表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

第十章:限界への足音

かなさの限界

「……っ!」

かなさは髪を振り乱しながら、放出されるフェロモンが周囲に与える支配力を感じていた。しかし、同時に自分の髪が徐々に力を失っていく感覚もあった。

「どうして……こんなはずじゃないのに!」

髪を触ると、その滑らかさは明らかに衰えており、束になった一部が絡まり始めていた。彼女のプライドを支えてきた「完璧な髪」が、もはやその名に値しなくなってきている。

「これ以上は……ダメだ……」

かなさは思わず後退りし、手に掴んだ髪を見つめる。

________________________________________

装置の狙いと計画

涼子は、毛根引き抜き装置を慎重に操作していた。その装置は、大型の吸引ノズルを備えた特殊な設計で、かなさの髪を物理的に触れることなく引き寄せ、毛根ごと引き抜く仕組みだった。

「これを使えば、あなたの髪を一本も残さず奪えるわ」

涼子は余裕の笑みを浮かべながら、ゆっくりとかなさに近づいた。

かなさは息を荒げ、髪を必死に守るように背後に隠した。「あなたに渡すくらいなら、この髪を燃やしてしまう方がマシよ!」

「燃やす?そんなこと、あなたにできるはずがないわ」

涼子は冷たく言い放ち、さらに一歩近づく。「だって、あなたのアイデンティティそのものを自分の手で壊すなんて、プライドが許さないでしょう?」

かなさは涼子の言葉に一瞬動きを止めた。

________________________________________

触れる危険を回避する方法

涼子は、ゴム製の防護スーツに身を包み、かなさの髪の魅了効果を完全に無効化していた。さらに、装置の吸引力を最大限に高め、髪を直接触れることなく装置の内部に引き込む準備を整えた。

「あなたの髪に触れる必要なんてないのよ」

涼子は操作パネルに手をかけ、装置を作動させた。吸引ノズルが唸りを上げながら動き出し、かなさの髪の先端を徐々に引き寄せる。

「やめなさい!」

かなさは髪を掴んで抵抗するが、装置の吸引力に引き寄せられ、髪の先端がノズルの中に吸い込まれそうになった。

________________________________________

立場逆転と挑発

「どうしたの、かなさ?」

涼子は余裕たっぷりの笑みを浮かべ、かなさを挑発する。「あれだけ偉そうにしていたのに、今は髪を守るのが精一杯ね?」

「黙りなさい!」

かなさは震える声で叫ぶが、その言葉には以前のような威厳はなかった。

「本当に素晴らしい髪だわ。これを私のものにしたら、どれだけの人を虜にできるかしら?」

涼子はさらに言葉を重ねた。「でも、それだけじゃつまらない。あなたがどれだけ無様に命乞いをするか、見せてくれない?」

かなさは涼子を睨みつけながら、歯を食いしばった。「私が……あなたなんかに命乞いをすると思う?」

「思うわよ」涼子は涼やかな声で返した。「だって、髪を失ったら、あなたには何も残らないんだから」

かなさはその言葉に反応するように唇を噛み、声を震わせた。「……お願い……やめて……」

その瞬間、涼子の笑みはさらに深まった。「あら、もう少し聞かせてくれる?私を楽しませるような言葉を」

________________________________________

かなさの逆襲の兆し

しかし――その時、かなさの目にわずかな光が宿った。

「……そうよね……私には髪しかない」

かなさはゆっくりと立ち上がり、フェロモンを全力で放出し始めた。

涼子の部下たちは、その場で膝をつき始める。防護スーツを着ていない者たちは完全に魅了され、かなさの方へ歩み寄った。

「なに……?」

涼子は戸惑いながら周囲を見渡した。「防護スーツを着ているはずなのに……!」

かなさは冷たく笑い、「髪を奪うのもいいけど、あなたの手下たち、もう私のものみたいね」と言い放った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