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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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幼い頃から歌が好きでした。~婚約破棄されても幸せな未来は手に入れられるものなのです~

 幼い頃から歌が好きだった。


 なぜかは分からない。

 けれども物心ついた頃には既に好きになっていたのだ。


 だが婚約者ローレンスはそんな私の趣味を良く思っていなくて。


「君は本当に歌が好きだな」

「え? あ、はい」

「いつまでも歌い続けていくつもりなのか」

「はい、できれば。歌は本当に好きですので。続けていくつもりです」


 その日は突然やって来てしまう。


「ならば、君との婚約は破棄とする」


 ――そう、関係の終わりを告げられる日。


「歌うことが好きな女なんざ品格ある女ではない。上品な女はそんなことを趣味とはしていないのだ。ゆえに、君は私の女には相応しくない」


 ローレンスは平然とそんな心ない言葉を発する。


「ではな。……さようなら、永遠に」


 こうして私たちの関係は壊れてしまったのだった。



 ◆



 あれから三年。


 婚約破棄後歌の仕事に打ち込むようになった私は、ヒット曲を連発することに成功し、国内で五本の指に入るほどの有名歌手となった。


 歌うことを捨てなくて良かった――今は心の底からそう思う。


 やりたいことで活躍できるなら、好きなことを職として生きてゆけるなら、そんなに嬉しいことはない。


 一方ローレンスはというと、あの後良家の娘さんである女性と結婚したそうだが女性の父親からいじめを受けそれを苦に自ら死を選んでしまったそうだ。


 自ら死を選ぶなんて可哀想に。

 そう思わないことはないけれど。


 ただ人が人なので、心の底から純粋に気の毒に思ってあげることは私には難しい。

 なんせ彼は私の好きなことを否定し続けていた男だ。心ない男に対して可哀想という感情を抱くというのはなかなか難しいことである。人間の心というのはそこまで広くはない。



◆終わり◆

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