楽に泳ぎたい
2063年。
着々寸進洋々万里とばかりに様々な分野の技術が発達し続けている昨今。特にヒューマンロボティクスの発展は著しく、第三の腕やら足腰の負担軽減やらと、人体を補助・強化してくれる義肢系の商品がバラエティ豊かに溢れている。
その中には「泳ぎ」に関する物だって勿論あって、腰に尻尾の様な物を着けて泳ぐなんていうレジャーも出来たりしていて楽しいのだけれど……
問題は、僕は持参しなければいけないって事で、そうすると、僕がその義肢を洗わなくちゃいけないって事。
それはつまり、“とても面倒くさい”という事なんだ。
いや、待ってほしい。確かに、ほんの5分6分程度の作業。そんな事は判ってる。だけど、その絶妙な簡単さが、反ってより面倒くささを際立てているんだ。
僕の場合は、付け替えの為に絶対座らないといけないから余計にさ……
そんな折、テレビを点けてみれば、オープンワールド系のゲームで毎回言われてるような陳腐なセリフと伴に、荒野、湿地、山、平原、森、川に海辺に地底湖に水中と、それらの風景とそこでキャラクター達が活動するシーンが連続して流れて行くβテスター募集のCMが放送されていた。
その時思ったよね。「なんか水要素多くない?」って……
それでちょっと調べてみたら、BMIだかバイオシンクだか言う技術が使われた、割と高級志向な没入型VRゲームみたいで、もうその時は天啓だと思って、即座に応募とVR機器の購入をしたよね。
そして今日、そのVR機器が届いて、やっとこさオープンβに参加出来るってこと!
そんなこんな、回想と調べ物しながら暇を潰していると、やっとこさダウンロードが完了し、アプリを開けば種族選択画面に移行した。
そこには5つの選択肢が有り、
「アルグダ族タンク型」
「ミルク族スピード型」
「ソーサー族パワー型」
「ドゥリオ族テクニック型」
「マグラス族ラッキー型」
と有って、項目を押せばそれぞれ詳細が表示され、上から、「トカゲの人型、イタチの人型、犬の人型、猫の人型、人に長い猿みたいな尾付き」といった感じで、タンクやらスピードと有るように、初期ステータスもそんな感じの数値──最低3で、最大はマグラス族のLUK7、他はそれぞれ対応した項目が6──であった。
他のゲームで泳ぐ為に必要な数値を調べた感じ、スタミナかAGIだったから、ミルク族を選択。
次の画面はキャラクターメイキング画面であった。
イタチの人型から人がイタチの耳と尻尾を付けただけな感じまで操作できたり、毛の色や長さ、目の色や大きさ位置とか、その他にも牙の長さとか尾の太さとか、何やら“ファッション”だとか言う項目で髪飾りや、耳飾りや、首飾りとか、ゲーム開始時の服装もここで決められるらしく、色んな部分を設定できるみたいだった。
まぁ、デフォルトのケモケモしい黒いやつのままに、デフォルトのダサい服装──前をおっ開げにしてある臙脂色のベストに深緑色の短パン──で良いか
確定させれば、次はスキル選択画面に移行した。何やら[片手剣Lv.1]やら[短槍Lv.1]やら[弓Lv.1]やら[水魔法Lv.1]やらの武器系から、[水泳Lv.1]やら[早足]だとかの移動系とか、[目利Lv.1]だとか[採取Lv.1]だとかの生産系に大雑把に分かれている感じで、武器系はそこそこの量が有るけど、他はそんな多く無い感じであった。
ここから5つ選べるらしいから、まぁまず[水泳Lv.1]──“水中で行動する時に補正”と曖昧に書かれていた──に、銛って槍ほど長く無いから[小槍Lv.1]、火か水かで悩んだけど、槍と相性良さそうだし、何か空気で良い感じに成るかもだから[風魔法Lv.1]。余りは、AGIが上がる訳じゃないけど、歩行や走行が速く成るらしいから、バタ足が速く成るかもだし[早足]。あとは……もしかしたら役に立つかもしれない[尾撃Lv.1]。
これで確定させれば次はステータス配分画面で、5ポイントをそれぞれ配分できるらしく、ミルク族の初期ステータスは、
[HP60,MP60,STR3,VIT3,DEX5,AGI6,MAG4,MND4,LUK3]
