、他のメイド、リディアとサフィアも悲しむだろう)

 (リオだって、友達が死んだと聞いたら、もちろん悲しむだろうし、また一人ぼっちになるかもしれない)

 

 [俺は、こんなにも与えられたのに、何も与えないのか?]


 (いや、相手は与えられて、さらには年季が違う、無理があったんだよ)

 (俺の中身は中年でも、本気の戦闘経験は0だったんだ。しょうがない)

 (それに、あいつには覚悟もあった)

 (多分、殺さないとあいつは止まらない。俺人殺しとかなりたくないし)


 ……自問自答しすぎだな。

 これが二重人格ってやつか?

 どんどん理想論を語り始めてやがる。

 ヒーロー気取りの人格が、俺の中にまだあったんだな。

 落ち着いて、いつもの日常に戻ったら、この判断に感謝するさ。


 

 だって、このまま戦ったら、死ぬんだし。

 

 

 (…………俺は、いつまで言い訳をして生きていくんだ?)

 


 ……必死に言い訳すれば、それが正しいって思えるの、楽なんだよな。

 でも、転生した時、確か決めてたな。

 最大限やろうって。

 これって、本当に最大限か?


 

 俺は、ちゃんと生きれてるのか?

 


――――――――――――――――――――――――

 <アルト視点>

 随分と、長い夢をみてたみたいだな。

 レインはまだいるか?

「圧を断て。流転せよ」

 別に唱えなくても無詠唱でドームを解除できるが、管が不安定だ、温存。

 …………把握。

 距離、4メートル。

 まだ床はびしょ濡れ。

 レイン、足と口の治療を完了。

 こっちを見て驚愕している。逃げられたら追いつけない。

「前言撤回だ。例え逃げても、絶対にお前の手の内も何もかも、密告してやるよ」

「……嘘を吐くガキは嫌いだ」

 レインは剣を振り抜く。

 魔法は残り4%、二重魔法はもう魔力量的に無理だ。

 なら攻略法は、俺の魔法を、レインに当てる。

 片足でも、一発たりとも当たらなかった。何か工夫しないとな。

 腕が上がらん、身体的な面も工夫しないと。

 ……少しビビったのか、さっきまで待ってくれたが、詰めてきた。

 …………駄目だ。時間が、足りねぇ。

 それに、意識が――

「やめて!!!」

 ?

 さっきの女の子の声か?

「おぃ、ガキ!邪魔だ!」

「殺さなくてもいいじゃないですか!!」

 女の子がレインの足元に引っ付いてるのか。

 ……チャンスを作ってくれた。

 作戦を考えろ。

「っ……!片腕が使えないからって調子乗ってんじゃねーぞ!!」

「お願いです!ちゃんとついて行きますから!」

「そういう問題じゃ、てか、なんで今になって――」

「この人、私なんかのために、命懸けで、頑張ってくれました!!」

 ……泣き声が聞こえる。

「殺す必要なんて、もうないはずでしょ!?」

「お前、なんだその力――」

「お願いします!希望なんて、もう持ちませんから!」

「っ……!邪魔だ!!」

 レインは女の子を全力で蹴り飛ばした。

 骨、大丈夫か?

「お願いです……もう」

「傷つくなー」

「……え?」

 俺は女の子にも聞こえるように、声を張って、笑って言った。

「もう、信用してないってこと?俺を」

 女の子の目を合わせるように、尋ねた。

「いや……でも……」

 

「絶対に、助けるから」

 

「……うぅ」

 女の子は泣き崩れてしまった。

「随分と、くっせーセリフ言うじゃねーか」

「それがどうした?というか、待っててくれてありがとよ、空気読めるんだな」

「寒すぎて鳥肌が立ちまくってたから、動けなかっただけだ」

「ま、勝負つけようぜ、レイン」

「……レインさんだ。クソガキ」

「俺もクソガキじゃ無くて――」

 

 そうだ、今の俺は


「俺は、アルト・ハルフォード。中級魔術師だ」

 

 

 

 俺が名乗ると、静寂が流れる。

 

 その静寂を破るのは、俺だ。


「――燃えろ。空気に宿る熱よ、静寂を破り」


 レインが詰めてきた。

 

