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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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幼い頃から手品が好きで得意だった私は街の人気者だったのですが、婚約者からだけはあまり良く思われておらず……。

 幼い頃から手品をすることが好きだった私は、その才能を活かして街の人気者となっていたのだが、婚約者ルーゼンにはそれを良く思われていなかった。

 ルーゼンはたびたび「あんなくだらないこと、さっさとやめてしまえ」とか「お前は魔女か? 精神が呪われている」とか言って私の趣味である手品を貶める発言を繰り返していた。


 しまいには魔女だ悪女だと言われれる始末。


 価値観の違いはスルーしておくしかない――そう思い、私はずっと彼からの心ない言葉を流していた。


 だがある時。


「お前との婚約は破棄とする!!」


 ルーゼンからそんな宣言をされて。


「手品などという行為をいつまでも繰り返している女なんざといつまでも仲良くしてやるつもりはない」

「それが理由ですか?」

「ああそうだ! 手品など他人を騙す行為! そのような行為を平然と行っている女は魔女だ!」

「騙してはいませんよ」

「本人が何を言おうが無駄だ! お前は騙し屋、詐欺師なのだ!」


 突然切り落とされてしまったのだった。


 その時は、えええ……、と思った。

 だってあまりにも突然でしかも理不尽だったから。


 けれども、少し時間が経って考えてみると、そういう結果で良かったような気もしてきたのだ。


 どのみち手品に理解のないルーゼンだ。ずっと一緒にいたとしても、理解してくれるようにはならないだろう。いつまでも愚痴を言われるに決まっている。


 ならば早いうちに離れておく方が良いのかもしれない。

 自分の趣味を理解してくれない人と生涯を共にするというのは、かなり難しいことだから。



 ◆



 あれから数年。


 私は手品で有名人になった。

 今や国内で唯一とも言えるほどの知名度を誇る手品師となっている。


 毎日あちこちから引っ張りだこ。


 また、大量の仕事が舞い込んできたこともあって、かなりの資産を築くことに成功した。


 そうそう、そういえば、なのだが。


 私が手品師として有名になった頃、ルーゼンが一度私のところへやって来て「今のお前なら金を持っているから相手してやらないこともない。婚約しないか?」なんて言ってきた。


 ……当然断ったけれど。


 どうやらルーゼンは私が手にしたお金に魅了されていたようだ。


 だがそんな人と結婚するはずもない。

 なんせ彼が見ているのは資産だけなのだから。


 そのような自己の利益しか考えていない人と生きるなんてそんなことは不可能だ。


 その後少ししてルーゼンは痴漢で複数回逮捕されたらしく、一生牢から出られない刑に処されることとなってしまったそうだ。



◆終わり◆

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