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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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ずっと育てていた薔薇が咲いた朝に。~あの時婚約破棄されていて良かったと今は心から思います~

 ずっと育てていた薔薇が咲いた朝。

 五つほど年上の婚約者ケインから呼び出しを受けて、彼のところへ行ったのだけれど。


「俺、もうお前とは関わらないことにするから」


 いきなりそんなことを言われたうえ。


「婚約は破棄な」


 関係を終わらせるような言葉を発されてしまう。


 にきび痕濃いめの厚ぼったい肌、はっきりとした二重の目もと、生まれつきとのことだが海苔を貼り付けたかのように太い眉――やや暑苦しいとも言えるかもしれないような印象の顔面ながら、ケインはそこそこモテる男だ。


「ていうのも、お前より条件の良い女から想いを告げられたんだ」

「……と、言いますと?」

「彼女の実家はかなりのお金持ち。それでいて本人は絶世の美女、しかもキュート系。それに、彼女は、結婚したら家事育児などなど暮らしの至ることを一切俺にはさせないと言ってくれていて。それに加えて毎日朝から晩までご奉仕してくれると言ってくれているんだ」


 終わりとは案外あっさりしていたりするものだ。


 人生とは、そして何事も、思い通りにはならないものである。


「だから俺は彼女と生きることにした」


 こうして私たちは別れることとなってしまったのだった。



 ◆



 私との婚約を破棄してから一ヶ月も経たないうちにケインは言っていた女性――アマリリスという名であるそうだが――その人と婚約した。


 しかしその直後アマリリスの兄がとある組織に加入している人物であると判明。

 慌てて話をなかったことにしようとするケインだったが、それによってアマリリスの怒りを爆発させてしまい、彼女が兄にその怒りについて相談することとなってしまった。


 で、ケインはそのとある組織の人たちの手で消されることとなってしまった。


 近所の人たちもその展開には驚いていた。

 彼の実家の近くに住むご夫人たちは「怖いわねぇ」「やっぱり結婚相手はじっくりと考えるべきよね」「ああ怖い怖い」などと言っていたようだ。


 不幸と言えば、まぁ、確かにその通りではあるのだけれど。


 ただ可哀想だとは思わなかった。



 ◆



 あれから三年。

 あの時ケインと別れていて良かったと心から思える出来事が発生した。


 というのも、先日、視察中に体調を崩した王子を助けたことで見初められたのである。


 そんなことがあるなんて想像しないだろう。きっと誰だってそうだ。王子に見初められる、なんて。そんなことが自分の人生において起こるだなんて誰も想像しないだろう。実際私もそんな未来を考えてみたことはなかった。


 だが私は王子の妻となる可能性が高い。


 こんな未来が待っているだなんて……嘘みたいな、けれども本当の話。



◆終わり◆

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