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第十七章:絶体絶命、髪の引き抜き

ステージの静寂――嵐の前

「皆様、ご覧いただけましたか?」

かなさはスポットライトの下、髪をゆっくりとかき上げ、満足げに笑みを浮かべた。その髪は光を浴び、まるで絹の滝のように美しく輝いている。


観客たちは息を呑み、ステージに見とれていた。だが、その裏では涼子とレジスタンスがそれぞれの計画を遂行するために動き始めていた――。


涼子――勝利の確信

「今よ」

ステージ脇で、涼子が「改良型毛根引き抜き装置」のスイッチを入れた。


機械が静かに唸りを上げ、細かな吸引力がかなさの髪の先端を引き寄せ始める。


スッ――


かなさの髪の先が微かに動き、空気の流れに捕えられた。


「……何?」

かなさは違和感に気づき、髪を振って振り払おうとしたが――それはすでに装置の吸引力に囚われていた。


「やめなさい!」

かなさの声が震え、彼女の顔に焦りが浮かぶ。


絶体絶命――髪が吸い寄せられる

涼子は冷たい笑みを浮かべ、装置の出力を最大に上げた。


ゴォォォォ――ッ


「やめて……!この髪は、私の髪よ!」

かなさの叫びが会場に響く中、彼女の髪が一気に引き寄せられ、ノズルの中へと吸い込まれ始めた。


「ははは……ついに、かなさ、あなたの髪は私のものよ!」

涼子は勝利を確信し、装置のスイッチに手を添えたままステージに向かって前進する。


かなさの目には恐怖とパニックが広がっていた。髪が吸い込まれる感触――今まで絶対の自信を持っていた「奇跡の髪」が、彼女の手から離れていく感覚に、心が崩壊しそうになっていた。


「亮……助けて……!」

かなさの震えた声が漏れ出るが、高嶺亮は護衛の阻止をかいくぐりながら装置に向かって走っていた。


「間に合わない……!」


レジスタンスの一手――薬剤の投擲

「今しかない!」

レジスタンスのリーダー・蓮は、装置に吸い込まれ始めたかなさの髪に向かって、薬剤の小瓶を投げた。


シュッ――!


「かなさ!お前の髪の魔力は、ここで終わりだ!」


小瓶は空中を舞い、ノズルに捕えられたかなさの髪めがけて一直線に飛んでいく。


混乱の極致――髪の異変

「何……!?」

涼子が驚愕の声を上げる中、小瓶がかなさの髪の近くで割れ、薬剤が広がった――。


次の瞬間、装置の吸引力と薬剤の影響が重なり、かなさの髪が異様な揺らめきを見せた。


――ゴォォォォッ!


「う……ぁぁぁ……!」

かなさが頭を押さえ、その場に膝をついた。髪の中から、異様なほど濃密な香りが一気に噴き出し、会場全体に広がり始める。


「な、何が……!?」

蓮が薬剤の影響を見極めようとするが、予想以上の反応に顔色を変えた。「これは……暴走している……!?」


涼子も装置を止めようと操作パネルを叩くが、制御が効かない。

「何なのよ、これは……!?」


かなさの髪――暴走の発動

ステージの中央に立つかなさの髪が、まるで生き物のように揺らめき、甘い香りが異常な強さで周囲に拡散し続けた。


「私の髪が――」

かなさの瞳に焦りと混乱が入り混じる。しかし、その表情は次第に別のものへと変わっていった。


「――ふふっ……これが、私の髪の真の力なのね」


観客たちは次々と魅了され、理性を失い、ただかなさに向かって膝をつき始めた。


「ま、まずい……!」

蓮が叫ぶ。「このままじゃ全員が……!」

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