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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約者に捨てられましたが、その後ラッキーが重なり素敵な日常を手に入れることができました。

 心ない言葉を投げつけられたうえ婚約破棄されたその日、私は、自宅から徒歩数分でつく距離にある丘の上でサンドイッチを食べていた。


 大好物のサンドイッチ。

 ハムといちごジャムが挟んである。


 これが、ほどよい塩けと甘ずっぱさで美味しいのだ――代々伝わってきている母の特製サンドイッチ。


 しかしそのうちの一個が風に煽られて飛んでいってしまう。


「あっ――」


 ふわりと飛んでいったそれは、気づいていないところにぽっかりと空いていた穴に飛び込んでしまった。


「ああっ……」


 謎穴に飛び込んでいってしまった愛しのサンドイッチ。


 これではもう探し出せない。

 もう一度食べることだって不可能。


 どうしよう、悲しい……。


 だがそれから少しして。


『素敵なサンドイッチをありがとう』


 穴から女神が出てきて。


『お返しに、貴女に最大の幸福を与えましょう』


 長い髪が虹色に輝く彼女はそんなことを言った。


「え……? あ、あの……」

『貴女を傷つけた者には罰を、そして、貴女には最大の幸福を』

「ごめんなさいちょっと意味が……」

『この意味、いずれ分かるでしょう。安心して待っているのです。必ず、貴女は幸せになれます』


 こうして私たちの会話は終わったのだが――。



 ◆



 あの婚約破棄から三日。


 その日の朝、いつもと変わりなくいたって普通の感覚で起きると、母が駆けてきて教えてくれた。


 ――元婚約者である彼が死んだ、と。


 彼は日課である散歩に出掛けたきり家へ戻らず、家族が捜索願を出したそう。


 で、一日半ほどが経って、亡骸となった彼が発見されたのだそうだ。


 場所は山へと続く道の一番太い道とは少し異なる道。

 人通りのあまりない場所らしいが、そこに、彼の亡骸は横たわっていたのだそうだ。

 また、横たわっていた彼の周囲には、彼の身を取り囲むように、謎の穴が十個以上発生していたらしい。


 もはや謎しかない死である。


 もしや、これこそが天罰なのか……?


 まぁ、なんにせよ、彼の生涯は終わった。


 もう彼は息をしない。


 ――そう、永遠に。



 ◆



 あれから私は幸せに暮らせている。


 今は実家で夫となってくれた人と両親と四人で楽しく生活している。


 夫となってくれた人は裕福な家の出であった。しかし両親とはそこまで仲良くないようで、こちらの家に一緒に住めるなら嬉しいと言ってくれて。それでそういう方向で前向きに検討することとなっていった。で、その結果、私たちは四人で生活することとなったのだった。


 皆で笑顔で過ごせること。

 毎日楽しくあれること。


 すべてに感謝しながら歩んでいきたい。



◆終わり◆

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