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召還された召喚師  作者: 星々導々
最終章 世界に願いを
201/275

201話 シャラの悩み

 翌日、昼休憩のあと。


「じゃ、始めるぞアシュリー」

「ええ」


 大勢の人の前で、マナヤとアシュリーが並び立っていた。

 二人は、手を繋いだ。ギャラリーが固唾をのんで見守る中、そのまま集中するように目を閉じる。


(思いを、シンクロさせる)


 マナヤは、アシュリーの手の体温を意識した。

 ディロンから教わった。『共鳴』を発動させるために重要なことは、お互いの心を完全に一致させること。


 ――ピチュ……ン


 頭の中に、波紋が広がる。

 それは何度も繰り返され、徐々にその頻度を高めていった。あの時の感覚と同じだ。


(いける)

(いけるわ)


 アシュリーの考えも伝わってきた。

 目を閉じたまま、不敵に笑う。マナヤとアシュリーは目を閉じたまま天を仰ぎ、声高に叫んだ。


「【共鳴(レゾナンス)】……【魂の雫(ソウルエッセンス)】!」


 自然と重なる二人の声。

 直後、全身から虹色の燐光が放たれ、優しく二人を包み込んだ。


「お、おお……!」

「これが、あの伝説の『共鳴』なのか……」

「キレイ……」


 周囲に集まっている者達の感嘆が聴こえてくる。

 ゆっくり目を開いたマナヤ。隣でほほ笑むアシュリーの姿と、うっとりとしているような表情のギャラリーが映った。


(まるで見世物だな。まあその通りなんだが)


 ディロン達から提案されたことだ。

 召喚師を嫌悪する者は、まだまだ多い。それを払拭すべく、召喚師であっても伝説の『共鳴』を発動できるということを示すのが目的である。


 むろん、マナヤ達自身の練習でもある。

 必要な時に、すぐに『共鳴』を発動できなければ困ることになるかもしれない。ディロン達もそれで苦労したのだ。だからこそマナヤとアシュリーも、こうやって自分たちに合った発動法を模索していた。


