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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 4 (2024.1~12)  作者: 四季


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もともとあまり好きではなかった婚約者に婚約破棄されました。なのでさよならします。

「メリーナ! 貴様との婚約は破棄とする!」


 赤毛の婚約者フートルリッド・ラ・インテルーグはある日突然そんな宣言をしてきた。


 彼のことはもともとあまり好きではなかった。

 なので関係が終わることへの悲しみはそれほどない。


 ただ、あまりにも唐突だったので、すぐには頭が追いつかなかった。


「え……」


 思わず漏れてしまう困惑の声。


「聞こえなかったのか?」


 その声を耳にしたフートルリッドは不快そうな顔をした。


 眉間にしわが寄っている。

 とても深いしわである。


「いえ、聞こえはしました。が、あまりにも突然でしたので。戸惑っています」


 取り敢えず正直に答えると。


「ははは! そうだろうな!」


 フートルリッドはなぜか急に満足そうに笑い出した。


 いやもう何なんだこの人……。

 まったくもって意味が分からない……。


「何か事情があるのですか?」

「事情? 簡単なことだ。敢えて言うまでもない」

「教えてください」

「は? 言うわけないだろ? 何をふざけたことを」

「いきなり婚約破棄するのであれば、せめて事情くらいは説明するべきです」


 問えば。


「貴様は面白くない! それだけが理由だ」


 答えが返ってくる。


「もっと愉快で楽しく過ごせる相手と結婚したいのでな」

「そう……それが婚約破棄の理由ですか」

「ああ! そういうことだ! それこそが一番の理由だ」


 私は取り敢えず「分かりました」とだけ返した。


 面白くないだなんて失礼な理由ではあるけれど、だからといって怒ったり何か言い返したりする気力はない。


「では今すぐ去れ!」

「そうしますね」


 彼の前から去ろうとした、のだが――刹那、シャンデリアが落下してきてフートルリッドの頭上に降り注いだ。


「う、わあああああああ!!」


 響き渡るフートルリッドの叫び。


「ぎゃあああ! 怖いいいいい! あああああ! 助けてママぁぁぁぁぁぁ! パパたまぁぁぁぁぁぁぁ!」


 彼はシャンデリアの下敷きになった。


 ……まぁいいや、帰ろう。


 婚約者が巻き込まれたなら事件だが、元婚約者が巻き込まれても無関係だ。


 フートルリッドはもはや他人。助ける義理はない。なんせもう特別な二人ではなくなったのだから。たとえ過去に繋がりはあったとしても、そんなことはどうでもいいことだ。


 私と彼に繋がりはもうない。


 だから、さよなら。


 私はその場から立ち去る。

 砕け散ったシャンデリアを振り返ることはない。


 私はただ、メリーナとして、この人生を歩んでゆくだけ。


◆終わり◆

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