幼い頃からちやほやされてきてわがままに育った妹が奪っていった私の婚約者はどうやら良い男ではなかったようです。
可愛い可愛いと幼い頃からちやほやされてきてわがままに育った妹ルルリアは、私の婚約者であった青年ローベンに惚れ込み、自ら彼に迫って奪い取った。
姉の婚約者を奪うなんてあってはならないことだ。
本来は。
だがその事実を知っても両親が彼女を叱ることや責めることはなかった。
ローベンが私に婚約破棄を告げるその時もルルリアはローベンの隣にいて、ただそこにいるだけではなく「お姉さまはもう要らないのよ!」とか「婚約者にさえ捨てられたお姉さま可哀想ぅ~、あははっ」とか言ってきて、しまいには「でもぉ、お姉さまみたいなダサい女がローベンさまみたいな素晴らしい殿方とくっつくなんて狡いわ! 相応しくない。この形こそが本来の姿よ! ざっまぁ~」などと失礼な言葉を投げつけてきたのだった。
そんな彼女だが、結婚後すぐ心を病んだ。
ローベンはルルリアにすぐ手を出す男だったのだ。
少しでも気に食わないことがあれば殴る蹴るなどといった暴力。
そんな日々に疲れルルリアの精神は壊れていった。
そしてやがてルルリアは自らの意思でこの世を去った。
◆
あれから何年が経っただろう。
もう分からない。
それほどに時が流れた。
私は貴族の男性と結婚し、幸せに暮らしている。
……そうそう、そういえば。
妹を死へ追いやった暴力男ローベンは、ルルリアの次の妻にもやはり暴力を繰り返していたそうなのだが、ある時そのことに気づいた妻の親が通報したらしくそれによって逮捕されてしまったそうだ。
ローベンは今、牢屋の中にいる。
◆終わり◆




