理由の説明もろくにせず婚約破棄するというのは……さすがにどうかと思いますよ。
「君との婚約は破棄とする!!」
婚約者ロートバーツがある日突然そんな宣言をしてきた。
なんということのない平凡な朝のことである。
「え……」
「だ、か、ら、婚約破棄すると言っているんだ!」
どうしてそんな偉そうな言い方をされなくてはならないのか。
そんな風に思いつつも。
「……本気ですか?」
取り敢えず落ち着いて対応する。
だが。
「君はもうどうでもいいんだ! 必要ない! だから婚約破棄だ、いいな!」
「……分かりました」
「ふん。さすがに分かったか。ならもういい、これにて別れるとしよう」
こうして私はまともな理由も説明されないままに理不尽に婚約破棄されてしまったのだった。
ただ、親が怒って婚約破棄の理由を説明するよう主張してくれたため、多少は説明してもらうことができた――しかしそうしてようやく説明された内容さえも意味不明に近いようなものであった。
……なんだかんだ、結局、すっきりはしないままであった。
だが私は婚約破棄後幸運に恵まれることとなる。
まず、父がこっそり買っていたターカーラくじが当たった。
また、以前から私が自分でずっと育てていた育つのが遅い植物が花開いた。
加えて、母の事業がなぜか波に乗り出して急成長。
そしてさらに、母の知り合いの息子であるとても良い男性と知り合うことができ、彼との関係が良い感じになってゆく。
で、後に私はその男性と結婚した。
ロートバーツと離れてからの私には幸せなことが多くあった。
なので彼と離れて良かったと今はそう思えている。
これからは大切な夫と共に歩んでゆくつもりだ。
……そうそう、そういえば、だが。
ロートバーツは私との婚約破棄の後も婚約と婚約破棄を繰り返していたそうである。
だが五人目の時に相手の女性から「はっきりとした理由のない婚約破棄は問題行動である」と主張されてしまい、揉め事になって、その話が社会に広まってしまったために彼は社会的に終わることとなってしまった。
婚約破棄したいのなら、最低限、まずはその理由を述べるべきだろう。
だが彼はそれをしなかった。
そのため痛い目に遭うこととなったのだ。
◆終わり◆