「奔れ、白き閃光」

「な!?」

 レインはバックステップをし、距離を取り始める。

 当たり前だ。この詠唱は、雷魔法。

 術者自身の体が焼き焦げる代わりに、最速を誇る。切るのも不可能だ。

 いきなり無詠唱で撃ってくるのを恐れたんだろう。

「轟け、雷鳴。我が意志を刃とし、敵を貫け」

 俺は腕を床に向けることしかできない。

 

 だが、指はまだ動く。

 

 指に魔力を集中。

 

 そして俺は、指をレインに向けない。

 

 俺はあえて、レインの“足元“に電撃を――


「っ!?」

 レインがジャンプした。

 判断が早い。

 

 さすがだな、床は水浸しだ。すぐに感電させるという俺の“仮“の目的に気付いた。

 

 これは撃つフリだ。

 

 これでもう、レインはかわせない。


――――――――――――――――――――――――

 <レイン視点>

 ……また来たか、この感覚。

 水中にいるような感覚。

 雷の詠唱はフェイクか。

 本命は、今から撃つ魔法だろうが。

 よく考えたら、指先から撃つ雷魔法なんか、たかが知れてる。

 気絶しなければ、もう手詰まりだろ?

 さあ……来い。

 

 ……?なんだあいつ、仰向けに倒れ込んで――

 

 !?

 まずい!あの体制なら手から魔法を出せ――

「《ウィンド・スピア》」

 しかも無詠唱か!

 

 威力も上々。

 ……首を守――

 ビュン!

「ぐぁ!!?」

 ゴン!

 

 ……肩か、いつもの癖が……出たか。

 

 あー……強かったなぁ。

 

――――――――――――――――――――――――

 <アルト視点>

「って……」

 うまく……いったか。

 肩に当てて吹っ飛ばした方向に壁を頭にぶつけさせて、脳震盪で気絶させ勝利。

 なっさけねー格好だが、勝った……のか。

 勝った……

「……えーっと、そこの女の子、大丈夫?」

 勝ったあとは、嬉しいとかそういう高揚感は特に無く、ただただ、安心した。

 終わったんだ。

「大丈夫で……すか?」

 たくさん泣いたのか、目がすっかり晴れたケモ耳をつけた女の子が俺を見下ろしていた。ほんと、かっこつかねーな。

「あぁ大丈夫……腕触らなければ」

「……ほんとに、大丈夫ですよね?」

 この子がそう思うのも無理ないよな。

 管は少しは修復できてたようだが、無詠唱のウィンドスピアの反動で、右肩から指先までぱっくり切れてるし。

 右手の指は……多分焦げてる。

 雷魔法の詠唱はしたが、使わなかったおかげで指だけで済んだ……か。

「ほんと、大丈夫大丈夫――」

 なんだか……眠くなってきた。

 魔力の使いすぎのせいか。

 もう1%あるかどうかだし。

 ……というか、この子確かアキレス腱切られてたよな。

 声色的に骨は折れてないと思うが。

「ちょっと足の傷見せてくれない?」

「え?は、はい」

 できる限りの笑顔で言ったつもりが、気味悪がらせてしまっただろうか?

 俺は横向きになり、女の子のアキレス腱を手で包んだ。

「その、まだいってなかったですよね。ありが――」

 指が焦げてて少し気持ち悪いかも知れないが、我慢してもらおう。

 さて、ここからが正念場だ。

「――流れよ、澄みわたる命の水」

「!だ、だめです!」

「痛みを沈め、熱を鎮め」

「自分に使ってください!このくらい、大丈夫ですから!」

 治るかどうか、クソギリギリだな。

「裂けた理を静かに満たせ」

「それに私!体が丈夫なんです!そもそも、あなたの方がずっと重症じゃないですか!」

 女の子をほっといて自分を治療って、それはないだろ。

「我が身を巡り、傷を包め」

「ほんと……大丈夫ですから!!」

 余計なお世話かも知れないが、この世界は、やばい病気が多いんだ。放置はなしだ。

 エリナさんの授業ちゃんと聞いててよかった。

「《アクア・ヒール》」

 魔法は大成功だ。

 残りカスの魔力で、完全に治癒することに成功した。

 

「これで……もう、だいじょ……」

 

 0%……だ。

 

「……!捕まっててください!だ、誰か!!誰か、来てください!」

 ……おんぶ、されてるのか?

 

「誰か!この人を助けて!!」

 ……だめ、だ。ね、むい。

 

「私の命の恩人の、魔術師様を、助けてください!!!!!!」

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