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婚約破棄された日の晩、奇跡が起こりました。~急に大人気になってしまいましたが、私は私が良いと思える人をパートナーに選びます~

 伝説の花が咲いた日、奇跡が起こる。


 ――この国に伝わっているお話。


 ある意味それは伝説のようなもの。

 誰も真実とは思っていないが、その一方で心には置いているようなものである。


「お前は何の取り柄もない女だ、よって、婚約は破棄とする」


 婚約者で王子のフレッセントは私を急に部屋に呼び出してそんなことを言ってきた。


「え」


 あまりにも唐突で戸惑いの声を漏らしてしまう。


「この国の頂点に立つに相応しい女ではないのだ、お前は」

「また急ですね」

「くだらんことを言うな! 態度が悪い!」

「ええ……」


 こうして私はフレッセントに捨てられたのだが――その日の晩、私の実家であり自宅でもある家の庭に伝説の花が咲いた。


「う、うそ、これって」

「もしや、伝説に出てくるアレかぁ……?」


 両親も驚いていた、そしてもちろん私も。


 ――それから少しして、私の身には救国の女神が宿っているという事実が発覚する。


 それによって私は多くの国の王子たちより求婚を受けた。

 その中で誰か一人を選ぶという形になり。

 いきなりのことで戸惑い少々混乱しつつではあったが、私はやがて一人の王子を生涯のパートナーとすることを決めた。


 自然を重んじる国の王子ラティスリー、彼を選んだ。


「今度庭園を紹介するよ」

「よいのですか!?」

「うん、もちろん。選んでもらえたことだからお礼に。それに、この国の美しいところをもっと見てほしいしね」

「ありがとうございます……!」


 ラティスリーは温厚な人で、最初に会った時から他の王子とは違うものを感じていた。


「この国を好きになってもらえたいいんだけど」


 その後事件があった。

 フレッセントが「あの女は俺の女だったんだ! 返せ!」などと言ってラティスリーらが暮らす城の近くで暴れたのだ。


 だがフレッセントは警備兵によってすぐに捕まった。

 そして母国へ返還されることはなくそのまま処刑されたのだった。


 王子を他国が処刑するというのはかなり珍しいことではある。


 だが、まぁ、時にはそういうこともあるのだろう。


 なんにせよ私には関係のないことだ。

 今さらフレッセントが殺められたところで私には無関係、もう完全にどうでもいいことなのである。


 これからはラティスリーと共に生きてゆく。


 彼のために、そして、彼の国のために。


 そうやって私は生きていくつもりだし、この力も今いる国のために使う。


 ――過去はもう振り返らない。



◆終わり◆

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