といった感じだから、STRとAGIに2ポイントづつ、DEXに1ポイント──HP、MPは、1ポイント振り込むと5上昇した──と振り分けて決定を押下すれば横長のウィンドウが現れて、「あなたの名前は?」とその下に空欄が有ったから、swimとmyをもじった「シュウマイ」と入力し確定。
すると暗転し、徐々に徐々に上下へ暗黒が半透明な薄緑に開かれて、SF作品でよく見るようにボコボコと気泡が口元から溢れ上がり、けれども半透明の向こう側には、木目調の壁や床が見えていた。
そこから少しと待たずして、ゴポゴポと薄緑色の液体がそこそこのスピードで足元に吸引され、目の前の硝子が下へと開かれた。
硝子の中から外へ出て周囲を見渡せば、正面には質素な感じの木扉。右側には、何やら机とその上や周辺に散乱した紙束。頭を振って反対へと視線を移してみればクローゼットらしき物が1つだけ、後ろを見遣れば大きな筒が二つ有り、真後ろにはフラスコのような形をした今さっきまで居た空の物が鎮座しており、その天辺から左手側の筒へと管が蒸留器のように繋がっている。その筒の中を見れば、キャラクターメイキングしたキャラクターと寸分違わない物が薄緑の液体に浸かっていた。
じゃあ今操作しているキャラは何なんだ?と思い筒へと近付き触れてみると、[種族を変更しますか?]という半透明のウィンドウが表示されると同時に、そのウィンドウに被さるようにして[おはようございます。身体の調子どうでしょうか? 何か不具合を感じましたら、直ちに右上の設定メニューからログアウトし、『パティナ・プラネット』公式問い合わせフォームへとご連絡下さい]という半透明のウィンドウがポップした。
とりあえずウィンドウを消してから再度反射を確認してみれば、自キャラもそこで浸かっている物と変わらない容姿に見えたから、意識を移してるとか、クローンだとか、そういうのなのかな?と納得し、一先ずはと、ラジオ体操第一モドキを実行して、その後に尻尾をフリフリブンブングルグルと一通り行動してみてたが、特に違和感だとか不快感だとかは感じなかったので、この部屋唯一の扉を潜った。
部屋を出てみれば、そこは土が剥き出しの、けれども木張りされている壁に囲まれた広間になっていて、扉のすぐ横には机が置かれており、そこには、小さめの槍に小さめの杖らしき物、そして、何か丸い筒に近い形をした物が置かれていて、手に取ろうと手を翳すと、[チュートリアルを開始しますか?]というウィンドウが出現した。
[はい]を押すと、始めに“アイテムの装備判定”についての説明がされた。どうやら、どのような形であれ、対応箇所で保持されれば装備判定になるらしい。しかし、メニューからアイテムを開く、または、アイテムに手を翳すと出る[︙]から[装備する]を選択すれば、自動的に対応個所へ装備されるようだった。
そして、よくわからない筒状の物は、尾に着けるガントレットみたいな物──テイルガード──らしかった。
とりあえず杖──簡素な木の杖──をベルトに有った穴に挿し入れ佩き、テイルガード──簡素な皮のテイルガード──を装備して、短槍──修練用の短槍──を両手に持つと、眼前の床から土人形が生えてきて、戦闘チュートリアルが開始された。
その前にと、対象のグループについての説明ウィンドウが挟まれた。
緑の丸なら「非敵対的」で、基本的に攻撃はされない。黄色の丸なら「非攻撃的」で、攻撃しなければ攻撃はしてこない。赤丸なら「攻撃的」で、コチラを認識し次第積極的に攻撃を仕掛けてくる。この色は変化する場合もあるらしい。そして、これ等の情報は基本的に伏せられているから、その情報を取得したい時は、“対象の詳細を知りたい”と念じれば良い……といった感じの説明で、土人形を見つめて「詳細を知りたい」と念じれば、“ 黄丸のLv.5【土人形】 ” と土人形の頭上に表示された。
ウィンドウを閉じれば、間を置かずに手に持っている短槍のチュートリアルから始まった。
どうも、「そこへ当てたい」と思いながら槍を振るえば程々の動作アシストが入るから、そこまで正確に狙わずとも概ねの箇所へ被弾させる事が出来た。
