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ゆりちゃんと夜

一週間くらい待っててくれた人、気になってここまで見にきてくれた人、どっちも感謝!

それではどうぞ!

カララン…

「おはよ…こんばんわですー、まきさんー」

いつも来ている時間とは違い、夜ご飯を食べ終わった後くらいの時間帯だ。流石にいつものような元気は無いのだろう、眠そうな声でまきを出迎えた。

「夜は眠そうですわね」

「とりあえいつもの席へー」

少しフラフラとした足取りでカウンターの席へ案内をするゆりちゃん。まきは話している最中寝てしまわないか不安だったが、考えることをやめたらしい。メニューを貰わずにゆりちゃんに聞いた。

「今、何が作れますの?」

「んーとですねー、もうですねー、水とかしか出せませんー。言われたら軽いものくらいは作れないことはないですけどー」

「では、メニューを持ってきて欲しいですわ」

できるだけ簡単そうなものをとまきは考えてメニューを捲る。まき自身も、夜ご飯は食べたようで、軽そうで、なおかつ簡単そうなものを探している。

しばらくまきがページを捲る音だけが響いた。ページを捲る音が消えて、ゆりちゃんは眠い目を擦りながら問いかける。

「決まりましたー?」

「…『ホットケーキ』と『レモン水』を一つずつお願いしますわ。ゆりちゃん、作れそうですの?」

ゆりちゃんは少し悩んだ後、まあ、と言った。

「作れないことはないと思いますよー。頑張ってきますー」

「ありがとうございますわ」

そう言ったあと、いつもより遅い足取りで店の奥に消えていった。

と思えばコップを持ってすぐに出てきた。

「先にレモン水出しておきますねー。好きに飲んでくださいー。…あと、まきさん今日は夜ご飯食べてきましたよねー?軽めにしときますねー」

「お願いしますわ」

この時間なら流石にもう夜ご飯は食べてきていると考えたのだろう。元々は何枚か重ねるものを1~2枚に変えようと言った。その気遣いが嬉しかったらしい、まきは微笑んでいた。

レモン水の入ったコップを置くと、今度こそ店の奥へゆったり歩いていった。

・・・

「ふああ…どーどー。『パンケーキ』と先に出してましたけど『レモン水』ですーごゆっくりー」

そう言うとゆりちゃんはぱたりとカウンターにうつ伏せになった。驚いたまきが顔を覗くと、ゆりちゃんの可愛い寝顔があるだけだった。時折ふふっ、と笑いながら寝ているので、良い夢を見ているのだろう。そんな顔を見て、まきが一番に思ったこと、それは…

「お代、どうすれば良いのでしょう…」

これだった。

まあ気を取り直して、とゆりちゃんが出してくれたパンケーキをしっかり食前の挨拶をしてから食べ始める。どこまでも礼儀正しいまきだった。

はむっ

「ふわふわで美味しいですわ…本当はもう少したくさん食べたかったですわね…」

実際、夜ご飯の後でなければ普通の量出されていて、それを全て食べきったのだろう。小さめの2枚のパンケーキと、その上にかかった蜂蜜。素朴ではあるがそれはそれで美味しい。

レモン水も、普通の水を飲むよりも後味がさっぱりしている。コップの中で光っている氷は、水を凍らせて作った氷ではなく、レモン水を凍らせて作ったもののようで、味が薄まらないようになっていた。

「やっぱり、ゆりちゃんの作るものは美味しいですわね。…さて、どのくらいお金を置いていけばいいですの…」

無言で食べ続けて、綺麗に食べ終わった後。食後の挨拶をして、まきはなにかを考え込んだ。いや、それよりも先に料理を褒めたが。

そう、メニュー表には値段が書かれていない。ゆりちゃんが即興で決めているからだ。うーん、と唸り悩んだ末に、まきは500円玉を取り出した。それを空っぽの皿の隣に置いて、言った。

「500円ほど出しておきましょう。では、また来ますわ、おやすみなさい、ゆりちゃん」

「むにゃ…まきさん、また…」

ゆりちゃんの返事が聞こえたとか聞こえてないとか。

カララン…

また一週間くらい空くかもです…

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