少年の戦闘終了
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――詠唱。
それだけで、背筋が凍った。
魔力感知のうまさで魔法が使えるのはわかる。
だが、そんな精神状態で魔法を使えるはずがない。
左半身を焼かれ、呼吸すらまともにできていないはずなのに――それでも、レインは俺に魔法を向けている。
「やめろっつってんだろ!!本当に殺されてーのか!!!」
「……い、し……に……こた、え……」
空気が、わずかに歪み始めている。
それにこの詠唱は、炎魔法だ。
「っ、クソが!」
もう無理だ。悪いが、お前の魔法をわざわざ待つ余裕はない。
「<ウィンドスピア>!!」
こんな重症に撃つもんじゃないが、腕も動かなくさせてやるよ。
そう思いあいつの肩に当て終わらせようとしたが、片足で当たり前のように回避された。
「……わ、が……ま、え……に……つ、ど……い……て……」
もうすぐ炎魔法の詠唱が終了する。
無効化させてもらうぞ、炎魔法には水魔法だ。
確実に無効化させるため――
そう自分に言い聞かせて、レインの詠唱が終わるまで構えた。
「……か、た……ち……を……な、せ……」
来る……!
あとは魔法名を言うだけ――
「――……め、ぐ……れ……っ。……せか、ぃ……を……み……た……す、むけ……ぃの……」
……は?
詠唱が変わった、いや、二重魔法!?どんだけ集中力いると思ってるんだよ!
だめだ、落ち着け……これは風の詠唱だ……なら、爆発を起こす魔法のはずだ。
……もう知らねぇ容赦しねーぞ。
「……《ウィンドスピア》!!」
レインはまた当たり前のように俺の魔法をかわす。
俺が何度打っても、こいつはかわし続けた。
なんで当たんねーんだよ!
くそ!落ち着け!また足元を狙えばいずれ当たる!
焦って直接魔法を当てようとするのを切り替えた時、レインの詠唱はもう終盤に移行していた。
「……わ……が……ま……ぇ……にて!……」
こいつは何度も倒れようとするが、毎回ギリギリで踏ん張って意識を元に戻す。
体力はとっくに限界……限界のはずなんだ。
なのに、なんで当たらねぇ!
レインは建物の壁面、空中、あらゆる場所を駆使して回避をする。
クソ、なら……いいや。
撃たせてやるよ、めんどくせぇ。
そもそも、なんであいつの短期決戦に付き合ってんだ。
あいつは何度も倒れかけてるんだ。
俺の魔力は……25%くらいか?
少し心許ないが、この魔法を防いだら、あいつにはもう手札はないはずだ。
俺はウィンドスピアを撃つのをやめると、レインは一瞬驚いたあと、止まり、詠唱を紡いでいく。
「……ゃ……ぃ……ば……に……なれ……」
風魔法の詠唱も終わった。
「来い!」
爆発魔法には土魔法で壁を建てて塞ぐ。
まぁまぁ魔力は食うが、それでもまだ余裕はある!
「――み……ち、よ。せか、ぃを……め……ぐる、ふかき……み、ず……よ。」
――――――――――――――――――――――――
<レイン視点>
さて……ラストの詠唱だ。
ここを耐え切れば……
「《ウィンドスピア》!!!」
っと。
流石に三つ目の詠唱は待ってくれないか。
またお得意の風魔法を連打してきやがった。芸のないやつだな。
青ざめて、随分と惨めなこった。
こりゃ相当焦ってるな。
魔法の精度が落ちてるの、気づいてなさそうだな。
もし最初の時くらいの魔力操作だったらどうなってたか。
「……にげ、ば……を……うば……い……」
あと少しだ。
……なーんか、不思議だな。
少しでもミスれば俺の負けだってのに、妙に落ち着く。
まるで、水中にいるみたいだ。
そもそも、どれだけガキの魔法が崩れてるからって、片足でかわせるわけねーのに。
……もしかしたら、この状態が、あの噂の、神の領域……
『神化』ってやつか?