 結局、こういう方法に落ち着いた。

 手を繋ぎ、お互いを意識する。いろいろ試した結果、これが一番シンクロしやすい。


「よし」


 アシュリーが、何度か拳を握ったり開いたりを繰り返したあと、呟いた。

 そして聴衆の一角へと目を向ける。


「じゃあ師匠、見ててください」

「ああ」


 そこにいたのは、隻腕の女剣士。

 長い黒髪を靡かせ、誇らしげにアシュリーを見つめ返している。アシュリーの剣士の師、ヴィダだ。


 アシュリーは、おもむろに抜剣した。

 後ずさる聴衆。邪魔にならないよう、同じくマナヤもいったん後方へと下がった。


 目を閉じ、集中していたアシュリー。

 突如、カッと目を見開いた。


「【ペンタクル・ラクシャーサ】!」


 空へ、剣を振り抜く。

 透明な衝撃波が発生した。空中にジグザグの揺らぎのようなものが飛んでいったかと思うと、一瞬遅れて轟音が届いてきた。

 遥か頭上の雲が、W字に斬り裂かれた。


「おぉ」


 ヴィダが、斬られた雲を仰ぎ見ながら感嘆茫然としていたギャラリーも、一瞬遅れてどよめいていた。

 ヴィラは、くるりとアシュリーの方へと向き直る。


「凄まじいな、アシュリー。私の奥義を簡単に再現どころか、はるか上を行くとは」

「えへへ、ありがとうございます師匠。マナヤとの『共鳴』がなきゃ、一発が限界なんですけどね」


 アシュリーが頬を掻く。その手も顔も、いまだ虹色のオーラに包まれていた。

 だがアシュリーはすぐに気を取り直し、パンパンと大きく手を叩いた。皆の視線が彼女へ集中する。


「はいはい皆さん、これだけじゃないんですよー! 複数の技能を重ねて発動するこの技、モンスターの力も付け加えられるんです。――マナヤ」

「おう。【スカルガード】召喚」


 アシュリーの合図に、マナヤもすぐ応答。

 横に手を差し出し、『スカルガード』を召喚した。召喚紋の中から、手に長剣を握った骸骨戦士が現れる。


「こんなふうに」


 アシュリーが、そのスカルガードの手首あたりをむんずと掴んだ。

 骨だけの手が握っている剣。その柄を強引につかみ取り、スカルガードごと振りかぶる。


「『武器』を持ってるモンスターの、武器部分を掴むと……」


 直後、アシュリーは前方へと飛び出した。


「【ライジング・フラップ】!」


 瞬間的に、離れた位置にあった岩柱に激突した。

 先ほど建築士に頼んで立てておいてもらったものだ。岩柱に半分ほどまでスカルガードの剣が食い込み、全体にもビシリと亀裂を入れる。

 ギャラリーが「おおっ」と感嘆した。


「っていう感じです! モンスターの武器を支点に、技能の『重ね技』を発動できるんですよー!」


 遠くから、アシュリーが手を振りながら説明している。


「……ちょ、ちょっと待ってくれ」


 ギャラリーの中から、声が上がった。

 男性だ。


「武器を持ってるモンスターなら、それができるってことは……!」

「そういうこと」


 アシュリーが戻ってきた。

 スカルガードを捨て置いて、一人こちらまで戻ってきたのだ。ニッと笑い、マナヤに声をかける。


「そういうこと! マナヤ、次はアレね」

「【ミノタウロス】召喚!」


 マナヤはすぐ、大斧を持った牛頭『ミノタウロス』を召喚した。

 おもむろに近寄るアシュリー。その大斧の柄をガッシリと掴み、構えた。彼女の剛力にミノタウロスの巨体の方が振り回される。


「【火炎獣与(ブレイズ・ブースト)】」


 マナヤが呪文を唱えた。

 ミノタウロスの大斧が、刃部分だけ勢いよく燃え上がった。

 背から炎に照らされるアシュリー。皆の緊張の面持ちを全身に受けつつ、身を屈めた。


「――【ライジング・ラクシャーサ】!」


 アシュリーの姿が、掻き消える。

 ミノタウロスごと、再び一瞬で岩柱の元へと飛び込んでいった。そのまま斜め上へと大斧を振り上げる。



 ――ゴバァッ



 巨大な、炎の三日月が飛んだ。

 岩柱の上半分が消し飛ぶ。赤熱した溶岩のようなものが、周囲へと勢いよく飛び散っていった。しかし斜め上へと放ったためか、飛散した溶岩ははるか空へと飛んでいく。


「マジ、か……」


 先ほどの男性が茫然と呟いた。

 他の皆も、あんぐりと口を開けたままその様子を見上げている。ただ一人、ヴィダだけが誇らしそうに微笑んでいた。


 技能の重ね掛けである、ライジング・ラクシャーサ。

 それにミノタウロスの斧の威力、そして召喚師の獣与(ブースト)魔法まで乗り、とんでもない破壊力へと進化したのだ。


「……とまあこんな風に、すごいパワーで攻撃できるわけですね。その気になれば、さらに黒魔導師さんの付与魔法も重ねられますよ。証明済みです」


 戻ってきたアシュリーが、そう説明を付け加えた。

 実際にやったことだ。ブライアーウッド王国でダグロンと戦った際、獣与(ブースト)魔法とディロンの付与魔法を同時に乗せることに成功した。


「モンスターだろうが何だろうが、要は使いようってことッスよ」


 マナヤが説明を引き継ぐ。


「召喚師にとって召喚獣は『武器』なんですから、他の人達だって武器として使えない道理はない。これが、これからの召喚師の可能性です」


 戸惑うように顔を見合わせる聴衆。

 これで、少しは見せつけることができただろうか。



「――あ、いたいた! マナヤさん、でいいのよね?」



 そこへ、どこかで聞き覚えのある女性の声が。

 振り返るマナヤ。


「ん? あ、あんたはたしか」


 茶色い短髪の少女が、シャラの隣に立ってこちらを見つめていた。金刺繍の入った青い服を纏っている。スレシス村の衣装だ。


「ケイティ……さん、だったか?」

「ええ。はじめまして、じゃないんだっけ? 私が知ってるあなたって実は『テオ』さんの方だって聞いてたから、ちょっとややこしいんだけど」


 ケイティは、ぎこちなく笑いながら頬を掻いた。

 スレシス村の錬金術師で、シャラの友人の一人。


(そういやシャラが言ってたっけか。召喚師との『連携』戦術を村に持ち帰るために、スレシス村から代表としてコイツが来るって)


