それは、婚約者から婚約破棄を告げられた翌日に起こった事件です。~天罰でも下ったのですかね~
婚約者ロインバーツから婚約破棄を告げられた翌日にそれは起こった。
夜明け頃、何やら違和感を感じて目を覚ます。窓の方へと視線を向けるとカーテン越しに視界へ入ってくるほのかな光。得体のしれない光、異変を感じ、恐る恐るカーテンを開ける。
「え」
――空から隕石が降ってきていた。
「な、何これ、どういう……」
呟いた瞬間隕石は西の方へ落ちていった。
ロインバーツの家がある方向だ。
一瞬「連絡しないと」と思って。それから、ああそうか、と昨日のことを思い出す。彼は私を切り捨てたのだったな、と思い出した途端、私は彼を心配する心を失った。感情が一気に冷えてゆく。
その後隕石がロインバーツの家に直撃したという情報が耳に入ってきた。
で、たまたま家の中にいたロインバーツは落命してしまったそうだ。
「ロインバーツさん、可哀想だったわねぇ」
「そうね」
「でも彼……これまで結構酷いことして生きてきていたみたいだから……」
「あら、そうなの?」
「そうみたいですわね」
ロインバーツについて話している人は街にもいたけれど、時が経つに連れて皆忘れていったようで、二週間も経てば誰もロインバーツの話をすることはなくなった。
ちなみに私は今とても幸せに暮らしている。
なので彼に捨てられたことをひきずってはいない。
◆終わり◆




