五歳の時に将来結婚すると決まった相手は挑発的なことを言いながら裏切りました。
五歳の時に将来結婚すると決まった相手である青年エッヂリオは、学生時代に知り合った女性と私のことを隠して交際しており、いざ婚約する時が来たら「お前なんかと婚約するかよ、ばーか」などと言い出した。
事情を説明して断るのならまだ心を寄せることはできただろう。誰だって自分の人生は自分で決めたいものだから。しかし彼は冷静でなかった。極めて挑発的な言葉を使ってばかりだった。
なので私はエッヂリオの事情を受け入れられなかった。
とはいえ、断られてしまったものを無理矢理婚約させるというのも馬鹿みたいな話だしそんなことをしても絶対幸せになれそうにない。
だからエッヂリオとの婚約はなしということにした。
……ただし償いはしてもらう。
兄の協力を得て魔物召喚術を得意とする人に上級魔物を召喚してもらい、その魔物にエッヂリオを仕留めてもらった。
エッヂリオは泣きながらこの世とさよならをしたようだ。
その後私は良家の子息と結婚。おかげで楽しい日常を手に入れることができている。子にも恵まれ、今は家族揃って賑やかに生きている。
時には忙しくてつい文句を言いそうになる時もないことはない。けれど私は今という時が偉大で愛おしいものだと知っている。素晴らしい人に囲まれている今日という日の価値を理解している。だから負の言葉を口から出すことはしない。
これは個人的な意見だが。
どんな時も、できる限り、楽しいことに目を向けようと努力することが大事なのだと思う。
◆終わり◆