 召喚師のみならず、その周囲も変わらねばならない。

 そのため、召喚師と『連携』する戦術を学ぶべく、他クラスの者たちもこのセメイト村へ集まってきているのだ。


「ね、そのオーラ」


 ケイティが、じっとマナヤを見つめてきた。


「すっごいキレイよね。それが、『共鳴』なんだ。初めて見たわ」


 虹色に光る全身を、頭の上から足の先まで見回してくる。

 興味津々といった目だ。


「あ、ケイティさんじゃない。お久しぶり」


 アシュリーもこちらへと歩み寄ってきた。

 マナヤと同じ、虹色のオーラ。それを纏いながら近づいてくると、より一層この場が明るくなったように感じる。


「ああ、アシュリーさん! お久しぶり、あの時はお世話になっちゃって」


 そちらに気付いたケイティが、朗らかに笑った。

 瞳をキラキラと輝かせながら、しかし眩しそうに目を細める。


「でもなんだか、アシュリーさんも雲の上の人になっちゃったみたい。いまや、伝説の『共鳴』使いサマだもんね」

「別にあたしはあたしのままなんだけどなー。でもまあ、このオーラは綺麗だから気に入ってるのよね、ふふ」


 アシュリーも、光る腕を掲げてほほ笑んだ。自らも見惚れるようにそれを見上げている。


「……」


 ケイティの隣にいるシャラが、複雑そうにそれを見つめていた。

 ふと、ケイティがシャラへと振り向く。


「ね、シャラもそのうち『共鳴』が使えるようになるんじゃない?」

「……えっ! え、えと、どうかな」


 急に話を振られて戸惑うシャラ。

 ケイティは、目をキラキラとさせながらシャラへと詰め寄っていく。


「だってアシュリーさんとマナヤさんができたんでしょ?」

「え、えっと」

「マナヤさんと同じ身体のテオさんとなら、シャラもきっとできるに決まってるじゃない! 楽しみだなー」

「……う、うん」


 当のシャラは完全に縮こまってしまっている。

 ハッとケイティが顔を曇らせた。


「ご、ごめん。悪気があったとかじゃなくて、シャラが虹色に光るの、きっと綺麗だなって想像しちゃって」

「う、うん、わかってるよ」


 必死に謝る彼女を、シャラは控えめに宥めた。


(……あー)


 思わずマナヤは、アシュリーと顔を見合わせた。



 ◆◆◆



 その日の晩、マナヤらの自宅にて。


「……あの、マナヤさん」

「ん? どうしたシャラ」


 夕食の片付けを終えたシャラが、戸惑いがちに話しかけてきた。

 アシュリーは夕食後にヴィダと話をしに行っていて、この場にいない。今はマナヤとシャラの二人きりだ。


「テオは起きてますか?」

「あーいや、まだ寝てるぞ」


 マナヤが表に出る手番になって、今日はまだ二日目だ。

 三日ごとに、テオとマナヤが主に表に出る手番を交替する。そして交替するタイミングは、三日たった日の夕食直前と、そういうルールとして決めてあった。

 ゆえに交替には、まだ一日早い。


「一旦起こすか? 起きてくるかわからねーけど」

「あっいえ、それならまだ起こさないでください!」

「……じゃあ一体、何なんだ?」


 いったん、シャラは目を泳がせた。

 だが、まだ戸惑いがちな様子を見せながらも、顔を伏せて口を開く。


「その……えっと、マナヤさんに相談したいことが、あるんです。テオには、内緒で」


 マナヤは眉をひそめる。

 彼女自分に相談とは、珍しい。


(……テオには、聞かせられない相談? まさか)


 昼過ぎの出来事が頭をよぎる。

 体ごとシャラに向き直った。当のシャラはしかし、何か訊ねようと口を開きかけては閉じる、という動作を繰り返すばかり。


「……やっぱテオに聞いてもらった方がいいんじゃねーか?」

「い、いえ違うんです! えっと、その」


 慌てて止めてくるシャラ。

 じれったく感じながらも、マナヤは辛抱強く彼女が話し出すのを待つことにした。


 たっぷり、一分ほど沈黙した後。


「……マナヤさんは、その」

「おう」

「アシュリーさんと『共鳴』、できますよね」

「ああ、まあな」

「その……どうすれば、私とテオも使えるようになるでしょうか」


 やはりその件か。

 マナヤは、肩をすくめた。


「それこそテオと相談して決めることじゃねーか? 俺とアシュリーのやり方と一緒たぁ限らねえし、お前らの問題だろ」

「で、でも! 『共鳴』が使えないの、私達だけなんです!」


 シャラはなおも食い下がった。

 切羽詰まった様子だ。焦っているような、あるいは何かを怖れているような。


「お義父さんとお義母さんも……ディロンさんとテナイアさんも。そして、マナヤさんとアシュリーさんも使えるのに」

「……シャラ、お前」

「私達だけが、まだ使えないんです。……仲の良さなら、私とテオも負けてなかったのに」


 そう言って、声をすぼめながら俯くシャラ。


「今のマナヤさんとアシュリーさん、すっごく以心伝心してるように見えます。……私とテオより、ずっと」

「……」

「だから教えて欲しいんです。どうすれば、私もテオとそのくらいにまでなれますか」

「……アシュリーに訊いたほうがいいんじゃねーか?」


 テオが訊いてくるならともかく、シャラから訊かれても困る。

 アシュリーなら、同じ女性だ。あまり心の機微に鋭くない自分などより、よほど参考になりそうな助言ができそうだが。

 だがシャラはますます縮こまってしまう。


「テオと同じ、男性側からの視点が聞きたいんです。……テオと同じものを見てきた、マナヤさんの視点が」


 懇願するような様子でこちらを見上げてきた。

 目に、必死さが感じられる。


(……あー)


