晩餐会にて告げられる婚約破棄!? ……これはもう仕方がないので、諦めようと思います。
「アイリーニア、君との婚約は破棄とする!!」
晩餐会にて婚約者オルレイが突如そんな宣言をした。
会場は騒然とする。誰もが動揺していた。そこそこ身分ある家の出である私たちの婚約を知る者は多いのだ。だからこそ多くの人がいきなりのことに驚いているのである。
晩餐会参加者の女性たちは集まって「なになに? どうなってるの?」「急に何を言っているのかしら……わけが分からないわ、アイリーニアさんも状況が呑み込めていないみたいだし……」「なんじゃこれ」「どういう展開よ、これ」などとひそひそ声で話していた。
「そして! 俺は! この女性、ミリと婚約するのだ!」
そう言って彼が登場させたのは金髪ロングの人形のような女性。
「アイリーニアよりずっと美しいだろう? 彼女は素晴らしい女性だよ。名はミリ・フォリニカ・エーベリ・ニフォインレヴィリーニアという。下級貴族の娘さんではあるのだが、とても良い教育を受けていて、また奉仕の精神に長けている。なので、俺の妻に相応しい」
まさかこんな形で関係を終わらせられるなんて……。
こんな結末は欠片ほども想像していなかった。
だがもうそうなってしまった以上仕方がない。
ここで嫌だとごねても何の意味もないのだ。
ならば潔く終わらせよう。
「そうですか。残念です。ですが、分かりました。……さようなら」
ああ、終わってゆく、すべてが。
オルレイとの思い出。過ごした時間。未来を信じていたことも。
……それでもいい。
私は私の道を行く。
それでいい。
そう信じている。
その道中、避けられない別れがあるなら、それもまた一つの定めなのだ。
◆
それから数年。
「ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴぴっぴぷっぷぷぴっぴぴぷぷぷっぷぴっぴぴぷぷぷぷぴぴっぴぴぷぷぷ! ぴっぴぴぷっぷぷぴっぴぴぴっぴっぴ! ぴ! ぴっぴぴぴっぴ! ぴぴぴぴぷっぷ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴっぴぴ! ぴっぴ! ぷっぷぷ! ぷっぷぷぷ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ!」
私は少々個性的なリズムで歌って踊るスターとして一世を風靡している。
「ぴっぴ! ぴっぴぴ! ぴっぴぴぷっぷ! ぷっぷぷぷぷぷっぷ! ぴっぴぴぷぷぷっぷ! ぷっ! ぷっ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴっぴぷ! ぴっぷ! ぴっぷぷぷっぷ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ヘイ!! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴっぴっ! ぴっぴぴ! ぴぴぴっぷぷぷ! ぴっぴっぴぷぷぷぴぴぷっぷぷぷぴっぴぷ! ヘイ!!」
この勢いは誰にも止められない。
「ぴっぴぴぷっぷぴっぴぴ! ぴっぴぴぷっぷ! ぴっぴぴぷっぷ! ぷっぷぷ! ぷっぷ! ぷっぷぷ! ぷっぷ! ぴっぴっぴぴぷぷぷ! ぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷぴっぴぷぷっぷぴっぷぷぷっぷ! ぴぷぴぷぴぷぴぷぴっぴぴぷっぷぷぷ! ヘイ!! ぴっぴ! ぴっぴぴ! ぴっぴぴぷっぷ! ぴっぴぷ! ぴっぴ! ぴっぴぴぷっぷぷ! ヘーィッ、ヘイ!!」
ちなみにオルレイとミリはというと、結婚後間もなく悪しき男に騙されて怪しい男たちに捕らえられてしまい奴隷のようにこき使われることとなってしまったそうで、一年も経たないうちに病で落命したそうだ。
◆終わり◆