しかしまぁ、慣れの問題に思えるが、少し気持ち悪さが残ったから、いつか練習するかもしれない。
そうして6回ほど攻撃すると、次は[スキルアビリティ]だか言う基本的に戦闘系スキルに付いている機能の使用方法で、そのスキルアビリティを「使いたい」と思いながら対応の攻撃動作──短槍で言えば突く動作──をするか、「使いたい」と思いながらスキルアビリティ名を言えば発動するらしい。
短槍のスキルアビリティ名は[アンスロー]と言うもので、短槍カテゴリのアイテムにのみ対応しているらしく、“次突く行動をする時、その突きの攻撃範囲が1.5倍になる”という効果らしかった。
なので、土人形に穂先を突き立てながら後退し、槍を滑らせても当たらない事を確認してから、まずは無声音で突いてみると、左上の紫色のMPバーが4分の1、つまり15消費されて発動しダメージ判定を見せた。
次は構えた状態のまま「アンスロー!」と宣言すると、僕のなんかよりよっぽど素早くブレ無く綺麗に、そして力強い踏み込みをして、滑らかにキレの有る突きを自動的に実行した。
それにより土人形は崩れ、その中から紫色の瓶が現れて[アイテムを使用してみよう!]というウィンドウが出現したが、それはちょっと後回しにして、気になった連続宣言をしてみたところ、“素早く槍を戻しながら足を入れ替えまた鋭く突く”という、素人の僕では絶対に出来ないであろう行動が実行された。ちょっと楽しい。
さて、[アイテムを使用してみよう!]は、土人形から出てきたMP回復薬を該当の行動をするか、手を翳した時や持った時に出てくる[︙]──掴んだ際は人差し指で押せる辺りに出る──から[使用する]を選択すれば良いらしく、パピコの如く割り開いて飲み使用してみれば、0へと成っていたMPは全回復された。
すると、また土人形が床から生成され、今度は尾撃のチュートリアルが始まった。
まぁ先ず脇下から殴ってみるが、爪先が相手に殆どくっついてるくらいまで近付かないと碌に当たらなかったから、半身に成ってスイングしてみれば、腕を伸ばした程度には有効距離が伸びた。しかし、可動域の関係か、横殴りでないと上手く当てる事が出来なかった。
といったところでスキルアビリティの説明に移行した。[テイルウィップ]と言うもので、MPを5消費して、10秒間だけ尾の長さを3倍に出来るものであり、これにより、短槍を構えた時と概ね同じくらいのリーチとなった。まぁ、奇襲用といった雰囲気だろうか。
そして効果が終了すると、またMP回復薬がドロップし、また土人形が生成され、今度は風魔法のチュートリアルへと相成った。
このゲームで魔法を発動させるには、基本的に杖を掲げたりだとか、杖で円を描いたりだとか、そういった“ちょっとした動作”を行うか、その行動を規定段階まで行い技名を宣言する事により発動するらしい。
今回の風魔法では、使いたいと思いながら“大きく円を描いてから打ち出したい方向へと杖先を向けて突く” または、“目を向けている方向へと腕を伸ばして、打ち出したい方向へと杖先を向けて「ウィンドショット」と宣言する” というMPを20消費して、少なくとも30mくらい──広間の端から端まで──まで直進する斬撃属性っぽい多段ヒットする透薄緑の塊を発射するものと、使いたいと思いながら“肩ほどまで杖を上げた状態で左から右へと振り抜き、上へ振り上げて袈裟に下ろす” または、“袈裟に振り下ろしながら「ウィンドアシスト」と宣言する” という、一瞬緑の円が足元に輝きMPを30消費して180秒間AGIを2上昇させるというもの。
そして、早速の例外として、「送風」という“使いたいと思いながら内側へ仰ぐように手首を動かす”のみでMPを2消費して一定時間だけ任意の場所にある程度の強さまでの漫画的表現なモノクロの風を起こせる──使用してみれば、微風からドライヤーの強くらいの強さまでの風を10秒間だけ起こす事が出来た──というもので、3種類とも発動させ終わると、また同じように土人形は崩れ去ってMP回復薬を落としたが、もう土人形は隆起せず、広間の奥の方に扉が出現した。
