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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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浮気相手が優秀ですって? そうですか、ならば私は彼女を超えて差し上げます。……婚約破棄したことを後悔してももう遅いですからね?

「俺にはエリザベウスだけがいればいい! よって、お前との婚約は破棄とする!」


 婚約者アンドラはある日突然そんなことを告げてきた。


 彼は少し前から浮気していた。私はそれを知っていたのだ。一応特に問い詰めたりはせず様子を見るだけにとどめていたけれど。


 その浮気相手がエリザベウスである。


「アンドラさん……貴方は結局、彼女を選ぶのですね」

「そうだ。俺は俺に相応しい女性を選ぶ。相応しい女性と、こそ、結ばれたいと思うのだ」

「そうですか」

「エリザベウスはな、国の淑女コンテストで数年連続で三位をとっているんだ。彼女は淑女なんだよ。すごいだろう? 優秀で天才なんだ」


 自慢げに語るアンドラ。


 三位、というのは、確かに凄いことなのかもしれない。そのコンテストに向けて色々な努力だってしているのだろうし。


 ただ、たとえ淑女コンテストで良い成績を収めていても、他人の婚約者に手を出したとなれば台無しではないのか?


 他人の婚約者に平気で手を出すような女が淑女だなんて笑ってしまう。


「凡人なお前とは違うんだよ」

「……そう、ですね」

「分かったか! じゃ、これで。さよなら」

「ええ、よく分かりました。残念ですが……さようなら。ではこれにて失礼いたします」



 ◆



 婚約破棄後、実家へ戻った私は、時間ができたので淑女コンテストに出場することを決めた。


 そこで必ず一位になる!

 あの女を超える成績を出す!


 そう心を決め、師もつけてもらい、努力を重ねた。


「最近の貴女はすごいやる気ね。母さん、応援しているから。母さんはずっと貴女の味方よ。力になれることがあったら言ってちょうだいね」

「娘を応援しない父親などいないからな! 応援しているぞ! 協力はあまりできないかもしれないが……だが、心は常に共に在る!」


 母も、父も、頑張る私を応援してくれている。


 だからこそもっと頑張ろうと思えた。


 辛くても、苦しくても、歯を食いしばって進む。


 いつか必ずアンドラたちを見返してやるのだ。



 ◆



 その後、開催された淑女コンテストにて、私は一位を手にした。


「初出場で一位! 凄いですね!」

「素晴らしいお嬢様だわぁ」

「うふふ、惚れちゃった! 貴女、センスあるわね。しかも初めてなのでしょう? 初めてでここまでたどり着くだなんて……もう、神レベルね」


 多くの人に祝福されながら。


「貴女様はすべてにおいて完璧でした、素晴らしいですぞ」

「いやぁ~ん、もう他の参加者なんて見えないほどだったわぁ~」

「来年も出てくださいね、お待ちしています」


 私は栄誉を手にしたのである。


 また、今回参加して、良いこともあった。というのも、エリザベウスを直接叩き潰すことができたのである。彼女はやはり今回も出場していた、なので三回戦辺りで当たったのだが。そこで彼女に恥を掻かせることに成功。恥を掻き絶望するエリザベウスをすぐそこで見ることができたのだ。


 彼女は憎い相手、だからこそ、絶望している姿が味わい深い。


 これだけでも参加して良かった。

 そう思うほどの出来事であった。


 これから私の人生は大きく変わってゆくだろう。


 もう誰も、私を『凡人』だなんて言えない。



 ◆



 私が一位をとったあのコンテストの終了後、間もなく、エリザベウスはアンドラから婚約破棄を告げられたそうだ。


 何でも「あんな情けない姿を晒すとは思わなかった。そんな女を妻にしたら笑いものになってしまう」などと言われたそうで――二人はそのまま離れることとなってしまったようである。


 アンドラのエリザベウスへの愛など所詮その程度だったのだ。


 エリザベウスは捨てられたショックにより体調を崩し、今では実家のベッドで寝たきりに近いような状態に陥ってしまっているそう。


 一方のアンドラはというと、コンテストの後「俺のために努力したんだな。あれだけ有能になれたのなら、やり直してやってもいい」などと言って再び迫ってきたのだけれど、私は拒否。


 すると彼は酷く感情的になって暴れた。


 だがそれによって彼は牢屋送りとなり、おかげでもう二度と会わなくていいこととなったのだった。


 ちなみに私はというと、先日王子より求婚を受けたところ。


 何でも彼はあの淑女コンテストを見てくれていたそうで、それで、私を気に入ってくれたのだそうだ。



◆終わり◆

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