魅力が低すぎるなどと言われ婚約破棄されてしまいましたが、その後幼馴染みと再会したことで未来が拓かれ始めました。
婚約者だった三つ年上の男性ローレングに「君の魅力は低すぎる。だからもうやっていけない。君といると僕までダサ男になってしまうよ」などと言われ婚約破棄された私は、以前仲良かった異性の幼馴染みルリッツに連絡し、久々に二人で喫茶店へ出掛けることになった。
「ねぇルリッツ」
「何だい」
「カクレクマミミって知ってる?」
「え。えーと、あの……カクレクマノミじゃなくて?」
「それは魚でしょう」
「そうそう」
「私が聞いているのはカクレクマノミじゃなくてカクレクマミミ」
「だったら知らないなぁ」
今日は喫茶店で紅茶を飲みつつ自由な時間を楽しんでいる。
「噂によればカクレクマミミっていうのは魔物だそうなの」
「ま、魔物!?」
「でも優しい魔物なんですって」
「優しい……そうか、そうなんだ、優しい魔物なんだね。でもさ、また何で急にそんな話を?」
「最近よく聞くの。カクレクマミミに会ったら願いが叶う、って。そして幸せになれるんですって」
「へぇー」
「ルリッツはアクレクマミミに会ったことある?」
「ない」
「えーっ」
「……そんなに驚くことかな?」
「ごめんなさい。大きな反応をしてしまって。悪気はなかったの」
そんななんてことのない話をして、その後ルリッツに家まで送ってもらったのだが、その帰り道私たちは出会った――伝説の魔物カクレクマミミに。
「まさかカクレクマミミを見られるなんてな」
「そうね、驚き」
「これから良いことあったらいいなぁ」
「ええ、本当に。お互い、幸せを手に入れられるといいわね」
「そうだね」
――それから一年半、私とルリッツは結婚した。
ローレングには捨てられてしまった。
でもそれは不幸ではなかった。
なぜならルリッツという人に再会するきっかけを与えてくれたから。
ちなみにローレングはというと、私に婚約破棄宣言をした日からちょうど一年が経った日に雨の中踊っていたところ風邪を引いてしまいその風邪をこじらせてしまったために落命するに至ってしまったそうだ。
◆終わり◆




