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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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婚約者である彼は私の勉強を良く思ってくれていませんでした。しかし私は私の道を行くのだと心を決めていたのです。

 私は数年前から冒険者の中でも最も試験合格が難しいとされている治癒士の勉強を行っている。


 試験はもう今年だ。

 なので勉強も大詰め。


 ここで手を抜くわけにはいないのだ。あと少し、というところで手を抜けば、失速してしまいかねない。そんなことになればこれまでの努力を泡にしてしまうことになる。なので今は最も集中して勉強に打ち込まなくてはならない時期である。


「お前また勉強してんのかよ」

「はい」

「あーっ、おもんね! 女のくせに勉強ばっかしやがって!」


 だが婚約者である彼モウィントはそのことを良く思っていない様子で、たびたび嫌みを言ってきたり勉強する私を貶めるようなことを言ってくる。


「将来のためです」


 きっと彼に理解してもらえる日は来ない。

 でもそれでもいいのだ。

 どんなことがあろうとも私の人生は私のものなのだから。


「はああ!? 将来!? 俺んちで暮らすんだから勉強なんかしなくていいだろ!」

「だとしても、未来は分かりませんので」

「俺を信じられないってことか!?」

「そういう問題ではありません。しかし、未来とは不確かなものでしょう? なので私は自分で生きてゆく力も身につけておく必要があると考えているのです」




 そんなある日。

 寒くなり始めた頃にモウィントから急に呼び出されて。


「悪いけどさ、婚約、破棄することにしたから」


 告げられてしまう。


「お前みたいな勉強大好き女と一緒に生きていくのは無理だって思った。だからもう関係は終わりにすることにした。お前おもんねえもん」


 終わりの言葉を。


「じゃあな、ばいばい」


 こうして私たちの関係は編み物をするするとほどくかのように終わってゆくのだった。




 ――数年後。


「凄いわねぇ、バルバロッサ様。なんせあの最難関と言われる治癒士の試験を満点合格なさった女性だものねぇ」

「女神さまのようよ」

「容姿も美しいときているし……文句の付け所がないわ。性格も良いでしょう? 本当に凄いわ。尊敬しかないわ。あんな素晴らしい女性がこの世界に存在するだなんて……嘘みたいな、本当の話ね」


 治癒士の試験を満点で合格した私はあっという間に有名人となった。


 今や私を貶める者はいない。

 誰もが温かく見守り称賛してくれる。


 ちなみにモウィントはというと、あの後可愛らしい女性と知り合ってその女性と結婚したそうだが、結婚後何回も不倫を繰り返されたために心を病んでしまいやがて離婚となったそうである。


 ただ、離婚したからといって受けたダメージが癒えるわけでもなくて、モウィントは今も心を病んだままらしい。



◆終わり◆

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