 ガリガリと頭を掻くマナヤ。

 十分に以心伝心しているように見えるテオとシャラが、自分とアシュリーの関係とは違う理由。実のところ、なんとなく見当はついている。


「言っとくが、完全に俺の個人的な見解だ。合ってるかはわからねえぞ」

「はい」

「あと、回りくどい言い方はナシでいいか? 多分キツいと思うが」

「お願い、します」


 決意を秘めた瞳が、凛とこちらを見返してくる。

 マナヤは小さくため息。そして、改めてシャラを正面から見据えた。


「シャラ。前にさ、テオの考えを忖度(そんたく)してたよな」


 両親が亡くなって間もないころ。

 シャラに、〝自分やテオに遠慮せずに自分の幸せも考えろ〟と言われたことがある。


『テオも、きっと良いって言います』

『なんでお前にそこまで言い切れるんだよ。まだアイツにゃ話してねえって言ってたじゃねーか』

『私がテオのお嫁さんだからです』


 そう言ってシャラは、確認もせずにテオの考えを推しはかったことがあった。


「確かにあの後、テオは賛成してくれてたけどよ」

「はい、それが……?」

「あれってよ。テオの考えがわかったってより、『自分が言えばテオは絶対に反対しない』って思ってたからじゃねーのか」


 シャラの表情が強張る。


「どういう、意味ですか」


 この先を告げると、間違いなくシャラを傷つけることになる。

 が、マナヤは覚悟を決めた。ここまで言ってしまった以上、最後まで言わざえるをえない。


「シャラ。お前がテオに何かを強く提案した時、あいつはそれを断ったことあるか?」

「……」

「まあ、無いよな。あいつはそういう奴だ」


 何か『相手の気に障った』と思った瞬間には、テオは自分が折れることで問題の発生そのものを回避してしまう。『自分の意見』を犠牲にして。

 それがテオだ。


「お前はわかってたんじゃないのか? 自分が言えばテオは無条件にそれに従うって。だから、自信満々に言い切れたんじゃねえのか」

「そんな、ことは……」

「しかも、だ。テオのやつ、人の感情を読むのが得意だよな」


 良くも悪くも、テオは相手がどのような感情を隠しているか見抜くことができてしまう。相手の気持ちになってしまう。


「だからよ。お前が、テオに突っ込んでほしくない隠し事があった時。大抵あいつは、自分から先に折れるだろ」

「そう、ですけど……それが一体」


 シャラの暗い問い返し。

 マナヤは、心を鬼にした。



「テオの相手は、『お前』である必要はねえってことだよ」



 ビクッとシャラの肩が震える。


「……そん、な」


 目がうつろになっていた。マナヤは、自分も暗い気持ちになりながらため息をつく。


(こいつらが結婚したのは、単純に『昔から一緒にいたから』ってだけだ。今んとこ)


 テオなら、誰とでも合わせられる。

 だが、ずっと一緒にいて、自分達にはお互いしかいないと思っていたのだろう。だからお互い、相手に合わせようとしている。


(わり)ぃな。でも、これだけは言っておかなきゃならなかった」


 それだけ言うと、マナヤは顔を背けた。

 実のところ、テオの察しが良すぎるだけが問題ではない。シャラも同じなのだ。


(テオもシャラも、相手に『自分』を見せる気がねえんだ)


 この二人は、良くも悪くも長く一緒にいすぎた。

 相手に譲りすぎているのだ。互いに強く依存していると言ってもいい。それでは、本当の意味で分かりあえているとは言えない。

 仮面をかぶったままの夫婦だ。


「お前らは、ちゃんと本当の絆を結べ。テオに頼り切りになったり本心を隠したりじゃなく、本当の自分達の姿でな」

「……」

「しっかりしろよ、シャラ」


 俯くシャラに、マナヤはポンと肩に手を置く。



()()()()()()、お前らは結婚できてんだろ。その程度のことで悩んでんじゃねえよ」



 思わず、本音が漏れた。

 シャラが弾けるように顔を上げる。涙の溜まった彼女の瞳に、罪悪感が揺らめいているのがわかった。


 話は終わりだ。

 マナヤはシャラの脇を通り過ぎ、アシュリーが使っている寝室へと向かって歩きだす。


「……テオ、には」

「――あ?」

「テオには、言わないで、ください。……このこと」


 シャラは背を向けたまま、震える声でそう絞り出した。


(……まさにお前らのそういう所が、問題なんだがな)


 自分の感情を押し殺しすぎても、良い事はない。

 経験則だ。


「……」


 そう言葉にしようと思ったマナヤだが、口をつぐんだ。

 言われたからやる、では絆にはならない。自ら理解しなければ意味がない。


 背に沈黙を受けつつ、マナヤは寝室へと向かった。


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