開放してみれば、暗い石造りの階段が上へ上へと仄かな光を携えて続いていた。
ひたひたピチャピチャと登って行くと、幾許もしない内に壁や天井が荒々しい洞穴のように成っていき、遂に最上段へと顔を出せば、そこは所々岩が突き出て屋根と成っている入江の内の、その小高い岩壁の部分に有って、眼前には、白い砂浜とそこへ波打つ碧く青い水平線に、それを引き立てるような藍から水色へとグラデーションする空色と、疎らに漂う純白の綿雲。「夏の海辺」と聞かれれば、誰もが想像し得るだろう。何とも陳腐な、けれども感嘆を引き摺り出されるような、そんな一言では表せられない景色が形作られていた。
波打ち際まで近寄って右を見れば、岸壁がずぅっと奥まで続いていて、薄っすらと白い街影が見える。左を見てみれば、近くの崖が崩れたのか登れそうな坂が有った。
まぁ、どこそこに行けそうとかは今は良いのだ。何はともあれやっと泳げる。と膝辺りまで水に浸かった所で[泳ぎ方について]というウィンドウが表示され、読んでみれば、自身で体を動かして泳ぐ事は勿論可能だけど、泳ぎたい方向を念じるだけでもアシストされて動けるらしい。重畳である。
太腿まで浸かり始めた辺りで水中を確認してみると、白色赤色茶色に緑色と、正しく波打ち際の浅瀬という感じの光景が広がっていて、奥へ行く程に深く成っているようだったから、そのまま潜水して地面を蹴り、先ずは緩やかにバタ足をしてみる。
そこそこの速さで変わり行く景色と、顔に足に尻尾に掛かる圧力感と、腕、腹、尾へと流れる流水の感覚。現実よりも水を掻き分ける抵抗感の重さを感じないけれど、十分な“泳いでる感”を摂取できる。頬が緩むのを感じた。すごい。たのしい。
それからかれこれ、平泳ぎしたり、ウェービングをしたり、水面に出てクロールしたりとか背泳ぎしたりとかしていると、何とも言えない短めな高音気味の曲が鳴り、[水泳Lv.1→水泳Lv.2]と文字が跳ねているウィンドウが上に小さく表示された。そのすぐ右にある時計を確認してみれば、泳ぎ始めてからもう10分ほど経っていて、ゲームという事もあり疲労を全く感じていないから、最後にと、水中に入って少しすると出てくる酸素ゲージ──半透明に縦で並んでいるMPバーとHPバーに並ぶようにその下にもう一つバーが追加される──が完全に消費されるまでにどれくらい時間が掛かるのか、どうせだから、深く深くへと潜ろうと、試した中で──やはりではあったけれど──一番安定し速かった“尾で舵取りをしながらウェービングする”泳法で潜水を開始した。
だいたい10分ほど潜水し続けていると、視界が紺に暗く成り始め、目の前に白桃色のクラゲだとか、何やらキラキラした小さいモノがたくさん漂っている領域が見えて来た。
日周鉛直運動だろうか?そう何となしに考えていれば、その思考がクラゲへの詳細閲覧申請と認識されたのか、「赤丸のLv.2〜5の【群妖海月】というモンスターで有る」と視界一杯に広く漂うそれぞれに表示され、そのふにょんふにょんフワフワ動く海月たちを見遣りながら、無視してより深くへと潜るか、水中戦闘を熟してからより深くへと潜るか、双方にしようか悩み漂っていると、一匹の群妖海月のLv.2がコチラへふんわりふんわりと、蝶が羽撃くかのように一対の大きな襞をくゆらせて突き進んで来ていた。
まぁ、近くに来たヤツくらいは倒そうかな。
そう思って少し近付き短槍を構え、銛で突くように槍を放てば、群妖海月の被弾箇所からダメージエフェクトが輝き、その部分が少し凹んで塑性を発揮するかの如く元へ戻った。群妖海月は、そんな事は知らんとばかりにその触手の悉くをゆったりとコチラへと伸ばしてくるから、少し後退してからまた一撃。しかし先程と同じ結果で、もう一撃。もう一撃と、計5回手応えの無い応酬を繰り返せば、前触れ無くあっさりと黒化して弾け、[薄紅色の彷妖毒手]という一際大きく一対有った幅広な涙型がドロップした。
さて他の群妖海月はどうなっているかな?と視線を戻せば、すぐ傍まで薄桃色に輝く大壁が迫って来ており、奥を見遣れば長く群妖海月が連なっていた。
え……こわカツオノエボシか?