ふっ。
神を信じてないから賊を始めたってのに、皮肉なもんだ。
今の俺だったら、あの天級のガキにも――
――あーいけね。
戦闘してるってのにめっちゃ別のこと考えてた。
でも、絶対に当たらない。
そんな、自信が俺にはある。
「わ、が……てき……を……お……し……つ、ぶせ……」
さあ、正念場だ。
――――――――――――――――――――――――
<アルト視点>
くそ!くそ!!なんで、むしろ動きが良くなってんだよ!!
ありえないだろ!
本当になんで……
「……はぁはぁ」
まずい、魔力が――
いや、魔力はまだ15%くらいある。
この程度なら、息切れはしないはずだ。
いや!そんなこと考えるな!あいつの撃つ魔法に集中しろ!
炎、風、水――
組み合わせは、知ってる。
だが、今それを撃つ意味が分からない。
……とにかく、来る魔法がわからないなら、何かを唱えた瞬間、ウィンドスピアで貫く。
これが一番のはずだ。
見立てを立てていると、こいつは動きを止め、俺に向かって手を差し向ける。
いい加減……こいよ……!
「………………《スチームエクスプロージョン》」
「《ウィンドスピア》ァ!!!!」
来た!ついにこいつの魔法!
だが俺のウィンドスピアは完璧、威力もこっちの方が高い。
これで相殺されるはずだ!
レインの撃った魔法と、俺の魔法が交わる瞬間、霧のようなものが、周りに広がった。
数十センチ先もまともに見えないような霧だ。
な、なんだこれ?
もしかして、これがレインの目的か?!
……視覚外からの不意打ちか。
…………落ち着け。すぐに魔法を使ったらそれこそ思い通りのはずだ。
落ち着け。
俺の魔法はいくら無詠唱でも、スキはある。
魔法名を唱える瞬間だ。口が回らない時に襲われたら、一巻の終わりだ。
そうだ、落ち着け。
こつ……こつ………………こつ………
その時、俺は気づいた。
さっきまで聞いていたレインの足音が、遠ざかっていく。
片足なら、足音を消すのは無理だ。
不自然な点は、ない。
なら、わざわざ自分で作ったフィールドから出て行くのはなぜだ?
……いや、落ち着け。
もしかして、そこに魔法を撃って欲しいのか?
なら、そこに罠があるはずだ。悪いがここは待たせてもら――
少しして、俺は気づいた。
ウィンドサーチが機能しなくなっていることに。
……しまった!!!
レインの元々の目的は少女を連れ去ることだ!
ウィンドサーチが機能させなくしたのか!?
あの身体能力だ、片足でも逃げ切れるかもしれない。
あえて足跡を鳴らしてるのも、俺に素直に撃ってもいいのか?と惑わすための罠!
なら、早くこの霧を晴らす!
「《ウィンドブレイク》!」
その瞬間だった。
周りの霧を飛ばした瞬間に俺は気づいた。
レインの本当の目的は、最初の予想通り、不意打ちだと。
「ガアアアアアア!!!!!」
間に合わ――――
「《アースドーム》!!!!!」
俺の周りの土が、目でも追えない速さでドーム状に俺を固め、レインの剣から守った。
俺はほとんど反射の勢いで防御魔法を展開させることに成功した。
「……はぁ……はぁぐっ……う゛っ……げ……」
吐きそうになった。
俺は、間違いなく死にかけていた。
汗が止まらない。
涙が出てくる。
怖い。
ボキッ
「へ?」
俺は一瞬理解ができなかった。
「ぐあ゛あ゛あ゛――――――っ!!!!!!」
俺の骨が折れた音だと、理解できなかった。
痛い。
息ができない。
本当に、死ぬほど痛い。
俺の耳から現実を直視させるように音が流れ始める。
キィンッ!!
「ひっ……」
キンッ、キィンッ!!キンッ!!
レインがアースドームを攻撃してる音だった。
レインは諦めず、どうにかこじ開けようとしてくる。
その動きが、俺の命を確実に奪おうとしてると思い知らされ、震えた。
まだ、死にたくない。
俺に……できることは。
痛い。
助かるにはどうすれば。
痛い。
死にたくない。
痛い。痛い。痛い。
「ごめんなさい……」
「もう……助けてください……」
ぐすっ……ひっ……
「だ、誰にも言い、ま、へんから。どうか」