なんとか回避運動へ入るが到底間に合わず、薄桃色の壁に上下左右を包み込まれた。
その平衡感覚と距離感覚を狂わせる輝く桃色の檻は、どうやら徐々に徐々に狭まって来ているらしく、同じ場所で槍を振るえば二度目には接触してダメージエフェクトを散らした。
このままチマチマ槍を振るったって焼け石に水でしか無いだろう。ならやはり、槍より広範囲かつ貫通力──というより浸透力だろうか?──がある「ウィンドショット」で有れば、もしかしたら道を開けるかもしれない。
槍を背負って腰から杖を抜く。
発動行動を惑っていると、右上のメニューボタンの下に半透明の行動アニメーションが表出したから、その通りに杖を回し突けば、透薄緑の塊が結構な速度で直進し、何回かのダメージエフェクトの後に2、3個のドロップアイテムと、幾つもの赤い涙滴型を四角で囲んだ模様が何体かに現れて、その模様が付けられた群妖海月からはダメージエフェクトが等間隔で現れ始め、それと同時に、右上メニューのすぐ下に手紙マークに①と書かれた半透明のマークが現れた。
何はともあれ、もう一回、もう一回とMPが0に成るまで「ウィンドショット」を放ったが、どうにもこれも焼け石に水な様で、全然突破出来なかった。
正に万事休す。最早打つ手無し。
仕方が無いので、その場で槍と尾を伸ばしてぐるぐる回り、ダメージを与える事により経験値を貯めれないか試してみる事にした。
ぐるんぐるんパスパス。ぐるんぐるんパスパス。何とも情け無い音を出しながら簡易的な結界を築いていれば、当然の事ながら、ガラ空きの頭と足元から触手が絡まり、左上HPゲージのその右側に、赤線に緑の涙滴型が付いている2と付いた四角いマークと、黄色いジグザグが二つ並んだ3と付いた四角いマークが並んで現れて、回転速度の低下と定期的なダメージを齎された。
死ぬまで少し時間掛かりそうだなぁ……と、また何とも言えない曲と伴にポップした[水泳Lv.2→水泳Lv.3]のウィンドウを流し見ながら、頭頂から首へと優しくゆったりと撫でられているかの様な感覚が首へと到達した瞬間、その触感は消え、少しするとその光景がぼやけモザイクと成り、視界が灰一色に染まると、またゲーム開始時の緑の液体に満たされた筒の中で目覚めた。
同じように筒から液体が排出されて開くと、[デスペナルティについて]というウィンドウがポップした。
内容としては、「リスポーン──新しい身体へと緊急的に移行──すると、移行する前の身体の経験を完全にサルベージできることが殆ど無いから、先ずは自身の身体の状態を把握してみよう」みたいな文章が、“メニュー➡ステータス➡スキル” と示されている画像と伴に表示されたから、その通りに見てみれば、水泳のレベルが2に下がっている事は無く3のままで、Lv.1が並んでいた。
“殆ど” なんて有ったから、その低確率を引いたのか、単純に水泳以外の何かの経験値が少し没収されたのか……
まぁ、水中がかなり良い感じだったし、そもそもまだ序盤だし、別にいっか。
おざなりな思考のままにメールボックスを確認すれば、[状態異常について]という表題の物が有り、タップしてみれば、「状態異常は、基本的に放置していると凶悪に成って行くから、薬草を採ったり、薬屋に行ったり、装備を整えたりなどして対策しよう!」との事だった。
まぁとりあえず、先の戦闘で素早さと火力が足りない事を痛感したから、何か装備とかアイテムとかを揃える為に、一度街に行った方が良いかもしれない。
……あの深さまで10分くらい掛かったから、こんな序盤も序盤に行く所じゃなかった可能性も有るけど……他に状態異常を使ってくるのが出て来ないとも限らないし、もし本当にカツオノエボシモチーフなら、ほぼ確実に群妖海月の端くれが漂って来るだろうから、どっちにしても一度街に行った方が良さそうか
書かねば書けない。を信条の下、約14日に一回は投稿を目標としているが、手元には約1万文字の設定しかなく、プロットには、この章のボスが何で想定の攻略法はこうである。という物のみである。
つまり、そのボスまでの道程は未定であり、その後の章のボスも未定であれば、主人公以外のキャラクターなんて、これっぽっち(親指と人差し指を合わせている)も想定していない。
この殆ど約束されたカオスを、果たしてあなた方は耐えられるだろうか?
そして、「14-1」この約定は果たされるのか……